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求職者と無職 ♯39日目

 先日、電車で移動していたときのこと。隣に立っていた、20代くらいの女性のスマホの画面が何の気になしに目に入ってきた。

 彼女は、Gメールの受信トレイを見ている様子で、そこには、僕が先日登録いた転職サイトからのメールが大量に届いていた。さすがに人のプライバシーにずけずけと入り込んでいくほどの図々しさはなく、彼女も自分と同じで、転職活動を頑張っているんだな(自分は何も頑張っていない)と思い、何か偶然の共通点を見出したかのような連帯感を勝手に覚えていた。

 その後、もう一度彼女のスマホの画面が目に入ってきたが、そこで僕は重要なことに気づいた。彼女が見ていたのは、「受信トレイ」ではなく「迷惑メール」であったことに。

 これが意味するものは、(先日noteに書いたとおり)僕にいくばくかの心の安心を与えてくれていた「転職サイトからのメール」は、彼女にとっては、もはや迷惑メールに分類される「不要なもの」になっているということである。しかし裏を返せば、彼女は無事に転職先を見つけたから、迷惑メールに分類したということかもしれず、その場合は、彼女にとって大変おめでたいことである。

 実際、彼女が新たな職にたどり着いたのかどうかは知る術はないけれど、確かに言えることは、今日もまた一人誰かが無職になり、そして別もまた誰かが無職でなくなっていくということなんだと思う。


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