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【今日の一曲】I hate music!

今日の一曲「I hate music!」です。

この作品の作曲者レナード・バーンスタイン(1918-1990)について、もしかすると『ウェスト・サイド物語』や『キャンディード』という作品を思うとイメージをもちやすいかもしれません。

彼が書いた歌曲集 I hate music! は、彼のルームメイトであったEdys Merrilに捧げられています。というのもこの作品の着想は、バーンスタインが歌手への稽古をつけたり、ピアノを弾いているのを日頃耳にしていたEdys Merrilがよく口にしていたフレーズ、"I hate music"に由来するからです。

バーンスタインは、この歌曲集の冒頭に次のような言葉を遺しています。

In the performance of these songs, coyness is to be assiduously avoided. The natural, unforced sweetness of child expressions can never be successfully gilded; rather will it come through the music in proportion to the dignity and sophisticated understanding of the singer.
L. Bernstein

この作品の詩の中で生きるバーバラは、
-コウノトリなんて信じない。
-もしも私たちの生きる地球が、木星や土星のようにいくつもの衛星をもっていたら?
-インディアンのなぞかけも面白い。
-みんな風船が好きなのに、私が風船が好きっていうと"風船が好きだなんてかわいくない!?"と子ども扱いしてくるのってどうなの?
こんなことを思っている、10歳の人。


「I hate music!」を聴いて、コメントを書く。

実際に授業で見た動画とともに、学生のコメントをシェアします。
学生のコメントについては、ハンドルネームとともに記載します。

この記事をお読みくださっている方も、動画の演奏を否定することなく、演奏家(声楽家、ピアニスト)の表現から楽譜の読みや、演奏に活かせるところを一緒に発見してくれると嬉しいです。
発見くださったものやご感想は、気軽にコメントに残していただけると、一緒に学ぶことができるのでとても嬉しいです。
※不適切な内容と判断するものについては、削除等させていただきます。



音楽に対する気持ちの揺れを強弱記号の変化で表しているように感じられた。そこで、そのような気持ちを印象的に表現するため、楽譜内の多くの強弱の変化を極端につけ、メリハリのある演奏にしたい。また、音程の幅が広いことも気持ちの変化をつけるためであると感じられた。伴奏の三連符は動悸が激しくなるような切迫感を出したいが、段々早くなっていくように段階を踏んで速さや音の強さをつけていきたい。
by casual guy

今回演奏者の方は、少女の幼さを音だけではなく体全体で表現していた。初めの「I hate music!」の部分は少女が駄々をこねているように聞こえた。「la dee da da dee」の部分は、私が歌うならあえて少し下手に歌いたいと感じた。ただ下手なだけではなくて歌うことが本当に好きな感情が伝わるように歌いたい。今回の演奏者の方は少女が歌うことが本当に好きなのだということがすごく伝わってきた。
中間部の少女が音楽が嫌いな理由を明かすでは、語るように喋るように、流れを大切にして歌いたいと思った。その流れの中で感情の高ぶりを強弱で表現したい。
by きなぷぷ

「私」は子どもが持っている素直でファンタジックな部分があり、それでも大人に認めてもらいたい気持ちが詩に表れていると感じた。しかし、大人に子どもの頃の気持ちを忘れないでと伝えているようにも思い、星の王子様を読んだ後のような気持ちになった。
演奏面では、子どもらしい感情の起伏も音の跳躍やテンポに表れているので、楽譜に書いてある指示通りに演奏したい。最後のpに書かれてある、to herselfという言葉が気になった。歌い手が10歳の彼女になりきって歌うのであれば、to myselfと書かれるべきだと思うが、herself となっているのは、歌い手から彼女に向かう何らかの気持ちがあるのだと考えた。子どもが歌うのではなく、大人が歌うことに意味があると思う。
by ぷう

don't likeに留まらずわざわざhateを使い、さらに音高を急激に高くしている点から、女児ならではのおませで頑固で激しい主張が伺える。「ラ・ディー・ダ・ダ・ディー」の部分では、自分の歌が好きで静かに酔っているような、ささやくような歌い方がふさわしいと感じた。中間部はピアノの音形も相まって、まくし立てるように歌うことが求められると考えた。「たくさんの尻尾」はおそらく燕尾服であると考えられたが、10歳の女の子にはわからないような、お金が飛び交う汚い社交場に巣食う大人たちを悪魔と形容しているようにも感じた。組曲全体を通して、想像力が豊かで妄想しがちな女の子という印象があり、小さな女の子からみた大人たちの印象をイメージすることで、演奏にも生かすことができそうだと感じた。
by 甜麺醤

この詩を読んで、「本当は誰も居たくないんだけど」という部分から、何か逆らえない権力的な雰囲気を感じた。また、この詩のなかで「a lot of」という歌詞が何度も出てきて印象的である。よって、この子どもが言っている「音楽が嫌い」という言葉の中には、権力に逆らわず周りと同じように音楽をする人たちへの皮肉がかなり強く含まれていると考えた。
楽譜を見ると、「a lot of 」が全部言い終わった後、「diamonds」で強弱がffになっているが、これは、たくさんの人たちに対する皮肉が積み重なっていった結果のこの子どもの気持ちを表していると思った。この部分を演奏する際には、「a lot of」という歌詞を強調して歌い、ffに持っていくように意識したい。
by ゴピオカ

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