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なぜ勉強しなければいけないのか

お題を頂いた。
「(日本の?先進諸国の?)子供はなぜ仕事でお金を稼ぐのではなく勉強しなければいけないのか」というお題。

まずは、ここでいう「勉強」とは何を指すのか。

「なぜ仕事でお金を稼ぐのではなく、勉強しなければいけないのか」

「なぜ仕事でお金を稼ぐ前に、勉強という段階を踏むのか」
と変換できる。

よって、この「勉強」とは、小中高の学校教育で行われる「勉強」を指すといえよう。
つまり、およそ6~18歳までに行われる学校教育の意義が問われている。

誰のための勉強?

なぜ勉強をしなければいけないのかを問うならば、
まずは
・誰が勉強をさせているのか
・その勉強内容は誰が作っているのか
を問うてみよう。

答えは、(おおむね)国である。
国と言っても、僕たち国民による民主的な選挙で選ばれた国会議員から成る国会で承認された法律に基づいて、内閣の文部科学省大臣の下で官僚指導で作成された教育内容を勉強している。(超早口)

なぜ、国が教育内容を作成するのか。
大きく答えるなら、「国民を作るため」といえる。
そのために、教育を用いて「common」を醸成する。
「common」とは、共通了解である。(つまり、「常識」)

仮定してみよう。
子どもがまったく自由に育った場合、そしてそのような子どもしかいない場合、「国民」とはならない。
学校で、共通の知識を身につけ、共通の体験をする。
「日本国民」としての「常識」を共有しているという意味での連帯が生まれるのである。
特に、小中段階、義務教育段階の学校教育の内容は、その節が強い。
つまり、自らが役に立つから勉強するという側面はあるものの、それよりも国民を作るための装置に組み込まれて勉強させられているといえよう。

しかしながら、高校以後の勉強は、競争のためである。
「微分積分なんて将来使わないのになんで勉強するの!」という問いは実はあまり要領を得ていない。逆である。
使わないから勉強するのだ。
これは小中段階とは違う。
将来使わないから、競争のための勉強となる。
みんなが将来使うものであったら、みんなが勉強するので競争にならない。

勉強という「義務」

さて、ここまで見てきて、改めて、
「なぜ勉強しなければいけないのか」を問うてみよう。
この問いには、「義務感」がある。
「勉強しなければならない」という義務感。
ここが重要である。
小中段階では、常識を作るために義務教育として勉強が強いられる。
高校以後の段階では、社会上昇のための競争の装置としての勉強が強いられる。
「なぜ勉強しなければいけないのか」という意識はここから生まれている。

「国」に勉強させられ、「競争」に勉強させられている。
「なぜ勉強しなければいけないのか」と思わせられている。
そして、「○○という理由で勉強しなければいけない!」というのは、方便であるともいえる。
なぜなら、勉強させているのは、「国」「競争」であるからだ。
私たちが自発的にやっているわけではないのだから、私たちの中に勉強の理由はない。義務である。やらなきゃいけないからやるのだ。(定言命法的)

よく
「海外の教育は人の創造性を高めている!」
「海外の教育は自由だ!」
等の話を聞くが、「教育」という時点で「教える」存在がいて、おおむね「国」である。
もし、その国の教育が「自由で創造性を高めている」ならば、「自由で創造性を高めるのが良い」というある種の不自由を押し付けられているだけである。

大丈夫だよ

ここまで聞いてどう思うだろうか。
むなしいかもしれない。
結局、教育を受けている以上、やらされているだけで勉強自体に異議はないと思うかもしれない。

しかしながら、重要なのは、僕たちは自由であるという点だ。
我々は本来的には自由な生き物である。
先ほどの僕の話に抜けている視点は、学習者の視点である。
教育という営みは、「教えるもの」と「学ぶもの」によって行われる。

僕らが学習者として、唯一「教えるもの」に対抗できる方法は、
「問うこと」
である。
問うて、考える。
学習者はこれができる。大変すばらしいと思う。

教育が如何に力を持っていたとしても、
僕たちを完全に制御することはできない。
だからこそ生まれたのが、
「なぜ勉強しなければいけないのか」
という問いである。
この問いは、
「教育というおしつけ装置」×「自由な学習者」の葛藤により生まれた
問いなのだ。

まちょめ

まとめよう。
「なぜ勉強しなければいけないのか」という問いには答えられない。
なぜなら、させられているだけだからだ。
僕たちの中に理由はない。
一方で、そのように問えるということは、あなたは自由である。
だから、自由に学ぶことができる。
「他者から教えられる」ことと「自分で学ぶこと」のバランスを取ろう。
どちらも重要で、かつ切り離せない。

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