バイクの話

僕はバイクが大好きである。

大学2年次、柔道部の先輩が(僕は柔道部ではない)後ろに乗せてくれたのがきっかけでバイクの魅力に取り憑かれた。原付では味わえないあの感覚に魅せられ、どうしてもバイクに乗りたくなったのである。

その頃、車の免許は持っていたものの、二輪免許は持っていなかったし、まだ親に食わせてもらっている身分且つ住民票は実家のままになっていたので、教習所へ行きたくても書類が・・・でも絶対に免許は欲しい！！！さて、どうするか。

「大学を卒業したら神奈川県警に入って箱根駅伝の先導をしたい！！」

なんて具体的な夢なのだろう。こう言われてNOと言える親入るだろうか？しかも僕の祖父は警察官で、手前味噌ではあるが警察功労賞と勲章までいただいている優秀な警察官だったのだ！尚且つ祖父は孫の中で僕のことを1番可愛がってくれていたし、孫でも平気でぶん殴る祖父だったので僕以外の孫は祖父を怖がり、あまり近寄らなかった。そういったバックボーンと言うか祖父の威を借る僕ちゃんはちゃっかり免許代と必要書類を揃えたのであった。

大学2年の12月に見事中免GET！この時大型にしておけば。と今になって思ってはいるが、若い頃に大型なんか取って乗り回していたら間違いなく死んでいたと思われるので、大型はこれから自分のお金でとりに行きます。

免許を取ったら乗りたくなるのが人間。

ご飯はバイト先の賄いだけにし、ひたすらバイトバイトバイトバイトバイト・・・の日々。それでも全然苦痛ではなかったし、早くバイクに乗りたくてとにかくバイト三昧。

学生生活を謳歌しまくっていた僕は単位が留年ギリギリの超絶瀬戸際だったのでテスト勉強とレポートもしっかりやらないといけない、部活もある。後輩には奢らなければいけない。それでも月に10万円を貯め、3ヶ月で目標の30万円を手に入れた！

当時、車体価格25万円の中古バイクを狙っていて、その他費用諸々込みで30万円を用意する必要があったのだが、絶対3ヶ月で貯める！と心に決め、達成できたあの時の気持ちは今も忘れられない。

30万円と言ったら大金だ。今でもそう思うのだから、学生当時の30万は今の100万以上の感覚だ。

東松山のとあるバイク屋で買ったあのバイクをきっかけに今もバイク好きの僕がいる。

バイクのお陰で仲良くなった人もたくさんいるし、たくさん思い出ができた。これからもそれらは増えていくであろう。

「バイクの何がいい？車とどう違うの？バイクじゃなきゃいけない理由は？」

バイクに乗らない人からよく投げかけられる疑問だ。バイク乗りならこの質問を受けた回数は1度や2度ではないはずだ。

僕の答えは決まってこれ。

「バイクはその時、その瞬間しか見られない景色を見せてくれるから。」

どういうことかと言うと、車だと同乗者に撮ってもらったり、信号待ちで写真を撮ることも可能だが、バイクはそうはいかない。（最近はゴープロ等もあるが、無しを想定している）走りながらの光景は目に焼き付けることしかできない。もちろん、停車することも可能だが、複数人でツーリングをしていたら良い景色があるところでその都度バイクから降りて写真撮影などしない。だからこそその瞬間を大事にする。運転しながらなので長時間よそ見をするわけにもいかないのでチラッと横目で見るだけのこともある。それだけ神経を研ぎ澄まし、一瞬の光景を見ようとしているからなのか、バイクから見る景色は格段に美しく感じる。これがバイクの醍醐味だ。

きれいな景色を見たあとの休憩で「〇〇きれいだったね！」と話しながら飲むコンビニのコーヒーは高級喫茶店の味にも引けを取らない。さっきできたばかりの思い出がコーヒーを美味しくしてくれる。

以前はバリバリの愛煙家だったのでコーヒーと煙草のセットだったが、今はコーヒーだけを存分に堪能している。

こんなことを書いてたらバイクに乗りたくなってきた。

バイクは危険！とよく言われるが、走り方次第なところもある且つ、どんな乗り物だろうが乗る時点で事故のリスクは0ではない。

自分が原因の事故を起こさぬよう気を付けて走れば世間で言われているほど危ない乗り物ではないと思う。

バイクからの特別な景色で感動してくれる人が1人でも増えたらいいな。と祈願しまして、武蔵君による本日のバイク布教活動はお開きとさせていただきます。

バイク、楽しいよ？