はじめての日雇い労働

高校生の時に
友達で普通にアルバイトしてる奴とか
いたんですけど
毎週同じ人間と同じ日に同じ仕事したくない
なってぼんやりと思ったんですよ
今はゴリゴリに思ってるけど　

もう無職の素質があったんですよ
子供の頃から　

幼いモーツァルトが初めてバイオリンを
触った瞬間からバイオリンの演奏が
できたのと同じでね　

夜の11時　
バンに乗って現場に行くんですけど
もう日雇いメンバーの大人達全員目が
死んでて全員タバコ吸ってる
実写版カイジ特別試写会　

夜勤の佐川急便がどうなってるかっていうとね　もうみんなイライラしてるし
目血走ってるしあなたの家に届く商品を
ぶん投げてる　
箱に入ったテレビもワレモノ注意なんか
関係ない　平等に扱われてる　

ベテランガリガリジジイが
睨みつけながらいきなりオレらに言ってきた　「お前らみたいな日替わり弁当いらんねん」　

嫌な気持ちにもなったんですけど　
ソレと同時に「あ、例えた」
と思ったんですよ　

「お前らみたいな日替わりアルバイトいらんねん」でいいはずなのに弁当に例えた　
今例えいる？って思って

この人普段からよく弁当食べてんのかな？
コンビニ弁当とか　

この人の日常が言葉になって
今出てきたのかもしれない　
全く例える必要なんかないのに　

家着いて母親に聞かれたんですよ　
どうだった？って　
だから答えた　「働くって本当に最悪」

ホワイト多様性社会と
日雇い現場

昨今多様性が騒がれてるじゃないですか？

「男同士でセックスしてもいいですよ」
「女同士でもいいですよ」
「デブにデブと言ってはいけません」
「ブスにブスと言ってはいけません」
「ありのままであなたは素晴らしい」　
「資本主義的虫ケラ同然でも　
楽しく生きましょうね」

「虫ケラ同然の有権者の皆様どうか
私にクソしょうもない1票を」
「カルト教団を中心に政治を
回していきましょうね」
「ロリコン野郎は日本じゃなくて
東南アジアで子供を買いましょうね」
「ついでに老人は今すぐ切腹しましょうね」

みたいなホワイトな社会に
なってきてるじゃないですか？今って　

物流倉庫お菓子工場家電工場印刷工場
シャンプー工場無気力人間製造工場　

この１年で色んな日雇い現場に行ったけど
日雇い現場もホワイト化してる気がする　

昔は虫ケラのように扱われてたから
ちゃんと〇〇さんて名前で呼ばれただけで
びっくりしたもんね　

何これ？底辺労働者階級の
ファーストクラス？背もたれフカフカやん
お前がキャビンアテンダントか？？
きったないのー

資本主義的粗大ゴミの噂

日雇い現場の女性から言われた　
「無職詩人さんてあの家電工場で
も働いてたんですよね？」

うん　確かに働いてたけどなんで
お前が知ってんの？っていう話　

「友達が言ってましたよ」

友達？　なにそれ？
友達なんか居ないんですけど　
居ないしいらないし　

そもそも人生に出てくる人間て
親とか学校の先生も含め1人残らず
クソしょうもないんで喋る必要
が全くないんですよ　

人生を上手く生きるコツって
「誰の話も聞かねえ」なんですよね　
お前の話を聞け　

ブッダの話を聞いて人生良くなりましたか？
煩悩って捨てなきゃいけないんだって
逆に迷いが生じたんじゃないですか？
ブッダの話は今すぐ忘れて
煩悩で洪水を起こせ　
あのボケナスどもを飲み込め

オレが喋る人間なんてアリの歩幅くらい
幅狭いんですぐにその友達が誰かわかった　

あーあの男か　年齢不詳のチビデブ　
略してネチブ　
ネチブは家電工場にも居たし何回か
喋った事がある　

同じ地域で日雇い労働者やってる
と別の現場にいた奴がまた別の
現場にいたりするんですよ　
そういう奴等を見る度に思う　

どういう環境で
どういう人生送ってきたら
こんな不安定な日雇い労働者生活を
送る事になるのだろうか？？

お前はどうやって
オレと同じ
資本主義的粗大ゴミになってしまったのか？