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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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#巨人戦

【4/10巨人戦◯】けけフォーエバーと、たいしのこと。

「ここ来るのさ、日本シリーズ以来だから、なんかちょっと不思議な感じ!」と、前を歩く息子が言う。「そういえばそうだね」と、私もついこの前のような、それでも随分前のような、あの日本シリーズの毎日のことを思い出す。 東京ドームが「ホーム」だった一週間弱を経て、また「ビジター」に戻ったここへやってきた。 久々のドームは、ビジョンも新しくなり、えらいでかでかと映し出される選手たちは、坂本も岡本も丸も、なんだか普段の3倍くらい怖く見える。 けいじくんは2回裏に早速丸にホームランを打

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【4/9巨人戦●】長岡くんが見せた悔しそうな表情の、その先に

サヨナラ勝ちする日があれば、サヨナラ負けする日もある。今日も私は「追いつく」と「勝ち越す」は違うんだなあ…と、遠い目をしながらそう思う。そうは言っても今日の追いついた瞬間は、もう随分前のことのようだ。7回以降は両者点が取れず、均衡した試合は緊張感を抱いたまま、延長線に突入した。 勝ち越しのチャンスは思えばたくさんあった。気づけばヤクルトは9本のヒットを放っていたし、何度も得点圏にチャンスを進めていた。でも高津さんが言うように、「あと一本」が出なかった。うめちゃんが打たれた「

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【4/7中日戦● 4/8巨人戦】「追い上げる」「追いつく」「勝ち越す」の大きな差と「流れ」のこと

4/7中日戦● 「こういうところで、勝ち越しておきたいんよなー…」と、私は思わずつぶやく。反撃のタイミングで、「あと1点」まで追い上げるのと、「同点」まで追いつくのと、「勝ち越す」のでは、大きな差があるのだ。 できるだけ勝ち越しておきたい。そうして流れをこっちにもってきておきたい。例えば今日であれば、松本くんが二日連続の2ラン(!!)を打って3-4まで追い上げたところだ。流れは一気に、ヤクルトに傾いたように思えた。だけど追い上げは「あと1点」のところまでだった。そこから勝

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【3/31巨人戦● 4/1横浜戦●】おでんと京都とヤクルトと

3/31巨人戦● 必死に働いて得た貯金を、あっというまに使い切る。 というのはまあ、何を隠そう私の得意技でもある。だからもちろん、開幕三連勝で必死に貯めた貯金を、直後に三連敗で使い切るヤクルトにとやかく言う資格は、一切、ない。 京都は四条にある、ほんとうにすばらしいおでんやさん「蛸長」へ行こうとしたら、お店の外で待つ人が数組いた。そりゃそうだ、おいしいもの、と、列に並び、おもむろにDAZNをつける。じゅりは、あっというまに一回表を終わらせていた。 あたたかくなったと思

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【3/30巨人戦●】電車を見つめる3歳と、ヤクルトを眺める38歳と

実家でおじいちゃんの四十九日のおつとめを終え、一息ついていた。なんとなく、まだ帰ってほしくなさそうなお父さんが、「かつおのたたきあるで」と言うので、お庭からおねぎをとってきて細く切り、それをどっさり乗せて食べることにした。「ローストビーフもあるで」と言うものだから、それもサラダにし、「ビールもあるで」と言うものだからビールをグラスに注いでいたら、もう試合は始まっていた。 慌ててテレビをつけると、解説のたてさんが、カツオさんを絶賛しているところだった。 これはいいものを聴け

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【3/29巨人戦●】 エラーのあとの、1本のヒットと、未来の希望

思うに巨人戦というのはいつも、なにかと意味のある局面で訪れる。「ここで勝てば順位が上がる」とか、「優勝に近づく」とか、はたまた「感染症で主力が一気に脱落したピンチ」とか、「16連敗の真っ只中」とか。(…いやそれは、全チームに当たる。) 今日は、「カイマクサンレンショウという見たこともないものを見て勢いづいたあとの神宮開幕戦」、である。

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【11/12 CS巨人戦◯】ピンチを何度も乗り切ってきたのが、今年のヤクルトだったから

手術明けの子ねこを迎えに少し離れた動物病院へいき、てくてく歩いて帰っていたら、試合は始まっていた。 いや、試合は始まっていたどころか、家についたらピッチャーは、じゅりから金久保くんに代わっていた。 え!!!!!じゅりは!!!!!と、言いながら慌ててテレビをつける。なんといっても珍しく、地上波の放送があったのだ。画面の向こうでは金久保くんが、とても緊張した面持ちでボールを投げていた。 そのタイミングで来た仕事のLINEに「じゅり…」と、返信する。もはやなんのことかわからな

