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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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2021年9月の記事一覧

【9/29横浜戦●】いつだって今はきっと、特別な時間なのだ

なんというかもう、そわそわし始めている私にちょうどいいといいますかなんといいますか、いざ、現実!!!というのを見せてくれるかのように、ライアンはしょっぱなからヒットを打たれた。やさしさだ。これはやさしさだ。と、私は言い聞かせる。いつまでもいつまでも、夢をみているわけにはいかない。いつまでもいつまでも、連勝しているわけにはいかない。そう、そんなわけにはいかないのだ。そりゃあ、そうだ。 夜ごはんを作っていたら、あっというまに、6点を取られていた。「ろくしってん!!」と、私は叫ぶ

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【9/28横浜戦◯】38歳の誕生日、青木のグラスラ

「お誕生日おめでとう!38歳さんぱち!てっぱち!」と、カープファンの友達からLINEが届いた。「もう今年はヤクルト応援に切り替えたから!」と、言っている。同じようなことを、別チームファンの友人数人にも言われた。そのたび私は「ありがとう(ありがとう?)、でもたぶん私が一番この状況についていけていない…」と、思っている。 そんなわけで38歳になった。青木パイセンの2つ下である。そんな誕生日の日に私が何をしていたかというと、朝から10キロを走り、軽く筋トレをし、ねこたちならびに観

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【9/26中日戦◯】カツオさんの、信じる強さ

デイゲームで阪神は巨人に勝っていた。そういうのって、プレッシャーになりそうなものを、ここのところよくわからない勝負強さを発揮するヤクルトは、そんな試合で16点を取って快勝した。 むすめはいつも、「カツオさんは、一番年上だから、みんなきんちょうしちゃって打てなくなっちゃうのかなー?」といつも心配そうに話していた。だけどむすめは今日、「がんばればみんな打てるんだね!!」とにこにこ言った。ほんとうだ、がんばれば打てるのだ。 今までカツオさんの日に取れなかった点を取り返すかのよう

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【9/25中日戦△】「不安」に押しつぶされない、投手陣の踏ん張り。

「ノーノーじゃないの。」と、私はビール(にせもの)を飲みながらつぶやく。昨日と打って変わって肌寒い神宮である。持ってきたパーカーを、思わず羽織る。 「ノーノーですねえ」と、息子が答える。外野席グルメを堪能する!と、ポップコーンを頬張っている。特にそれは外野席グルメでもなんでもないと思うのだけれど、なんにしてもこうして「その日の楽しみ」みたいなのを見つけていくのは良いことだ、と思う。そう、ここまでノーノーで進むような、こんな試合の日も。 「打線がおもたーいね、なんか入る感じ

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【9/24中日戦◯】なっしーの一年前の熱投と、今日の好投

去年の9月、神宮でなっしーが投げた日に負けた試合の帰り道、前を歩いていた男性二人組の会話をふと、思い出す。 「まーでも高梨よかったんじゃないの!」 「7回投げたしね…っていやでも4失点だよ?」 「いやいやいや、次につながるよ」 「そう言い続けてもう半分たっちゃったよ!?」 「いやいやいや、来年も再来年もあるし!!」 その日、負けてとぼとぼ歩いていた私は、二人の会話に思わずふふふと笑ってしまった。そうだよな、今日のなっしーの熱投は、「次につながる」よな、と思った。「来年も、

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【9/23横浜戦◯】「挑戦者」のヤクルト

「まだまだ僕たちは挑戦者」と、田口が言った。 ああ、そうだ、それだ。と、私はなんだかすとん、と、腑に落ちた感じがした。 「連勝」にも「優勝争い」にも、慣れていない。私がヤクルトを好きになったのは2017年だった。その年ヤクルトは96敗をして、借金51でシーズンを終えた。「なんでまたこんな年に」と、もう40年以上ヤクルトファンをしている先輩は笑って言った。それを言うなら「なんでまたこんなチームを40年も」とも言えるわけだけれども、人にはそれぞれの事情と物語がある。 だから

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【9/22横浜戦◯】どんな時だって目の前の一試合と向き合っていくこと

私はあっちの試合を気にして、こっちの試合を気にして…と、やっているわけだけれども、選手たちはただただ、目の前の試合に集中しているのだ。 と、そんな当たり前のことに、ムーチョのヒロインを聞きながら改めて気づく。「阪神が破れました!」と言うインタビュアーに、「え!知らなかったです」と、素直に答えた。そして「ヤクルトが首位に立ちました」と聞き、「よしっ」と小さくつぶやいた。 その反応はなんだかとても新鮮で、いや、テレビで見ている私と同じような喜び方といえばそんな気もして、いいな

