映画「花束みたいな恋をした」を観た

普段なら恋愛映画は観に行きませんが、久しぶりの映画だったので嗜好を変えた新鮮なやつでも楽しめるんじゃないかと思って思い切りました。

確かに思い切りが必要でした。恋愛経験のない僕がそんな映画を観ても共感できず交通費を含めた2千いくらかを払って暗い大きな部屋で2時間くらい良く眠る、という贅沢な休日を過ごす恐れがあったためです。

結局寝てしまったのかというと、実は寝ませんでした。久しぶりの映画鑑賞というちょっとしたゴージャスな甘味的喜びが日常に滴下されることでよく目が開いた点を差し引いても、なるほどと思って注目する点が映画の中に結構多かったからです。

ネタバレは不本意なのですが、恋愛映画ってオチ知っててもよくないですか?別に騙されませんし。アッと驚く内容だったら「アッと驚く」って映画ポスターに書いてますもんね。

自分の価値観の奥深さやその知識量を尊く美しいものとして疑わない菅田将暉と有村架純がお互いの価値観がマル被りした現実に面食らってベタ惚れして3日間セックスして同棲して、就活適当にやったツケで社会で苦労してそしたらご自慢の価値観が段々ズレ始め、しまいにはクソ泣きながら別れたけど二人とも今は幸せでおまんがな、おしまい。

という手続きが作中では行われていました。時代設定が凝ってて、2015年から2020年辺りの現代日本でした。作中でクマムシのあったかいんだからぁ~が歌われてたりニンテンドースイッチが発売され始めてたりと、細かい時代考証が丁寧に織り込まれ、その辺で大学生活を過ごした自分にとっては非常に興味深かったです。懐かしみました。(自分で言うのもなんですが、この年齢層の若造ほど懐かしみたがるんです)

「今の情勢とちょいまえの情勢を比べて欲しいなぁ~」という意図があるのでしょうか?映像作品の表現技術について知識がないまま映画の感想をnoteに書く愚行を犯している自分に詳しい狙いは分かりませんが、鑑賞後、「思い出を良いものとして大切にとっておこう」というニュアンスのメッセージをこの映画に感じたのでそんなことを考えました。

あと面白かったのが、菅田将暉が大学生時代から目標としていたイラストレーターの仕事がうまくいかず、有村架純と同棲するためにはちゃんと働かなきゃいけないからと就活を始めたところです。

恋愛に関する描写に疎い自分としては、この映画内で繰り広げられる「恋愛あるある」についていくことができず、すべて(いちゃいちゃ中)という脳内字幕が補完されていたため、こういった登場人物の人生におけるちょっとした選択の取り方に大きく興味を惹かれました。また、イラストで食ってくことを目指していた菅田将暉が現実を鑑みてやっぱり会社員になろうと決意したことが個人的には凄く意外で、強く印象に残りました。ここだけでも映画に行った価値がありました。大きく出てみました。

菅田将暉は最初、薄給でイラストの仕事を貰ってたんです。でもあまりに薄給で、自分は観ている側として(いや働けよ。働きながらやれよ)って思ってたんです。そしたら菅田将暉が「俺働くよ」って有村架純に言いだして、自分は心の中で快哉を叫びました。実際には何度か大きくうなずきました。

恋愛ものは全然観たことないんですけど、恋愛映画って大体、夢追いかけたら失敗してそれが恋愛に悪影響与えません?夢追いかけてて失敗するやつ(大体男)にそんな頑張るなよ的な言葉吐くと獰猛な海外の動物くらい噛み付いてきて別れの始まりになりませんか?

なんか、恋愛ものって共感してナンボみたいなイメージあって、それで菅田将暉が働くことを決意するってことは、この判断が共感を生むんですよね。自分で言うのもなんですが、やっぱ現代っ子は真面目っすよね。

それがいいんですよね。結局。子供のうちに大人に歯向かってもたかが知れてますからね。ちゃんとした大人になってから大人に歯向かうのがいいと自分は思います。

ただ牙を抜かれたら歯向かえないので、よく歯を磨きつつ大人の敷いたレールに乗りましょう。

ともかく恋愛なんかにうつつ抜かしてんじゃないよ!!!

コラ!!!

価値観どうなってんねん!!!

アホ!!!

価値観被ったので惚れんなや!!!

ボケ!!!

「自分マイナーなのが好きなんで」ってスタンスとるならそこに他人を入れんなよ!

恥じろ!好きなものが他人と被ったら恥じろ!

価値観被ったくらいで惚れちまったらよお!
そのマイナー志向にもケチがつくんだよお!

てめえは個性出るからマイナーなのが好きなんか!
普通でいるのがそんなに怖えのか!

セックスは好きなクセに!!!
セックスはメジャーだぞ!!!
畜生でもするんだからな!!!

俺はしたことねえぞ!!!


生粋のマイナー志向じゃあ!!!

ひれ伏せ!!!!!

とまあこんな具合に牙研いで、大人になったらちゃんと大人に歯向かうことにします。

グルルルルル!!!

ガタンゴトン
ガタンゴトン

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