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フィジカルで聴く 90年代の邦楽 ④(バンド編 90年~94年)

所有しているレコード&CD棚を見てみると、おそらく邦楽は10分の1以下。その大半が90年代~00年代のもの。自分にとっての青春時代だ。その頃は海外アーティストだけではなく、国内アーティストの音楽もある程度聴いていたのだなぁと、現行の邦楽知識との差を認識し、改めて自分の邦楽知識の停滞感を実感した。

やはりダイレクトに言葉がわかる邦楽をもっと知りたい。
90年代邦楽のCDやレコードのジャケットを手に取り、クレジットを見ながら作詞作曲や参加ミュージシャンなどをチェック。そして、ブックレットの写真などを眺めながらフィジカルで聴くというこの楽しさを思い出しつつ、現在の邦楽アーティストにつなげていきたい。

というわけで企画第4弾。バンド編最初は90年~94年のアルバムに絞って振り返っていきたい。前回同様、重要なアーティストが多々抜けていると思いますが、お許しください。



フリッパーズ・ギター
カメラ・カメラ・カメラ(90)
ヘッド博士の世界塔(91)

このジャケは印象的だった。
この頃はこういった畳むタイプのミニポスター的な歌詞カードが結構多かった。
何度か手放しては再入手した2nd。帯に写真ってあんまり見ないかな。
歌詞カードの裏、なんかオシャレだなぁ。

フリッパーズ・ギターへの個人的な思いは、前の「ソロシンガー・男性編」の小沢健二、コーネリアスのところで綴ったので良かったらそちらを見てください。アルバムとしてはこの2枚の前に、89年の全曲英詞『海へ行くつもりじゃなかった』があるが、何だかんだ言って個人的にはその1stが一番好きだ。改めて思うが、彼等がいなかったら生まれなかった日本の音楽というは間違いなく多かっただろう。そう思うと、その影響度は計り知れない。
「青春はいちどだけ[Colour Field]」
「ドルフィンソング」



リトル・クリーチャーズ
VISITA(91)

CDはフルアルバム。7インチは数年前のレコードの日にて。大きいサイズは、実は見掛け倒しで、中には8センチCDシングルが入っている。
デビューのミニアルバムから、94年までのリリース。もちろんその後も持っている。

交換留学制度を利用して滞在したアメリカでの1年間の高校生活を終え、聴く音楽ももともとの洋楽趣向に拍車がかかり邦楽をほとんど聴かなくなっていた。そんな頃にたまたま点けたテレビの深夜番組で彼等が演奏していた。「イカ天」だ。それからというもの、この荒削りで不器用な若者たちリトル・クリーチャーズの次の曲が聴きたくて毎週見た。当時の日本の音楽シーンでは浮きまくる存在であったが(この若さで全曲英語だったことも大きな理由の一つ)、審査員たちのお眼鏡に叶い見事5週勝ち抜いた。これは彼等のデビューフルアルバム。よくもこんな18歳の3人が揃ったもんだ。
「Need Your Love」



ヴィーナス・ペーター
Space Driver(92)

強烈な印象のジャケ

プロデュースはサロンミュージックの吉田仁。

メジャーデビューアルバム。
”90年代の邦楽”というくくりでやっているけれど、歌詞は全て英語。これを邦楽としてよいのか?とも思うが、一つ前のリトル・クリーチャーズ同様、日本人アーティストという意味での邦楽ということで。
彼等が出てきたときは、本当に海外のバンドみたい!と思っていたのだが、久々に聴き返すとグルーヴはやっぱり邦的、そして良い意味で全体にしっかりと邦楽的要素があるなぁと。数年前から完全復活したようなので、いつかライブを観てみたい。
「every planets son」



ロッテン・ハッツ
Sunshine(92)

あまりに好きで8cmのCDシングルも所有。
Great3とヒックスビル=ロッテン・ハッツ!

TBSの連ドラ「ホームワーク」の挿入歌だった「STAY」が好きで、バンドのアルバムを聴いてビックリ。当時は何じゃこれ?と。普段はポール・ウェラーやレッチリ、R.E.M.なんかを聴いていた若者に、ロッテン・ハッツのようなカントリー?ジャグバンド?の音は音楽的素養がなかったこともあり、カウンターカルチャーどころかただの時代遅れの音にしか聴こえなかった。
その後自分にとっての日本人No.1バンドとなるGreat3のメンバーが半分を占めていたことは後で知るのだが。(Great3を初めて聴いた時、あの「STAY」歌っていた人の声に似ているな~、が最初の感想だった)
それでも、何度か聴いていると「One Fine Morning」や「On My Mind」とか、良さに気付けた曲も多い。
「STAY」



ブランキー・ジェット・シティ
BANG!(92)
C.B.Jim(93)

