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#リストラ

第4話 被告人

2008年10月2日時間ギリギリまで事実関係を頭に叩き込み、13:00ジャストに呼んでいたタクシーに乗って行き先を告げる。 「京都地裁まで」 出来ればその言葉を一生告げることなく人生を終えたかったが、昨年末に社長になってからというもの、まるで自分の人生が自分の人生ではないかのように、すっかりアンコントローラブルなものになってしまっていた。 27歳になったばかりの新米社長のため、就任直後はそれまでの体制を大きく変更することなく進めてきたが、就任直後に思い切った決断をしたこと

第5話 リストラ

2009年6月12日ギャンブルがそうであるように、人生や経営にも波がある。うまくいく時は何をやってもうまくいくが、駄目な時は何をやっても駄目だ。この日は、その駄目で最悪な日々の中でも、どん底にまで落ちた一日であった。 継いだばかりの会社が大赤字になることが確定していた期中に、いち早く経営幹部の若返りとリストラの大鉈を振るい、翌期の黒字転換に道筋をつけるも、リストラをしたことで会社に対する信用不安が巻き起こっていた。本来ならばリストラをするということは会社の業績や中身が改善