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新・オーディオ入門26 重量盤とダイレクトカッティング盤

『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎について初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。

レコード盤の中にはオーディオファンのための超高音質盤が存在します。

● 重量盤
一般的なLP盤は120g程度ですが、重量盤と呼ばれる180g以上もあるレコード盤があります。重量盤は限定盤として発売されることが多く、中にはシリアルナンバー付のレコード盤も。重量盤のメリットは2つ。ひとつはレコード盤が厚いため反りにくくなります。反りの原因はレコード盤の不適切な保管です。レコード盤は必ず立てて保管しなければなりません。斜めに立てかけてある状態や何枚ものレコード盤を積み重ねると反りの原因になります。もうひとつのメリットは振動に対して強くなることです。レコード盤はスピーカーからの音圧を受けて再生されています。スピーカーからの音圧はレコード盤を振動させ、それがカートリッジによってピックアップされ、増幅されてスピーカーへ・・・これがハウリングと呼ばれるもので歪の原因になります。レコード盤の重量が増えると振動が減りクリアな音質になります。

● ダイレクトカッティング盤
レコード会社によってはダイレクト・ディスクと呼ぶ場合もありますが同じものです。通常レコードを生産するときは、演奏された音源をテープに録りミックスダウンやイコライジングを行い原盤を製作します。ダイレクトカッティング盤では演奏された音源から直接原盤を製作します。テープを通らず、イコライジングもパスしますので鮮度の高い音質になります。反面、レコード盤の片面分の演奏をワンテイクで行わなければならず、演奏者には大きな負担になり、レコーディングエンジニアも高い技術が必要です。また、原盤を製作するカッティングマシンはレコーディングスタジオに設置されており移動ができるようなものではありません。そのためスタジオに入りきらない大編成のオーケストラ等の録音は困難です。ロサンゼルス響をダイレクトカッティング盤に収録したとき、ホールからスタジオまでの200mをケーブルで接続して録音したという記録もあります。