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2024.5.1読書メモ(自分用)

①人新世の「資本論」   斎藤幸平
 集英社新書 2020年9月22日

現代の資本主義の行き過ぎと環境問題が関連しているという前提で、
資本主義的な成長思考を脱ぎ捨て、マルクスの言っていたコミュニズムを
目指そうと解説する本。養老孟司先生の本に度々登場した本書、
そしてTBSの夕方ワイドショーNスタに斎藤先生がコメンテーターとして出演されているのを見て読むことを決めた。
1〜6章は7章以降のまとめに導くための前提知識の説明で、圧倒的勉強不足人生の私にはかなりタフだった。わからない言葉をYoutubeやインターネットを駆使して調べ、理解し、読み進めるという、今までで一番勉強しながら読むことになった。

資本主義への批判と捉えることもできるけれども
私はこの本は地球を守るための問題点洗い出し書、もしくはガイドブックのように感じた。

SDGsの脆弱性
価値と使用価値の乖離

P220
私たちのほとんどは、自分の手で動物を飼育し、魚を釣り、それらを捌くという能力を持っていない。一昔前の人々は、そのための道具さえも、自前で作っていた。それに比べると、私たちは資本主義に取り込まれ、生き物として無力になっている。商品の力を媒介せずには生きられない。自然とともに生きるための技術を失ってしまっているのである。だから私たちは周辺部からの涼奪によってしか、年の生活を成り立たせることができない。

P276
無限の経済成長を断念し、万人のはんえいとじぞくかのうせいに重きを置くという自己抑制こそが、「自由の国」を拡張し、脱成長コミュニズムという未来を作り出すのである。

P291
マルクスの物質代謝論
資本の無限の価値増殖を求める生産が、自然本来の循環過程と乖離し、最終的には、人間と自然の関係のうちに「修復不可能な亀裂」を産むという見方だ。

P313
ケアやコミュニケーションが重視される社会的再生産の領域では、画一化やマニュアル化を徹底しようとしても、求められている作業は複雑で多岐にわたるため、イレギュラーな要素が常に発生してしまう。このイレギュラーな要素はどうしても排除できないため、ロボットやAIでは対応しきれないのである。
 これこそケア労働が「使用価値」を重視した生産であることの証である。

P362
しかし、ここに「三・五%」という数字がある。なんの数字かわかるだろうか。ハーヴァード大学の政治学者エリカ・チェノウェスらの研究によると、「三・五%」の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が大きく変わるというのである。

②Chatter 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法
Chatter: The Voice in Our Head, Why It Matters, and How toHarness It
イーサン・クロス 鬼澤忍〔訳〕
東洋経済新報社 2022年1月21日

頭の中でネガティブな反芻をしてしまう時に、どう対処するのか。この分野に関して科学的な証明がいくつもされている、それを一般社会に向けて解説した本。自分が無意識にやっていることの理由だったりがすでに科学的に証明されていたりするところが面白い。また、文章がかなりわかりやすくまとまっているので1週間で読みきれた。

その中の一つに自然の中に身を置くことで、脳の注意力を再充電できるという説明があった。コロナ禍で始めたキャンプだったけど、不安な心を鎮めるために無意識にそちらに向かっていたのかもしれないと過去の実体験を思い出した。

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