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【9/21横浜戦◯】チームの雰囲気と勢いが、自信につながっていくのを見ながら

気圧にがっつりとやられ、お昼のうちに作っておいた茹で鶏をお皿に盛り付ける気力すらわかず、近所のキッチンカーに夕飯を買いにいくことにした。 キッチンカーの前で息子と一緒になににしようか悩みつつ、スポナビをチェックすると、ヤクルトはノーアウト満塁のピンチ…じゃなくてチャンスを迎えていた。「あれ、なにがあった…!」と言いながら、その場でDAZNを開くと、ちょうど村上くんの打球がそのまま、スタンドに吸い込まれていく瞬間だった。 「ちょっと…むらかみさまが、先制グランドスラムをお打

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【9/20広島戦△】秋の空に舞う花火を見上げながら

「僕の計算によると、このままのペースでいくとこの試合は7:45に終わるよ。」と、ラッキーセブンに息子が言う。「1イニング平均がこれくらいだからさ…」と、なにやら計算式を教えてくれる。その計算は母さんにはよくわからないけれどもとにかく、サクサクサクサクと試合は進んでいた。 「これ、19時半からのスイーツ半額タイムの前に試合が終わっちゃうんじゃにないの…」と、私はぶつぶつ言う。今日は久々の外野席だったので、外野スイーツを食べるのを楽しみにしてきたのだ。キャラメルモンブランパフェ

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【9/19広島戦◯】村上くんが見せてくれた100本分の希望

※こちらは有料設定ですが、村上くん100号記念に最後まで無料で読めます! あの日、あっというまに目の前に飛び込んできたホームランの軌道を、今もよく覚えている。 それは、ついこの間のことだったような気がする。でもそういえばあの日は神宮は満員で、(もちろん真っ赤に染まり)、そして安室ちゃんが引退する日で、新井さんが引退前の神宮最後の試合だった。ヤクルトたちは全員、安室ちゃんの曲を登場曲にして打席に立った。 去りゆく人がいる中、まだ若いけいじくんが投げ、ベテランの外野陣が後ろ

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【9/18巨人戦△】みやさまがいた松山で、どろんこになっていた塩見のこと

(写真は、3年前の松山キャンプの紅白戦で息子が書いていたスコア表。なつかしい。) 満塁ホームランを打った翌日に、サイクルヒットを達成した選手なんているのだろうか。いるのです。それが塩見である。 「あれ、塩見サイクルリーチやん」と、私はようやく気づく。 「でもなあ、サイクルがかかるとなったら緊張して打てなくなるかも…」と、言った瞬間、塩見は最後の2塁打を放った。あまりの展開に私はまた思わず、笑ってしまう。この世には予想もつかないことが山のようにあるけれど、塩見が満塁ホーム

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【9/17巨人戦◯】奥川くんの、しなやかな強さのこと

試合開始直後、先頭打者に早速ヒットを打たれ、 無死1,2塁のピンチを招いたときに、「今日はあんまり調子が良くないかなあ、奥川くんにだってそんな日はあるよね」と、私は思った。 坂本にしっかりタイムリーを打たれた時には、こういう日もある、と、覚悟せねば、と、そう思った。 ところがそのあとをゲッツーに打ち取った奥川くんは、次にしっかり三振を奪い、初回のピンチを1失点で乗り切った。強いわ…と、思わずつぶやく。あのかわいい、まだあどけなさの残るハタチの表情のどこから、その強さが出て

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【9/15阪神戦◯】シミノボの三球三振

もし自分が野球選手だっとして、できることならばこの場面には立ちたくない。というのがいくつかある。(いや、いくつもある。)エースが1-0で踏ん張って作った試合の8回表、2アウト満塁の場面で先発が降板したあとのマウンド、というのもその一つだ。

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【9/14阪神戦△】引き分けは、うまくいくことと、うまくいかなかったことが同じだけ重なった結果なのだろう

ホームランというのは、1本でいっぱい点が入るからすごい。と、小学生のようなことを今、かみしめている。ホームランってすごい。味方のホームランはあんなにもテンションが上がるけれど、9回表に打たれる同点3ランは、こんなにも心をえぐられる。なんで私は野球を応援するはめになったのだっけ…と、もう何度目だという天を、私は仰ぐ。天も仰いだ私の顔に飽きてるんじゃないかと思う。 でもそれは、「逆転」の3ランにはならなかったんだよな、と、時間が経って今、改めて思っている。それは、あくまでも「同

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