島田くんは褒め上手
小学生の時、かっこいいとかかわいいとか思う基準って何でしたか?
私は、運動が出来たり、勉強が出来たりする人はマジでかっこいいと思っていました。というか、大抵の人は小学校なんてそんなもんじゃなかったですか?わたしだけ?
もちろん、私の小学校にもそういうやつはいました。
仮に、島田くんとしましょう。
島田くんは、転校生で、3.11のあと宮城から引っ越してきた男の子でした。
そして、彼は、クラス中の女子全員からべらぼうにモテました。なぜかって?
運動ができて、しかも勉強ができたから。
とにかく、めちゃくちゃ足は早いし、授業で習ってないところまで色んなことを知っているし、もうなんか雲の上の存在みたいなヤバいやつだったんです。
私もまあその大勢に漏れず、彼のことを多少好いていました。今思い出してみると、そんなにドキドキするほどか?と思うくらいにはガチ恋してました。
そんなモテ男島田くんに、私は特別な思い出があります。
完全にオタクだった私の小学生時代、1番の趣味は二次創作小説を書くことでした。しかも内容は激やばで、当時流行っていた携帯小説の文体をがっつりとりいれた、ラブシーンありのやつ。これ学校で書いてたと思うと震えません....???
ある日、席替えで隣の隣の席になった島田くんに、その小説について触れられます。
「お前何書いてるん?」
私は答えます。
「えっ、何って、小説みたいな」
島田くんは、私がオタクで、マセガキなのを知っているので、またヤバいのを書いていたのだと思ったらしく、(いや正解なんだけれども)
「ちょっと読ませてよ」
マズい。これ見られたら終わる。確信した私の手から、島田くんは小説を取り上げました。そしてなすすべなく、私の小説は、島田くんに読まれてしまったのです。そんな彼から意外な一言。
へー、すごいじゃん。
どうやら、彼いわく、私の小説はすごかったらしいのです。今読み返しても、何がすごかったのかまったくわかりません。そして彼は続けます。
また続き書いたら読ませてよ。俺も書くからさ。
今なんて言いました?俺も書くからさ?お前も書くのか。そうか....
こうして私と彼の奇妙な交換小説が始まったのです。
島田くんが書くものはめちゃくちゃでした。ガンダムの二次創作で、もう何書いてあるか内容わかんないくらい文体もセリフもめちゃくちゃ。それを誇らしげに私に渡す島田くんの顔が忘れられません。まさにあれが少年の顔。しかも、毎回感想を求めてくるときた。私はガンダムそんなに見てなかったので、わからないとしか言えませんでしたけど....。
そして、その交換小説は、いつの間にか終わって、彼が書いた小説を読むことはなくなりました。なんであんなことになってたのか、今思い返しても、始まった理由も終わった理由もさっぱりわかりません。
一つだけ言えることは、島田くんの褒め言葉のおかげで、今の私がある、ということです。
レッツ!クマ囲みライフ!