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つぼやき

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つぶやきとぼやき
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#毎日note

母親に言われたことがある。人のこと許せば楽になるよと。専門学校の先生には本当に損な性格してるよねと言われた。上司も扱い辛いと言う。確かに私は狭量で頑固で忘れっぽいところがある。でも別にそれでいいと思っていた。娘が私に似てくるまでは。なんて性格の悪いやつなんだ、と思いましたもんね。

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動物占い知ってますか?ビースターズという漫画を読んで思い出しました。家族を占ってみると一人は肉食動物で残りの三人は草食動物という結果です。小鹿の私がチーターの妻に惚れ込んで生まれたタヌキとコアラの姉妹は、今のところチーターの要素は見当たらずメロンのようにもならなそうな感じです。

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キュウリのようにクールて、一体なんだろうとずっと思っていた。大人になるにつれて、そういうのに近づいていくんだろうと何となく思っていた。エスカレーターに乗るみたいに。18の時に読んだ小説「心臓を貫かれて」なんとなくわかったような気でいたことが、今になってもわからないままでいます。

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腰の骨と骨の間にブスリと針を差し込んでグリグリこねくり回した後に熱い液体を注がれて脚がジンジン痺れている。ギックリ腰だと思っていたら椎間板ヘルニアだった。4年に1回こうなる。シドニーからここまで中止も延期もなく開催されている私のヘル二アンピック。今年は延期と思ったのにな。

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私のかけら。あなたを一目見たときに震えたの。普段は沈黙を守るかけら。冷たくて深い闇の中で眠るかけら。あなたに揺さぶられて火照るかけら。心は熱い光を浴びて輝きはじめる。特別な時間は私を焼く。このかけらは何処からきたの。どうしてあの人にだけ反応するの。私にはわからない。

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1mmでも興味を持ってくれたら嬉しい。話しかけたら笑顔が返ってきたわ。たまに目があうの。やがて付き合うようになった。もう私が考えてることって言わなくても分かるわよね?いいえ。あなたが考えてることって最初から最期まで1mmもわかりません。本当に。私はただあなたを好きなだけですから。

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空を隙間なく埋めた雲から溢れた糸雨が目に入ってくすぐったかった。笑う瞼をこすりながら朝の道路がしっとり湿っているのを感じてブレーキをかけながら自転車を漕いだ。久しぶりの出社に緊張した私の心が私を追い越さないようにゆっくり進む自転車はかつての現実に私を運ぼうとしていた。

今、私の願いが叶うならば、鴨鹿のような脚が欲しい。蛸のように滑らかな股関節が欲しい。真新しい雑巾を絞り上げたように引き締まった腰が欲しい。翼のように大きな肩甲骨が欲しい。電柱のように強固で真っ直ぐな首と、朝日を睨み返す鷹のような眼が欲しい。生きてこその願い。生きてこその体です。

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夕方の太陽光が伸びたり縮んだりしながら私の視界を焼いている。その光はアスファルトに反射して眩しく照らされているので道路のかすかな段差が見えない。細いタイヤで車道を走るのって怖いんです。それでなくても私は普段から、ちくわの切り端みたいに小さく縮み上がって自転車に乗っているのです。

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藤井風のなんなんwを聴くと方言がまるでおしゃれに聞こえる。聴いとるだけで気持ちええんじゃけえ歌う方はもっと気持ちええんじゃろうな。大阪風お好み焼きとか広東風かに玉とか食べ物を連想させる彼の名前をツイッターで検索すると藤井風にアレンジされた音楽をおいしくいただけます。ご存じですか?

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電気で動くものに電気が通っていない。駐輪場から出られなくなってしまって緊急連絡先のフリーダイヤルに電話する。トゥルル。出ません。トゥルル。呼び出し音の長さに比例して、沈黙を守る精算機を蹴り上げたい衝動が高まります。トゥルル。怒りのために震えるなんて何年ぶりでしょうか。トゥルル。

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昔、多摩川で見つかったアザラシのたまちゃん覚えてますか?私は覚えてませんでした。多摩川沿いには実に多くのスイッチが隠されていて、それを押すたびに川の底に沈んでいたような様々な記憶が浮かび上がってきます。こういうのを原風景っていうんでしょうね。たまちゃんは元気にやってるでしょうか。

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ガソリンの排気が烟る赤堤通りにロードバイクに乗って颯爽と現れた彼女。前傾姿勢を崩さず一定のリズムでペダルを回す。彼女の髪の匂いが風に乗って後ろに流れていく。黒いズボンに包まれた大きいお尻が暗闇の中の赤提灯みたいにドシンと車道に浮かんでいて、私はそれを頼りに渋谷まで自転車を漕いだ。

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腕時計はどっちの手につけますか?私は左手です。それでたまに右手につけるとすごく違和感がある。なんか調子でないんだよな。在宅に慣れてしまった私という腕時計がたまに会社で時間を進めているとやっぱり違和感を感じてしまう。退勤まであとどれくらいか。やたら腕時計を気にしたりしてですね。