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SAKANAQUARIUM 2024 "turn"感想レポ

5月2日にマリンメッセ福岡で行われた公演「SAKANAQUARIUM 2024 "turn"」についての感想レポートです。

ツアー中のため曲名のネタバレはありませんが、演出や曲の特徴などには触れています。解像度は低いですが、これからツアー初戦が待っている方は、読まずに新鮮な気持ちでライブに臨んでいただいたほうが良いかと思います。

今回、ライブ初参戦ということで、あまりにも思い入れが強い経験となりましたため、出会いから遡っていきたいと思います。よろしければお付き合いください。


サカナクションとの出会い

サカナクションとの出会いは、中学時代でした。ちょうど邦ロックに興味を持ち始めた頃で、図書館に置いてあるROCKIN'ON JAPANで見つけたバンドのCDをTSUTAYAで借りては聴いている、そんな日々を過ごしていました。

その見つけたバンドの一つが、サカナクションです。それまではメッセージ性の強い応援ソングやキャッチーな恋愛ソングを聴いていたものですから、初めて聴いた時は何が良いのか分かりませんでした。

けれど、通学の時やクラスで所在ない時、何度もリピートしているうちに、”この曲を聞けば、あの時のことが思い出せる”。そんな、生活を記録するカセットテープのような存在になっていました。

それから、高校時代、大学時代と曲を聴き続けました。しかし、ライブには行ったことがありません。いつかは、いつかは。そう思っているうちに、コロナ禍が訪れました。

家から出ることができず、外と繋ぐものがインターネットのみだった時。ライブに行けない鬱屈した思いを払拭し、より深く音楽を好きになれたのは、サカナクションの配信のおかげでした。

だから、ライブが行けるようになったら、絶対にサカナクションのライブに行くんだ。
その思いが成就したのが、今回のライブでした。

今回のツアーには参加できないと思っていました。申し込むライブがことごとく外れていたのです。今はその時じゃないんだ、と諦めようとしていました。

しかし、”来月からツアーが始まるんだ、行ける人いいなあ”とe-plusを見ていた時、自分の目を疑いました。”福岡公演のチケットを先着受付している?”。

何かの間違いだと思いました。サカナクションのライブだぞ、と。このボタンを押せばチケットが取れる。福岡までは新幹線で片道約7時間…GW期間に宿も取らねばならない…と悩みつつ、即チケット購入しました。

チケット代+新幹線代+宿代=10万

全てをなんとかして、初めて降り立った九州の地。

せっかくだからと、太宰府、ShinShinラーメン、百道浜も室見川も、とアーティストに関連する聖地を巡りました。

百道浜も君も室見川も…

そして、とうとう開場時間。

メッセの前には、これでソールドしていないとは何事か、と思うほどの大勢のファンが集まっています。

ちょうど傾いていた夕日が海に反射した風景が素敵で、お酒でも飲みたいところでしたが、フードトラックのたこ焼きを食べました。急いで食べたので火傷しましたが、美味しかったです。

いざ初ライブへ!

ここからがライブの感想となります。

会場に入ると、何かが他のライブと違うと感じました。スピーカーです。
アリーナ席を左右から囲むように吊られたスピーカー。上から吊られているのが少し不安になるほど結構ごつい。きっと爆音なのだろうと、すぐ付けられるよう耳栓を用意しました。

開始時間を過ぎると、少しBGMの音が変わったように思いました。ベース音がしっかりしているような。気分の高まり故かもしれないと思いつつ、ドキドキしながら開演を待ちます。

そして開演の時。会場の電気が落ちると、スクリーンに映像が映し出され、音が広がり、鳴り響きます。体験型アトラクションのような、Dolby cinemaの前置きのような。音・音・光に圧倒され、会場全体の体感温度が統一されました。

スピーカーの斜め後ろのスタンド席の端の方であったため、射程範囲外かと思っていましたが、会場全体に平等に音が降り注ぎます。

そして一曲目の出だし。音の衝撃波で観客を強制的に世界に引き摺り込みます。最初の何音かは耳栓をした方がいいかな、と思う強さでしたが、その後は、耳に馴染むようなクリアな音に聞こえました。

