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2章第2話 足元には気をつけよう

「ムム……ムムムッ……!」

 轢き逃げしていったポルチーノくんの背後で、ぶつぶつと湧き上がるような唸り声がしました。

「なんかですね……わたくしですね……たった今ですね……めちゃくちゃしっかり踏まれたんですね……。確かに道の真ん中に倒れ込んでたんですね……アテンション……つまり注意を促す形で倒れていたんですね……」

 踏まれた何かはヨロヨロと立ち上がり、まだ蝶を追い続けているポルチーノくんの背中を恨めしそうに睨みつけました。
 そう、驚くことにポルチーノくんはいまだに轢き逃げに気づいていないのです。意図的としか思えない所業ですが、本当に気づいていないのです。……本当ですよ?

「誇り高き一族の私を足蹴にしたまま立ち去るだなんて……絶対に許されないんですね……そう……絶対に許されてはいけない……!」

 それでもまだ気づかず走り続けるポルチーノくん。
「ムムム……ッ!」

 ついに『何か』の怒りが爆発しました。

「許さないでッシュ!!」
 「誰ッポルか!?」


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