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「WAVES」という次世代の北野映画

美空ビバリーです。
今回は2021/1/3に視聴した映画の感想を書いていこうと思います。

あらすじ
高校生タイラーは、成績優秀なレスリング部のエリート選手、美しい恋人アレクシスもいる。厳格な父親ロナルドとの間に距離を感じながらも、恵まれた家庭に育ち、何不自由のない生活を送っていた。そんなある日、不運にも肩の負傷が発覚し、医師から選手生命の危機を告げられる。そして追い打ちをかけるかのように、恋人の妊娠が判明。徐々に狂い始めた人生の歯車に翻弄され、自分を見失っていく。そしてある夜、タイラーと家族の運命を変える決定的な悲劇が起こる。
(引用:https://filmarks.com/movies/86235)

視聴後、真っ先に思ったのは「これ北野映画じゃん!」でした。
「なんで北野映画なん?」という理由は以下で解説します。

①”音楽”が感情を引っ張ってくる

音楽」の使い方がエモすぎる
で、また流れる音楽がAnimal CollectiveTame ImpalaKanye WestFrank Ocean…10'sを代表するミュージシャンたちの楽曲がふんだんに使われてるというね…!

怒りの時は激しく、悲しい時はしんみりと、登場人物の表情・感情・心情に合わせて音楽が流れる
歌詞が主人公の行動・感情とリンクしていくシーンは息をのむほど美しく、みるみる内に映画の虜になっていくでしょう。

この辺が「ソナチネ」にも通ずるな~と思ったポイントです。

②印象付ける”色彩”

本作は「色使い」が印象的です。
『ムーンライト』以降のインディー映画特有の自然光を着色させた生々しく鮮やかで柔らかい光の表現が実に美しいです。

特筆すべきは「赤と青」!
さまざまなシーンでこの配色を活かしており、時にそれが重要な伏線だったりもします。

こちらも「Dolls」や「3-4x10月」を彷彿とさせるような、色彩の力をひしひしと感じます。

③淡々とした視線

本作が北野映画的である最大の理由はやはりこれに尽きると思います。

時に激情を伴い、またあるときは寂寞の思いが押し寄せる。
そんな不安定な感情の”波”を俯瞰し、淡々と描く観測者的目線が実に北野映画らしいなと思いました。

また「WAVES」というタイトルの通り、人生とは寄せては返す波のように、全ての幸運が近づくこともあれば、逆にすべて奪い遠ざかっていくこともあるわけで。

その浮き沈みを「幸」「不幸」の二元論ではなく、
人生はそういうこともあるし、それでも人生は続いてく」という価値観を掲示した従来のハリウッドとは一線を画す映画でした。

そしてその価値観こそ、北野武の最高傑作である「キッズ・リターン」が掲示したそれと同じでした。

総括

音楽好きなら見て損はなし!北野映画が好きならもっと損はなし!

これが今後の映画のフォーマットになっていく…そんな気さえする全く新しい青春映画の傑作です!

以上、映画感想文でした。