メンバーがステージ上に現れた時、これは夢なんじゃないか、と思いました。液晶越しに見ていた風景が目の前にある。
現実と夢が錯綜するような不思議な感覚でした。

観客を煽るような2曲目。ここからは魅せるだけでない、見る人の衝動を引き摺り出す勢いのライブが始まります。映像も今回のライブ仕様になっており、お祝いムード全開です。

その勢いのまま、”歌える?”と誘い、始まった3曲目。代名詞とも言えるこの曲の歌詞を会場全体で歌い上げるさまは圧巻です。感情を吐露するような歌に、観客が応えました。

3曲目と4曲目の繋ぎは感動ものでした。徐々に会場の音が移り変わっていく。二度と同じものは再現できない、ライブ一回一回、その場限りのパフォーマンス。会場でないと味わえません。その後の演奏の移り変わりも、”これ、過去のライブ配信で見たやつだ”と興奮してしまいました。 
イントロ、間奏が聞こえると歌詞が脳内再生され、どこから歌詞が入ってくるのか分からなくなるくらい中毒曲だと思っています。

心地よく力強いコーラスが会場中に響いた5曲目。低い音で会場を制圧した後、待ってましたとばかりの開放感が訪れる流れが癖になります。

6曲目。一つ一つの音がよく聞こえる楽曲だからこそ、スピーカーの明瞭さが際立っていました。演奏がそのままダイレクトに伝わってきました。何度も聞いているはずなのに、こんな展開だったっけと思うほど、ライブならではの新鮮さがあります。

7曲目。ここからは観客を動かす演奏から一転して、聴かせて魅せる演奏になったように感じました。スクリーンの移り変わる映像と曲がマッチして、心の底から叫び出したいような感情に囚われます。

フェーズが変わって8曲目。心地よい音に体を委ねます。外側と内側が一つになったような感覚で瞑想のような心地よさがあります。
光の演出も含め、会場が揺れているような気分でした。

9曲目。ひとこと、ひとことを、噛み締めるように聞きました。音の波が自然と体に流れ込んできます。最後の歌詞の繰り返しに苦しさのような愛おしさのような気持ちが溢れます。

10曲目。歌というよりも楽器の一つのように曲に馴染んだ声が響きます。プラネタリウムを見ている時の感覚で、眠気のような心地よさを感じます。喧騒から1番離れたところにある瞬間でした。

ライブの最後に演奏する印象がある11曲目。まだ終わらないで、と強く思いながら聴きました。だんだんと音が増えていく演奏に会場全体が高まっていくのを感じました。

踊れるか、と挑むように始まった12曲目。ここからは踊らせるライブへと転換します。スタンド席ではアリーナがよく見えます。さすが慣れていらっしゃるのか、盛り上がり方がプロです。スタンド席にも伝播し、各々好きなように踊ります。

引き続き、観客を乗せる13曲目。聴き慣れたフレーズのはずなのに、音がライブで聴くと、音源とは全く異なる表情が見られます。

この流れの演出は、初参戦の身にとっては、全てが驚きでした。舞台装置とスクリーンによる視覚効果の最大活用に、上から下まで会場全体を使った演出。開いた口が塞がりません。絶対に次回はアリーナ席で体感したいです。

驚きのまま突入した14曲目。絶対に間違えないと意気込んで臨んだライブでしたが、冒頭、演出へ気を取られて手拍子の方法をド忘れしました。手拍子が合った瞬間の気持ちよさは、画面越しにマネしていた時とは比べものになりません。目を閉じて音楽に委ねたい思いと、演出を一つも余すことなく目に納めたい思いがせめぎ合いました。

15曲目。初めてサカナクションを知ったのはこの曲です。約10年、ずっと聞いてきた曲をライブで聴けたことに感無量でした。腕を上げて振り、ライブ会場全体とシンクロする感覚は、もう画面越しだけでは物足りなくなりそうです。

