眩しくて目が眩みっぱなしの凡人がやる芝居『眩く眩む』について
9月の新作公演『眩く眩む』のお稽古が始まっています。
『尊厳と集団創作の先を考える、まばゆくくらむアニメ現場のお話です』
とあらすじの結びに書きましたが、そういうお話です。
もっと細かくお伝えすると、
『集団創作のクオリティとハラスメントの境はどこにあるのか』
というお話です。
なーんでそういう話をやるかってなったかというと、出演と宣伝美術と舞台美術に名を連ねてるなんぼほど役職やるんですかなあの人とお芝居をやろうとなったからです。
出会いは俳優と写真屋で、そこからなんだか仲良くなって、デザイナーと写真屋、親友(といっていいでしょうもう)の藤尾勘太郎が
『そろそろ一緒にお芝居やろう』
って言ってきて、わたしは正直そんなこといわれるのが意外すぎて
『え、マジで言ってんの?』って返した気がします。
というのもですね、私は藤尾勘太郎という人間にものすごいコンプレックスを持っていて、なんというか一緒にいるだけで卑屈になってしまうとこがあるんですね。
いっつも悔しい、自分が圧倒的にたりてない、自分がものすごく凡才であると気付かされてしまう、でも大好き、みたいな二律背反とも言えないぐちゃぐちゃの感情があって、その人が『芝居やろう』って言ってくんの意味わかんないじゃないですか。意味わかんなかったんですよ。今はまあちょっと意味わかるんですけどね。私は最強の凡人なので…(私がそう思ってるだけで、勘太郎がそうおもってるとかではありません、念のため。なんなら『出た、またそんなこと言ってる』って毎回言われてる)
そんで、じゃあ何やるかね、ってなって、今私たち、いや個人レベルで考えないといけないねって話していた
『集団創作とハラスメントについて』
にちゃんと向き合ってやってみるかということになり、演劇そのものにするとそれは我々が選ぶシチュエーションとしては近すぎるんじゃないかしら、じゃあ私が古のアニオタで取材先も目処が立つからというわけでアニメ現場をお借りしてこのお話を書いた(書いてる)わけでございます。
わたしは長くいた場所が男尊女卑業界女カメラマン(もうほんとカメラマンのマンって言葉を嫌いになるくらい、女であることが辛い時期がいっぱいあった)というのもあって、とてもハラスメント気質の人間だという自覚があります。
ほんと、嫌な人間です。
そのときの復讐めいた気持ちで女尊男卑でいいと思ってる節がある。
そういう人間なのでここまでの人生でいろんな人を傷つけてきたし、今だって油断するとすぐそうなってしまうので、声を荒げて何かいうというのは本当に無責任だなと思ってるんですけども、
それでも昨年、この人生で絶対に忘れてはいけないことがあったから、これから先の未来でできるだけちゃんとしていこう、それはダメだと言ってくれる人たちと一緒にものを作ろうという意思はあるんですけども、でも、でもクオリティに対して何をどうしていけばいいかという葛藤があるのです。
自分とは違う人間と何かをやるという、わざわざ選択してそれをやっている私たちが、じゃあどうしていけばいいのかっていうのに向き合った結果、ずっと胃痛。
だから宣伝が難しい。
みんなが『お、おもしろいとおもいます』みたいに言ってるの、本当に面白いとは思ってくれていると確信はできる。
だって面白いから本。
自分で書いてて、人ごとみたいにすっげーなと思います。
(当て書きなので、キャラが生きまくってる俳優陣がここまで書かせてくれるのってすごいなとおもう感情が多めですけどね)
つやファンみたいなファニーなものやったあとにこれ新作でかける自分のことは好きです。そら胃痛起こすよ保坂よ。
テーマも書いてるセリフも地獄だなと思ってます。
だからお客様に『その地獄に付き合ってくれ』という意味で、手放しで観にきてー!ていうのは責任ゼロだろ、ってみーーーんな思ってくれてるから、私含めて『お、おもしろいとおもいまーす…』になってしまっているわけで…。
ただ、ただ。
私はこれは今書かなければいけなくて、このお話は全然ハッピーエンドではないけど、あの子がいなくなってしまった後悔も消えないけど、それでもいなくなったあとに、こうあって欲しかったよ、という気持ちで作ってます。
だから地獄バッドエンドでもないです。
あなたに誠実でいたいと思って、全部書きました。
ていうか、向き合いきっていなかった第三稿のときに勘太郎に言われたのですよ。
『保坂、まだ書いてないことがあるでしょ』
って。
あーバレてらぁ。くっそー。
っつって、そのあと6時間くらいで全部書き直しして四稿出しました。
腹決めて書きました。
こんな気持ちは誰にも知られたくないっていうのは全部書きました。
なので、面白いですけど、確実にめっちゃくちゃしんどいです。
しんどいのが無理な方は無理にはおすすめしないですけど、ムシラセの保坂萌が、つやファンと瞬きと閃光を書いた作家が書いて演出する話なので、ちゃんとムシラセですということは言えます。
あらすじですでにヒリヒリするだろうとおもって書いているので、
ほんと無理な方は選ばないかな…とおもっているんですけど、
いや、でもつやファンも挫折と現実のさきにちょっとだけ希望が見えるっていうある種地獄な話なので、行けるか?と思いつつ、いやわっっかんねえなっていうアレです。
公演前にこういうふうに作品について書くの、多分初めてなんですけど、そういう気持ちでやってますというのはお伝えたいなと思って書いたことなので、言い訳ではないです。
観てもらった後に、何を言われてもいいです。
ただ、面白いです。
この演劇をやらないと、先に行けないから。
というわけで、
予約は開始しております。
まだいっぱいお席ありますが、いつも通り初日が明けたら埋まると思ってます。
なので、観にきていただけたら、とっても嬉しいんだけど無理はせんでいい。無理させたくないので。でもムシラセのこと気になるわーって方はぜひ!!!
ムシラセ9月新作公演
#ぽけふぇす 参加作品
『眩く眩む』
2023年9月6日(水)-10日(日)
劇場MOMO
作・演出 保坂萌
全席指定席です。
http://confetti-web.com/mabayukukuramu
【キャスト】
藤尾勘太郎
谷口継夏
鍛治本大樹(演劇集団キャラメルボックス)
小島あやめ
岡野一平
瀬戸ゆりか(青年団)
つかてつお
有薗芳記
【日程】
9月6日(水)19:30
9月7日(木)19:30
9月8日(金)14:00/19:30
9月9日(土)13:00/18:00
9月10日(日)12:00/16:00
全席指定席・前売り 4300円/ 当日 4500円
★スペシャルチケット 10000円
選択キャストのブロマイドセット
藤尾勘太郎デザイン非売品Tシャツ
※グッズは終演後受付にてお渡しします
【スタッフ】
脚本・演出・写真 保坂萌
舞台監督 大石晟雄(劇団晴天)・加藤葉月
舞台美術 藤尾勘太郎・輝蕗
宣伝美術 藤尾勘太郎
照明 保坂美沙(C.A.T)
音響 大貫誉
楽曲 Renn Saito
演出助手 廣川真菜美(maars inc.) 日野あかり(日本のラジオ)
宣伝動画 つかてつお
制作 小泉美乃(合同会社soyokaze)
言いたいこと以上です。
稽古してたらこれ以上なんか言いたくなるかもしれないので、その時はまたなにか書きます。
今日も一日、健やかで。
みんなたちの幸せを祈ってます。
保坂萌