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ホラーな体験




あの時___帰りましょうと言っていれば・・・







その日
先輩二人を車に乗せて家まで送っている時の事


「 ちょっとご飯食べて帰らない? 」


お酒で勢いづいた先輩から衝撃の一言が


時間は夜の11時頃
ハンドルキーパーを申し出ていた私にとって
なかなかの試練な時間ですが



先輩の質問に
「 はい 」 か 「 YES 」で応えるのが

私のセブンルール


「 いきましょう! 」



しかしこの時間から空いてるお店は少なく
諦めかけた時、一軒の食べ物屋さんが飛び込んできました


そこは昔からあるお店ですが
私としては食べに行くのは初めての所で
先輩は何度かお邪魔してる所のようでした




中に入ると
お客は我々3人だけ 


化粧や諸々で
パッと見は70歳くらいに見える
80代半ばだろう

お母さんが一人いらっしゃいました


「 いらっしゃいませ 」


そう言って奥の座敷に通されたあと


「 お兄さんたち 今まで何しやったん? 」

云々___

決して早口なおしゃべりではないようですが
お母さんからの質問が終わる事は無く
世間話のようなやり取りが10分ほどありました



「 お母さん いいから ハイボール2つと ウーロン茶ね 」


痺れを切らした先輩から
催促の言葉が


「 ごめんやで~~~お兄さんら男前やからぁ~~ 」

という
しょうもないフォローの言葉を最後に  


20分


ドリンクが出てくる事はありませんでした



「 お母さん! お母さん! 」


見かねた僕がお母さんを呼びに襖を開けると



「 ちょっと待ってよ 今、用意しやるんや 」


という返事が台所の奥から聞こえてきます



確かに何かを作ってる様子がうかがえるが
私たちの座っている座敷からではよく見えません




待つ事 3分  お店に入って33分後 



ようやくハイボールとウーロン茶がテーブルに



テーブルには
煌々と黄色く光るハイボールとは対照的に
どす黒いウーロン茶が



「 カンパーイ!×3 」


杯をテーブルの上に掲げ
一口目を呑んだ瞬間



「 おぶぅえ”ぇ~~!!! 」




口の中に突然
強烈な味が飛び込む


苦く、刺激の強い 何かが



「 先輩__ これ__ やばいっす 」


命の危機すら感じさせるその味から
「これは口に入れてはいけない物だ」と
自分の中の生存能力が訴えかけてくる


よく見るとコップの中に クラゲ(藻)のような浮遊物が浮いる


そう__それは
夏の暑い日
くちの飲みしたペットボトルの飲み物を放置した時
発生する「カビ菌」の塊です



「 うおおおおおおおおお やべえええええ 」


「 おか~~~~~さ~~~~~ん! 」



ゆっくりとした歩幅でやってきた
お母さんから

「 どうしました? 」



「 お母さん これ 腐ってる! 」


「 え!? 腐ってる そんな事はないですよ 」


「 いや ほんまですって 腐ってますから 」


「 いえいえ さっき ペットボトルから出したとこですから 」



ウーロン茶が腐る というキーワードに
いまいちピンときていないお母さんへ
一発かませるチャンスが来たと興奮した私は


絶対飲ませたい!という 
悪い気持ちを、一瞬ですが頭をかすめました





「 お母さん ほんまですって__ ちょっと飲んでみてください 」





「えー でも・・・・ お兄ちゃんこれ くちつけてんろ?」


「 は い 」



「 そやったら無理やわ~ 」


・・・そこか~~~~~!!


恥じらう80代半ばであろう お母ちゃんに
強い憤りと共に、底知れぬ恐怖を感じました


「 お母さん 瓶の・・・コーラ下さい 」



飲み物を追加注文し
持ってきてもらいました



世界中で一番安全な飲み物 それは


「瓶のコーラ」


私にとって「瓶のコーラ」は
エジプトで飲もうと決意していた
最後の希望です


まさか日本の飲食店で
「瓶のコーラ」が一番安全だと思う事になるなんて

想像すらしませんでした



げらげらと笑う先輩との楽しい時間



でも__ このホラーは
まだ
始まったばかりでした___










ホラーな体験その2に続く___



24日目の日記おわり


#日記
#ホラー


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