拝啓、樋口康雄さま
坂本龍一や冨田勲と並んで、現代日本人作曲家で大好きな方です。
上記の坂本さんと同い歳の1952年生まれ、1972年に『ピコ』のニックネームでミュージシャンデビューしました。
デビューはフォークソングだったんですよね。
現在60代後半くらいの方にとってはこちらの名前のほうが通りがいいのかも知れません。
でも今振り返ると、このデビュー曲が「作曲家としてキャリアを積み上げるための布石」と思えてきます。実際どうなのでしょうね。
残念ながら1970〜80年代は田舎住まいだったのでリアルで聴くことが出来なかった樋口氏の劇伴とCM音楽をいくつかご紹介。
(こういうのがいつでも聴けるなんて本当に素晴らしい時代になりましたね!)
劇伴デビュー作品である1973年のNHKドラマ『遠い海の記憶』。
1975年のNHK時代劇『ふりむくな鶴吉』
1976年のTBSドラマ『さらばかぐわしき日々』。
ここからCM曲です。
同じく1976年、渋谷西武のCM。
◆1980年 池袋西武
膨大な数のドラマ、映画、CM、アニメの音楽を作られました。「多彩な人だなぁ」というのが率直な印象。
自分が名前を知ったのは1980年の映画『火の鳥2772』でした。
音楽は当時大人気だったゴダイゴを起用することになっていたのに、手塚さんが「どうしても樋口康雄で!」ということで音楽を担当することになったという話を聞いたことがあります。
『ヴァイオリンコンツェルトKOMA』という作品を聴いて感動し、絶対に彼に音楽を任せようと考えたそうです。
その翌年、日本テレビの『愛は地球を救う』の毎年恒例手塚アニメの音楽を担当なさいました。
80年のリメイク版TVアニメ『鉄腕アトム』も彼に音楽を担当して貰うつもりだったのが大人の事情でポシャり、その穴埋めにこちらをお願いした、みたいなエピソードを読んだことがあります。
80年代のCMは「え?これもそうだったの?」というのが結構ありますね。
CM音楽はいちいち名前が表記されませんのでリアルタイムでは分からなかったものの妙に音が印象に残っていて、後年「あぁぁやっぱこの人のだったのか!」みたいなの、ありますね。
「抑えきれない滲み出る個性」をご堪能ください。これらはほんの一例です。
◆1984年 ハウスフルーチェ
◆1984年 三菱ミラージュ
◆1986年 全日空
◆1986年 月桂冠
◆1987年 サントリーリザーブ
◆1990年 NTTデータ通信
◆1991年 UCCコーヒー
◆1996年 機動戦士ガンダムX
◆2002年 パイロット ゲルマーカー
この方は、木管楽器、特にバスクラとファゴットの使い方が秀逸だといつも思います。
◆2004年 NHK『うごく絵じてん』
比較的最近だとこの曲が印象に残っています。
◆小西康陽『メゾン・ド・ショコラ』の中の1曲『オーケストラの男』
音楽的に恵まれた環境で育ったらしいですけど作曲と和声や管弦楽法はほぼ独学だそうで、それでポピュラーからオーケストラまで、こんな瑞々しくてエッジが効いてて壮大な音楽を書くなんて、ほんと信じられないですね。
もっと評価されるべき作曲家だと思うんですよね・・・。