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新・オーディオ入門131 『2024.1.24 トランス』の用語解説

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎についてエンジニアの視点から初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

これまで書いてきた新・オーディオ入門の記事の中から解説が必要な用語を取り上げています。

● 電源トランス
電源トランスはアナログ電源を使用しているオーディオコンポーネントには100%搭載されていますが、その理由は2つあります。 1つは電源電圧です。オーディオコンポーネントに使用されている様々な回路はそれぞれ異なる電源電圧で動作しています。 電源トランスによってそれらの回路に最適な電圧に変換し、供給しています。 もうひとつの理由は感電防止です。 オーディオコンポーネントのケースを素手で触っても感電することはありませんが、 もし電源トランスがないと感電したり異常なノイズが重畳したりします。 これは電源トランスの絶縁機能によるもので、トランスは電気エネルギーを磁気エネルギーに変換し、電気エネルギーに再変換しています。 その仕組みによって100vの壁のコンセントとオーディオコンポーネントの筐体を絶縁することができるのです。

● スイッチング電源回路
スイッチング電源は大電力のエネルギーを小さな筐体で実現することができる電源回路です。 スイッチング電源回路が小型化できたのはトランスの小型化に成功したからです。 アナログ電源では商用電源の周波数である50Hzや60Hzでトランスを使用しますが、スイッチング電源では商用電源を数十KHzの電源に変換し、 その後トランスを使用します。トランスは周波数が高くなるほど小さく製作することが可能ですので、 アナログ電源で手のひらほどもあるトランスがスイッチング電源では数センチのごく小さなトランスに置き換えることが可能なのです。

● 真空管ラジオの出力トランスは200Hz程までしか再生しないような設計
当時のラジオの帯域は狭く低域は200Hz程度までしか再生できませんでした。 現代の高級真空管アンプが20Hzまで再生できることを考えると、再生周波数帯域は10倍もの広帯域です。 真空管アンプには20Hzまで使用できる大型の出力トランスが使用されていますが、 真空管ラジオで使用された200Hzまでの出力トランスは1/10のサイズで済ますことができます。

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