結局ずっと「BANG!」と「C.B.Jim」ばかり聴いている。
ジャケや中身のセンスが良い。

イカ天の出場をオンタイムで見ていて5週目勝ち抜いた翌日、音楽好きの友達に電話して「見た?見た?絶対プロになるよね、CD出るよね!」と興奮して話したのを覚えている。
それから出た1st『Red Guitar and the Truth』、イカ天でも演奏していた好きな曲だらけのアルバムだったのに、何かが違う。きれいすぎる。と、しっくり来なかった。それから1年もしないうちに出た2nd『BANG!』を聴いて絶叫!「これを待っていた!」と。その思いは3枚目『C.B.Jim』でも続いた。残念ながらちょっと怖くてライブに行けなかったのは心残りだが、今も大好きな曲だらけのこの2枚は特によく聴いている。
サブスク未解禁!
「BANG!」
「3104丁目のDANCE HALLに足を向けろ」



dip
I`ll slip into the inner light(93)

このジャケ、色合い等やデザイン含めて好きなのよね。
裏はヤマジのガン飛ばし。

東京在住時、千葉のライブハウスまでライブを観に行ったのを覚えている。あまりの爆音に耳がおかしくなり、会場出たあと外での友人との会話が大声になってしまい「絶対これ迷惑だよな!」というのも大声で笑いながら話していたのもいい思い出だ。3ピースでこんなに分厚い音出るんだなと衝撃を受けたバンドだった。アルバムの中では、「lilac accordion」「fall in holy」なども好き。この曲の疾走感がなんだか良くて当時から一番好き。
※サブスク未解禁!(だと思う…。)
「冷たいくらいに乾いたら」



フィッシュマンズ
ネオ・ヤンキース・ホリディ(93)
ORANGE(94)

このアルバムからフィッシュマンズ沼にハマった。
5人いるフィッシュマンズも良かったなぁ。
95年までのアルバムやらマキシやら。

デビューからずっと好きだった。いや、『ネオ・ヤンキース・ホリディ』まではぼちぼち好きだった。このアルバムでとんでもないバンドになったと思ったのもつかの間、『ORANGE』で好きな曲あるけどアルバムとしては前作ほどの衝撃は無いなぁ…と、少しだけテンション下がるも、このあとに『空中キャンプ』という世界に誇るべき大・大傑作アルバムができるのだ。

『ネオ・ヤンキース・ホリディ』は1曲目から大好きで、2曲目の永遠の名曲「いかれたBaby」や「Smilin` Days, Summer Holiday]など素晴らしい楽曲揃いの名盤だと思う。こんなバンド、もう出てこないのかなぁ。
「Running Man」
「感謝(驚)」



オリジナル・ラブ
結晶(93)
風の歌を聴け(94)

オリジナル・ラブのアルバムの中でも特に好きな2枚。
「風の歌を聴け」のクレジットは、フォント選びなど含めて珍しくちょっとダサい。

初期アルバムしか持っていないけれども、それでもこのバンドの曲を1曲に絞るのは難しい。おそらく自分にとって日本語で歌うバンドで一番衝撃を受けたのがオリジナル・ラブ。ロックやパンクを主として聴いてきた若者にとって、この洗練された、それなのに野太いロックのようなポップスはあまりにも格好良すぎて参ってしまった。93年の『結晶』では「心理学」「月の裏で会いましょう」「スキャンダル」、94年の『風の歌を聴け』では「The Rover」「The Best Day of My Life」「朝日のあたる道」。30年経ったとは思えない全く古びない音。94年のアルバムはドラム佐野康夫!効いているな。
「Psycology」
「朝日の当たる道」



Plagues
Cinnamon Hotel(94)

この頃はこうやって帯にライブスケジュール入っていたなぁ。
ジャケ裏も格好いい。

元Great3の高桑とともに佐野元春&THE COYOTE BANDのメンバーでもある深沼率いるプレイグス。『カリフォルニア・ソロー・キング』、『シナモンホテル』『リトルバッファロー・ララバイ』と初期3枚のアルバムはよく聴いた。この男臭いゴリゴリのギターリフに変拍子のロックンロールが格好いい。
「New game, New rules」



ラヴ・タンバリンズ
Midnight Parade EP(94)

12インチシングル。格好いいジャケ。
インナーもかっこいい。
この2枚を聴くことが1番多い。

フルアルバムも好きだけど、このEPと『cherish our love』のEPは特によく聴いていた。バンドは短命だったけれども、渋谷系と称されるバンドとしてはセールス、知名度共に強いインパクトを残したのではないだろうか。ヴォーカルのエリは技術がそれほど高いヴォーカリストではないかもしれないが、この時代のどんなヴォーカリストにも負けない個性と存在感、そして強烈な歌声を持っていた。時にファンキーでソウルフル、そして時にスウィート。今思い返してもすごいバンドだった。



番外編
ニューエスト・モデル
クロスブリード・パーク(90)

なぜ番外編かというと、彼等のアルバムはオンタイムで聴いていないからだ。
90年頃もちろんその存在は知っていたのだけれども、実際にアルバムを聴くようになったのは2000年を過ぎてからだった。そこから、メスカリン、ソウルフラワー含めて聴くようになった。間違いなくオンリーワンの邦バンド。


今回は90年代初期、90年から94年に出たCDで個人的に思い入れの深いものをピックアップしてみました。こうして見てみるとバラエティ豊かで、いいバンドが多かったなぁ、と思います。今でも続いているバンドもあるしね。
さて、次回は95年単年に絞ってチョイスしてみようと思います。
またよかったらお付き合いください。

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