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死物語 上・下巻 感想

一年ぶりの物語シリーズですね。


村神都並です。

シンプルな感想記事です。

前回の扇物語の感想同様ネタバレを堂々とするので読んでから読むことをオススメします。

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(ネタバレ回避用です)

上巻

時事ネタに関しては賛否あるけど個人的には「この作品単一として見た場合はアリ、シリーズ全体を通した場合はナシ」という評価になる。

単一で見た場合、おそらくコロナに関する要素が無ければより阿良々木の存在のつまらなさは加速していただろうし、オチのデスの死に関しても繋ぎが難しかっただろう。

この点においては明らかに文章が足りないオチを提示された扇物語よりも遥かにマシといえる。


全体的にコロナを軸に構成や説得力のある動きではあったものの、憑物語のベクトルに近いつまらなさだろう。
しかしこれはモンスターシーズンが意図してそう言った流れにしているため仕方ないと言えば仕方ない。
後に黒歴史シーズンと呼ばれるかもしれないが。

更にこういった時事ネタは後の扱い等が非常に難しい。
特に物語シリーズには結物語というエピローグ的存在があり、デスの死がコロナである事や、阿良々木がリモート卒業式をしている事象で既に矛盾が発生している。

物語シリーズはそういったことを無かったことにするタイプの作品ではあるが、流石にデスの死を冒涜することはないと願いたい。

一方でトロピカレスクの件りは回収出来てるなと感じた。

作品の流れ上平坦だったものの、個人的には扇物語みたいに流れをぶったぎって置いてけぼりがないだけマシというのが上巻の総括です。

下巻

導入だけで既に上巻を越えている。
ぶっちゃけた話、上巻の阿良々木の会話を総計してもこっちの会話の方が面白い。

その際のオカ研に関しての情報は一部のファンの貴重な栄養になったことだろう。
つーか忍野の呪いって本編中に明かされてたっけ?

無人島(?)シーンに関しては想像のしやすさの面で多少なり賛否があるかもしれないけど、アラサー付近の世代は黄金伝説世代なので多分想像出来たのではないだろうか、まさに俺がそう。
多分撫子も物語シリーズの時代的に考えれば大体それくらいだろうし。
じゃなかったら銛もどき持って海に潜らないだろう。

また、実は無人島ではなく西表島の人が住んでいない場所付近(多分南西部?)だったという部分も、撫子の思考や行動で我々の脳内からその可能性を捨てさせたのも面白い。
実際にそんな状態なら撫子のジャングルに挑まない思考は明らかに正着なのもそれを加速させている。
この世界はハンドシミュレーターサバイバルではないのだ。

余接の復活理由もちゃんと筋が通っており、撫子のキャラ性とも合っているのも良くて、上巻での余接の姿の回収が成されている。
おそらく上巻における「呪いの新生」も伏線であり、余接も作中にあるように新生されたため、そのままの姿で先の時系列である上巻に登場したのだろう。
(しかしこの場合、伊豆湖の元にあった目はどうなるのだろうか。後のシリーズで回収されなさそうだなぁ…)

迂路子の件りに関しても、ある意味で作中の登場人物のほとんどを踏み台にして撫子が成長した形になっていて、モンスターシーズンのラストとしては個人的にとても好き。
踏み台になってないのが戦場ヶ原と真宵とファイヤーシスターズくらいなんだよな………
(阿良々木、神原→扇関連
羽川→扇を生み出すきっかけ
伊豆湖→迂路子関連
遠江→そもそもの根源
オカ研→舞台装置)

迂路子の出自には納得したけど、本当に臥煙伊豆子って面倒なやつだな………

下巻の総括としては内容の構成も乱高下していて、サバイバル生活からどう展開していくんだという気持ちがあったり、能力を使い出すきっかけだったり、迂路子の出自やオカ研の小噺など、個人的には満足行く内容だった。
今までの阿良々木編はなんだったんだ。

後記

結局言及されるだけされてなんもない神原の夏休み編はいつやるんだ…
オフシーズンのシーズン2とかあるんか…?
その際は月火の上京した撫子宅押し掛け編もやって欲しいものだが…


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