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歌舞伎の底力

「歌舞伎の底力」
幸四郎さんがよく口にする言葉が、
この疫病禍の中でとても安心を与えてくれます。

今日の歌舞伎座第一部が中止になりました。昨日に発表があり、関係者に陽性者の方が出たようです。そして全員がPCR検査を受けました。さらに役者さん1名の感染が確認され、濃厚接触者にあたる役者さんも出てしまいました。

えええ!!しばらく中止かと思いきや、「一條大蔵譚」は代役を立て、「祝春元禄花見踊」は演出を変更して、明日から再開するとの発表に、さすが歌舞伎!と感動しました。

大蔵譚のほうの代役は誰だろうと思い見るとさらに驚きでした。常盤御前を歌女之丞さん、お京を京蔵さん、鳴瀬を國久さん。歌舞伎のお家に生まれた皆様ではなく、研修生を経て役者さんになった皆様です。

扇雀さん七之助さんが濃厚接触者になったその代役です。特に常盤御前、お京は大役なので、現在はこの配役で歌舞伎座では見ることがないと思います。ものすごく観たい!お稽古期間なく、ぶっつけ本番でなさると思うのです。普段は脇を固めるベテランの皆様が、ここぞという時に抜擢されるとは、歌舞伎の層の厚さはいつもながらすごいです。

京蔵さんのお京が観たいなぁ。なんとか観に行けないかな。

今回に限らず、歌舞伎は必ず代役が立つので休演になりません。これはいつも感動します。急病で明日から。。となっても誰かが務めます。主役級が変わってしまうこともあるのです。

疫病前は、海老蔵さん主役の公演(本人がほぼ出ずっぱり)が中止になったことくらいしか記憶にありません。

で、感動していたら第三部も代役のお知らせが入りました。
「岩戸の景清」の景清を演じている松也さんが濃厚接触者になりました。代役は、なんと澤瀉屋の猿弥さん!これもびっくり。

この演目は、今年も中止になった浅草歌舞伎メンバー(若手役者)の一幕です。そのリーダー的存在の松也さんのポジションにいきなり猿弥さん!誰かが繰り上がるとかは考えなかったのかな。。でも澤瀉屋ファンとしては、荒事の猿弥さんを見ることができるなんてレアだし、こんなチャンスはもうないかもしれない。若手に囲まれて中心にいる猿弥さんが見たいではないですか。それに猿弥さんが歌舞伎座で芯を務めるのは観たことがないかも。。

もちろん、松也さん、そして一部に出られなくなった皆様も無事に戻ってくることを祈っています。千穐楽までに皆様が揃いますように。

止まるわけにはいかないのです。

歌舞伎の専門誌「演劇界」が休止になります。松竹だけで支えている歌舞伎は、思うより深刻な状態だと思ったほうがいいのかもしれません。

こうして代役が立ち、幕が開き続けることで、観る側の私は勇気をもらえます。感染者が増えて多くの人が不安です。でも生活を止めるわけにはいきません。歌舞伎の幕を開けようと頑張る姿に、私も頑張ろうと思えます。

歌舞伎の底力を信じています。
一日一日、できることで応援したいです。


aya

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