日記と夢日記15

オフィスのような場所で来客対応。客が来た途端、職場の汚れ、散らかり具合が気になってしまい急遽同僚と道具を持って掃除を始める。「来る前にしとけよというのはごもっとも!ごもっともなのですが!」と叫んで上司や客を牽制する。どこか心当たりのある夢。

スーパーで買ったメンチカツを食べていたら、なんだか前歯の隣の歯がざらざらするので触ってみたらなんと欠けていた。鏡で確認してみると、側面が半円状に掛けており、お月さまのようになっていた。先日、バンドのメンバー並びにシマダボーイと飲んでいたときに「鳥居さん、歯ヤバいですね」とボーイに指摘された矢先にこのような事態になるだなんて。たしか誰かが「社会性は歯に現れるからね」なんて言っていたと記憶する。これは歯医者さんに行かなくてはならない。

役所での手続きなどもそうだが、病院や歯医者に行くと、どうも何かがおかしいとは思うものの、対処するのが面倒なので、まあ大丈夫だろうと楽観視して放置した結果、それが水面下でじりじりと進行しており、ついには手に負えないほどの大問題になっていたことが露見しそうなので、なるべく行きたくない。

以前、肉まんを食べていたら、何か固いものが歯に当たるので、すわ異物混入かと思って吐き出してみるとクロムハーツのようなもの手のひらに転がっている。一瞬なんだこれはと思ったが、よく見れば詰め物以外の何物でもない。ひとまずよく目につくところに置いて放置しておいたのだが、気付いたらどこかに行ってしまった。

歯医者に行ったのは高校生のときが最後だ。上の親知らずが生えて来てその下の歯茎を傷つけて、口内炎のようになってしまって痛かったので、近所の歯医者で親知らずを抜いてもらった。反対側も同じ症状になったため、再び抜いてもらうことになった。たしか受験生だったから早めに対処せねばと思ってすぐに歯医者に行くことができた。家族と同居していたからなんとなく心強いところもあった。

それ以来歯医者には行っていない。口の中の状況は相当ひどいことになっているとは薄々感じてはいたが、歯医者に行けばそれが現実としてはっきりしてしまう。だから現実から逃げて、YouTubeを見たりポテトチップスを食べたりしてこの十数年間生きながらえてきた。しかし、もうそんなことをしていられるときではない。実際に歯が欠けてしまったのだ。

先に述べた役所や病院に行くと水面下で進行している問題が露見しまうのではないかという不安は、おそらく死への恐怖が形を変えて現れたものだろう。真心ブラザーズが「人間はもう終わりだ」という歌の中で、「いつか死ぬ いつか絶対死ぬ」と歌っていたが、まさにそのとおりで、人間は生まれた瞬間に死に向かって時計の針を動かすことになる。だれも死からは逃げられない。自分が死ぬことへの恐怖もあるし、それ以上に近親者や友人、パートナーといった愛する人たちが死んでしまう恐怖も大きい。それゆえに、我々はこの身も蓋もない死というもののリアリティを薄くしようと努める。死を箱の中に閉じ込めて目につかない場所へ追いやろうとする。しかし、ふとした瞬間に箱の蓋をごんごんと叩く音が聞こえてくる。今回の歯が欠けた一件は、まさに死が箱の蓋をごんごんと叩く音と共鳴しているといえよう。

時折、歯の抜ける夢を見ることがある。夢占いによると変身願望の現れだとされているようだ。しかし、当方からすれば死への恐怖が姿を変えて現れたとしか考えられない。死と歯で同じ音だしね。うまいねどうも。



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