#26 ビー・ジーズ『ビー・ジーズ・ファースト』
ビー・ジーズ『ビー・ジーズ・ファースト』
まずは、申し訳ございません。正直なところ、ビー・ジーズがこんなにもグレイトでワンダフルでエクセレントなバンドだとは、思っておりませんでした。子供のころに体験した『サタデー・ナイト・フィーバー』のフィーヴァーぶりのインパクトが余りに強過ぎて、ディスコの曲を裏声で歌って大ヒットした人たち、というイメージのまま数十年間を費やしてしまっておりました。ただただ自分の勉強不足を恥じるのみです。
たとえば「メロディ・フェア」とか、真逆とも言えるベクトルの名曲も少なくないという程度の認識はあった。でも、そんなものではなかったということを、映画『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』を観たのをきっかけに思い知らされたのだ。さかのぼって本気で聴いてみたら、あるわあるわ、名曲の玉手箱状態。しかも、自分の耳が正しければ、僕が飛び道具的なイメージにとらわれていた裏声なんて、通算11作目のアルバムでようやく登場するのであり、とにかくいい曲を、いい演奏といいヴォーカル/コーラスで聴かせるポップ・ロック・バンドだったのだ。そう、ビートルズのように。
というわけで、めでたくオリジナル・アルバム20作品が再発された中から、敬意を評してデビュー作(1967年)を推したい。アルバム・ジャケットにも通じるサイケデリックなサウンドが、時空を超えて魅惑の桃源郷へと連れ出してくれる1枚だ。全世界デビュー曲「ニューヨーク炭鉱の悲劇」のようなフォーキーな楽曲から、ピアノ・ポップ、ソウル/R&B直系のナンバー、バラードまで、どれもが圧巻の完成度。「イン・マイ・オウン」なんて、時代的にも「タックスマン」(ビートルズ)に対抗して作ったとしか思えない。恥をしのんで、傑作だと断言したい。
『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』の中で、人をコケにする天才でもある、あのノエル・ギャラガー兄貴が手放しで絶賛していたことにも、大いに納得。恥をしのんで、ビー・ジーズ最高です!
鈴木宏和
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