場面は移り変わり16曲目。山口一郎さん(VO.)はアーティストであると同時にパフォーマーだと心から感じました。ステージ場を練り歩く際の動きは、振り付けが決まっているのでしょうか。歌から動きまで完璧で、どれだけのリハーサルがあっての、このパフォーマンスなのだろうと、遠い目になります。

イントロからさらに盛り上がりを見せ17曲目へ。観客の腕の振りや掛け声が一斉に合って、会場全体がライブを作り上げていることを感じます。大枠の振りや掛け声は決まっていても、それぞれが好きな楽しみ方をしているため、きっとその日の観客によって盛り上がり方は違うのでしょう。全部行きたい。

満を持しての18曲目。何度目かのこの光景。いつもは画面越しでも、今日は目の前にガラスがない。音源でも臨場感がある曲ですが、生の演奏とダンスだと、身体を動かずにはいられない求心力があります。場所があればずっと横のステップを踏んでいたい。ダンサーの皆さんの思い切りの良い動きが、見ていてとても気持ちがいいです。ダイナミックなターンが最高です。

そして、最後の曲。一気に南国の世界に連れて行かれます。ここで終わる気がしない。もう一度初めから始まる気すらします。
どの曲においてもですが、スクリーンの演出が正面から見た時に完成されており、見ていて惚れ惚れしました。

メンバーがステージ場から去ったあと、スタンドでは席に一度着く方が多く見受けられました。聴いているだけでなく、身体を動かしてもいるため、曲が終わると一気に疲労感を思い出します。アリーナは、もっとノリに乗るのでしょう。体力をつける必要がありそうです。

観ているだけでも体力を消耗するのに、ステージ上で常に120%のパフォーマンスをしていることに驚きます。他のバンドでは途中で少し映像を挟んだりすることもありますが、今回は休みなく、なんなら曲間は場転しています。底が知れません。

会場には手拍子が響き渡り、ちらほらとスマホのライトをつけて光を発しています。

それに応えるように、衣装替えをしたメンバーがステージに戻って来ました。

アンコール1曲目。イントロが流れ、ダンサーが出て来た瞬間、最高を確信しました。アップテンポな曲に、指の先まで通ったお淑やかな踊り。一つ一つのナンバーが完璧すぎるミュージカルのようです。飛ぶと床が揺れるので控えていましたが、つい飛び跳ねてしまいました。

アンコール2曲目。聴けると思っていなかったので嬉しすぎました。サカナクションの歌詞は詩的で、聞いているだけでは何と言っているのか分からず、歌詞を見て初めて知ることがあります。この曲は特に、音源だけの時と歌詞を見ながら聴いている時で感覚が異なると感じていました。もちろんライブで聴く感覚も異なります。多くの面を引き出せる曲は、ライブでも毎回少しずつ異なるのでしょう。全部の曲に立ち会いたい、そんな欲も湧いてきます。

アンコール最後の曲。少し危うさもはらむキーボードの和音が絶妙で最高です。歌にギター、ベース、ドラムが加わっていく流れが感動です。その裏で流れる映像も、感動を助長していました。

ライブ後、会場前の風景

今回が初めてのサカナクションのライブであったため、これまでのライブは分かりません。それでも、今のライブがいつでも最高で、毎回、最高を更新し続けているのだということは、ひしひしと感じます。

ライブ中には、草刈愛美さん(Ba.)のお誕生日が4/30であったことで、バースデーソングを全員で歌う場面。江島啓一さん(Dr.)が今回の音響設備について説明する場面。岡崎英美さん(Key.)が声援を受けて感謝を述べる場面など、メンバーの仲の良さも垣間見えました。

“僕たち、私たちサカナクションです”。やっと聞けた、この言葉にはメンバーだけで無い、ライブに関わる全ての人が含まれるのでしょう。
映像だけでは知りきれなかった、チームサカナクションの作り上げるライブ。視覚的にも聴覚的にも、これまでに無い体験ができました。

福岡に訪れ、あの場に立ち会えて良かった。
またライブに行けるようにお金と徳を積んでいきます。

神にもすがる当選祈願 in 太宰府


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