新・オーディオ入門29 リスニングルーム
『オーディオはよくわからないけど良い音で音楽を聴きたい』、『オーディオ歴は長いけどこれは知らなかった!』というお話を聴くことがあります。 新オーディオ入門はオーディオの基礎について初心者の方にも判りやすく解説していくものです。 タイトルは私が10代の時に愛読した『オーディオ入門』から拝借しました。 私がオーディオに携わることになったきっかけの本です。 とても判りやすく説明されていて、手元に置いて辞書のように使っていました。 『新・オーディオ入門』はその現代版となれるよう書き進めたいと思います。
音楽を聴くための空間であるリスニングルームもまたオーディオ再生システムの一部と考えることができます。ここではリスニングルームと上手に付き合う方法を書いてみたいと思います。
リスニングルームの広さとスピーカーのサイズの関係は大切です。大きな部屋には大きなスピーカーを、小さなお部屋には小さなスピーカーをお勧めします。リスニングルームの広さによってスピーカーのサイズが決まってしまうといっても過言ではありません。8畳までのお部屋であれば16cm以下の口径のユニットを搭載したスピーカーシステムがおすすめです。12畳くらいであれば25cm以下、38cmウーハーを使用するのであれば20畳くらいは欲しいところです。6畳間で38cmウーハーを搭載したスピーカーを再生するとどうなるのでしょう?低域はキレがなくモコモコして、音場がうまく再現できず不自然なステレオ感になる可能性が大です。また、セッティングの難易度はかなり高く、オーディオボードやインシュレーターでは調整しきれない可能性もあります。逆に体育館のような場所で小型のブックシェルフスピーカーを再生すると音圧が足りないため歪が多く伸びのない音になってしまいます。
また、リスニングルームの反射について考えることも重要です。フローリングのお部屋は床や壁からの反射が多くなりがちです。このような場合、昔は大量の吸音パネルや厚手のカーテンを取り付けましたが、最近はできるだけ吸音性のものを使用しない方法がとられます。リスニングルームはある程度の反射があった方が音楽が生き生きと再生されます。吸音性のものを大量に使用するとなんともつまらない音になってしまいます。こういった場合はスピーカーの位置や高さを調整したり、音を拡散(吸音ではなく)するような工夫をします。当社の試聴室では低音のこもりを解消するため、部屋の隅に写真のような反射板を設置しています。
また、ソファー等の吸音性のものをたくさん置くのも問題です。音の反射の多い部屋を反射が少なくなるようにすることは簡単ですが、その逆はとても大変です。