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クオンツと物理学

きのうnoteを初投稿したものの、続けて書きたいことはないしな~と思っていた。

しかし一度書いてみると、意外に書きたいことが出てきた。

最近そういう経験をしていなかったので忘れていたが、そういうものだった。
先にやり始めないと、やりたいことは出てこない。

今回は、だいぶニッチだけど過去のぼくに向けて、「クオンツ」は微妙だったぞ!ということを書こうと思う。


クオンツとは

ぼくの理解で簡単に言うと、クオンツというのは金融分野の職種の一つで、大学レベルの数学を基に金融商品(株とか債券とか、その組み合わせとか)の時価を計算する。

物理学者たちが金融分野に流入してきた時にそこらへんの計算方法が発達してきたと言われており(「金融工学」という)、確かに将来の時価を予測したりするので一見けっこう物理っぽい。

ぼくがクオンツになった理由

ぼくは昔クオンツをちょっとやっていたが、その理由は上記のとおりで「物理っぽい」と思ったからだ。

ぼくは大学で物理をやっていて好きだったものの、実際に研究を始めるとプロとしてその研究だけに打ち込むのは向いてなさそうだなーと思いだした。

当時のぼくは自分の生きる価値に自信がなく、わかりやすく人の役に立ちそうなことをやることで自分が生きることを認めたかった。

そんな時に先輩がクオンツに内定したという話を聞き、話を聞いてみると確かに面白そうだと思った。

その後、自分の就活の時期になるといったん自分の興味に囚われず手当たり次第に色んな職種の座談会などに出て思考を整理した末、やはりクオンツに絞ることにした。

クオンツと物理学の違い

結局こういうのは、一回自分で経験しないと本当にはわからないものだ。

なのでこれから書くことを過去の自分に言ったところで選択は変わらなかったかもしれないが、過去の自分が当時調べても見つけられなかったことを書こう。

わからずとも、知っていることが伏線のように未来の自分を助けることはよくあると思う。

やはりクオンツと物理学の最大の違いは、対象が人工物か自然物か、だ。

こんなことは当たり前すぎるので誰も書かないのかもしれないし、自分でもわかっているつもりだったが、本当にはわかっていなかった。

ぼくが物理学で知りたかったことは「この世界とは何か」であり、数学はその道具に過ぎなかった。

ただ、当時はそこをはっきりと自覚できておらず、なんとなく金融工学を調べて「モデル構築」とか物理っぽくて面白そうだなーと思っていた。

また、なんとなく金融というのは大量の人間の思惑がぶつかり合い、その結果として(確率的にではあるが)統計力学のように解を持つものだと思っており、それを研究する金融工学に期待していた。

そして確かにそういう一面はあったのだと思うが、ぼくが求めていた「真理」とは本質的に違うなーと思った。

まぁ宗教だが、ある物事が普遍的であるほどその物事は「真理」に近いのだと思う。何をもって普遍的とみなすかによって、その人にとっての「真理」が存在するのだろう。

そのようなことは確かに金融工学で学べるが、実務で経験したぼくから見ると、その土台というかルールがそもそも人工物だな、と感じた。

それはぼくにとって物理学よりもかなり数学に近いものに思えた。

つまり、この宇宙とか世界を支配する原理っぽいものの数学的表現ではなく、人間たちが設定した諸々の条件のもとでの金融商品という対象に付随する数値を追っている、ということだ。

これは数学ではないか。あるいは、実際の市場の数値と照らしもするので、工学でもあると思う。物理学科出身としては、物理学とはけっこう違う気がする。

そしてぼくにとっては、「ぼくの身体がそこに存在する」と感じられる世界(宇宙)のことが大事であり、そことは別の世界の「真理」を求める金融工学は、なんだかゲームの世界という気がする。

結論:工学・数学好きな人にはオススメ

というわけで、(その近辺の分野では)物理学にしか興味のない自分にクオンツは向いていないことがわかった。

(少なくともぼくの周りでは)クオンツは理学部物理学科・数学科卒が大半を占めていたが、上記の経験や考察から、それよりも物理工学・応用数学系の人の方が向いていると思う。

全く専門外の人にとっては同じように見えるかもしれないし、実際に重複する層は多いのでこんな感じなんだと思う。

ただ、自分のように興味の対象がかなり限定されている人にとっては、これはとても大きな違いだと思う。


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