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【11/11CS巨人戦◯】きっと、ここからだってまた物語は始まり、続いていく。

とにかく、CSの初戦前から、「今年は冷静にいくぞ、そわそわしないぞ…」と、自分に言い聞かせていた。 それもこれも、あの3年前のCSがトラウマになっているからだ。あの日、やたらと緊張しながら向かった神宮で私が見たのは、スガノーノーだった。 仕方がないのでここでその日のnoteを振り返ってみたい。 悔しい思いはただ募る。消化できない思いをぶつける試合は、明日も明後日もやってこない。シーズン中は、明日は明日の風が吹くと切り替えてきたけれど、その「明日」はもう随分と先までやって

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【10/24巨人戦◯】泣きたいような気持ちで私は、空を見上げる。

しんどいことがあった時は、この映像を見ることにしよう、と、そう思うシーンがいくつかある。 そして今日その「つらい時に見返すフォルダ」に新しい動画がまた、加わった。何回だって何百回だって見返すと思う。(だって人生は、というかヤクルトの試合を見ていたら、「しんどいこと」なんていうのは山ほどあるのだから。) じゅりが二塁上で高く上げた両手を、私はきっと忘れないと、そう思う。どれだけなんでも忘れていく私でも、これだけは。

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【10/23巨人戦●】優勝したい、と願う勇気(みたいなもの)

うまくいくことばかりじゃない、と、それはほんとうにわかっている。いついかなるときも、浮かれてはいけない。そう、いつも言い聞かせる。それでもはやる気持ちは抑えられない。「その瞬間」、私は何を思い、どんな空を見上げるのだろう、そんなことをつい、何度も何度も想像している。 だけど、なかなか厳しい現実が待ち受けている。私の心の奥底で「ほら浮かれちゃいけないって言ったのに」という気持ちが渦巻いているのがわかる。「知ってたよ、そんなこと」と、そんな言葉が、心の隅に張り付いているのが見え

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【10/15巨人戦◯】高級甘鯛弁当の柴漬けのように

今日も元気に仕事が終わらず家を出る時間が遅くなり、もう試合が始まっているというのに神宮に持っていくお弁当をデパ地下で選んでいたら、ヤクルトは早速坂本にホームランを打たれていた。いや、なんだか今日の坂本には打たれる気がしたのだ。言わんこっちゃない。いや、言ってないけど。と、私は思う。 いつもこの時間に安くなっている海鮮丼を見ていたら、岡本にまで2ランを打たれていた。初回に3失点。これはなかなか厳しいパターンではないか。昨日あんなに点が取れなかったヤクルトである。3点差を取り返

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【10/7巨人戦◯】勝ちに不思議の勝ちあり、だけど。

「ノーノーじゃないの…」と、私は今季何度目だ、というつぶやきをもらす。今季何度目だ、どころか昨日も同じことを言ったし、なんなら3年前もまったく同じことをつぶやきそして、本当にそのままノーノーをくらったのである。 そう、あの時も、先発はじゅりで、そして相手ピッチャーはスガノだった。あの年、前半ぜんぜん勝てなかったじゅりは後半戦でぐんぐん成績をのばし、とうとうCS2戦目の先発にも選ばれた。 だけどその試合で、じゅりはシーズン中ほとんど打たれることのなかったホームランを許し、そ

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【10/6巨人戦◯】「君の努力の結晶 今咲き誇れ」と。

「ノーノーじゃないの…」と、私は今季何度目だ、というつぶやきをもらす。 だれもうってないの?と、むすめが言う。だれも打ってないのよ。と、私は答える。 画面には、てっぱちの「打てねえよ」みたいな顔が大きく映る。がんばれ…なんとかメルセデスを打つのだよ…と、私は思う。中5日でマウンドに立ったサイスニードは、決して調子が良いようには見えなかった。早めに点を取っておかないと、これはもう大量失点してしまうのでは…という気さえした。 昨日の悔しそうなてっぱちの表情を思い出す。勝って

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【10/5巨人戦◯】バックネット裏から見えるもの

5回裏、三球三振に倒れたてっぱちは、ベンチ前で悔しそうにバットを振り下ろした。 子どもたちと一緒に初めて座るバックネット裏からは、そんな姿も見える。「すっごいね!!!すぐそこにみんないる!!」と、息子ははしゃいでいた。 2点のリードはある。だけどまだまだ勝負がどう転ぶかはわからない。打ちたい、勝ちたい。なかなか感情を表に出さないてっぱちにも、その気持ちが強く強くあることを、なんだか私は改めて知る。当たり前なのだけれども、それをこんな風に目の当たりにするとなんだか少し、泣き

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