仮説:真の課題は「初老害」の存在


まず、老害という言葉について思うこと

タイトルの説明は一旦おいておき、「老害」という言葉がありますよね。ぼくはこの「老害」という言葉があまり好きではないです。
理由は明確で、ほとんどの高齢者は害ではないからです。
よく「IT普及の足を引っ張っているのは高齢者がついていけないから」という論がありますが、ぼくはこれを真っ向から否定しています。

そしてタイトルで定義している「初老害」とは、高齢者の一歩手前、50~60代の人が「本当に足を引っ張っている張本人なのでは?」というお話をしていきたいと思います。

タイトルにあるとおり、あくまで「仮説」ですので、実態がどうかはわかりません。

高齢者は実はITに柔軟である

よく新しいテクノロジーが登場したときに「高齢者はついてこれないだろう」みたいな言葉が飛び交うのですが、実は高齢者は柔軟についてきてるんじゃないかと、ぼくは考えています。

現代の高齢者を75歳以上とした場合、まさに団塊の世代ですね。
この世代の方々の全員を知っているわけではありませんが、ポケモンGOが流行っていたり、高齢者専門雑誌でスマホの特集を組むと人気コンテンツになっていたりと、ITに対してすごく前向きな傾向がうかがえます。

それもそのはず、この世代の方々は子供の頃にテレビもなく、電話も他人の家に借りに行くような時代だったと聞いています。(ぼくは経験ないですが)

そんな世代の人たちは、約60年という目まぐるしい時代を生きていく中で、電話が一家に一台当たり前、テレビは白黒からカラーになり、洗濯板を使っていたのが全自動洗濯機に置き換わり、一家に一台の電話は一人一台の携帯電話になり、サラリーマンはデスクの上に書類と灰皿だったのが、パソコンがドンと置かれて急にExcelの使い方を学ばされ、電話のやりとりがメールに置き換わり、インターネットで基本的な知識は全て習得できる時代を経て現在に至っています。

そんな方々が柔軟でないわけがないんです。
現在もポケGoに勤しんでる高齢者を見ると、本当にすごいと思います。
戦争で余儀なく田舎に引越しをさせられ、親戚との会話はお隣さんの家に「おじゃまします。すいません、また電話借ります」って言って、電話がかかってくるまで電話機の前で正座して待ってた世代ですよ。
そんな人がポケGoやってるんですよ。すごくないですか?

たしかに「IT苦手」みたいな声はある

例えばスマホの新機能やバーコード決済なんかで「いやー、年寄りにはこんなのわがんねぇよ」という言葉を発することはあると思います。
だから「高齢者はITが苦手」という決めつけはよくないです。

じゃあ中学生の一人が「走るの苦手なんだよね」と言ったら、「中学生は走るのが苦手」になりますか?なりませんよね。

総理大臣が「英語が苦手」って言ったら「日本人は全員、英語が苦手」になりますか?なりませんよね。

知らないことを覚えなくてはいけないことに対する愚痴なんて誰にもあります。それを「わたしゃ年寄りだから」という枕詞を使っているだけじゃないですか。そのくらいで「高齢者は総じてITが苦手」と決めつけるのはよくないです。

なんだったらむしろ高齢者はITに柔軟で、よく付いてきているとさえ思えます。バーコード決済使ってる高齢者、けっこういますよ。
旅行先で「写真撮りましょうか?」と声をかけてくれ、スマホを渡すと普通にシャッター押してくれます。よく知ってるし、怖がりもしません。

昔で言えば、カメラなんて「魂を吸い取る道具」として恐れられた時代もあったんですよ。そこから見るととんでもない進化だと思いませんか?

では「高齢者を悪」たらしめてるのは誰か?

高齢者は決してITが苦手ではない。
ではなぜ「高齢者はITが苦手だから日本のITが遅れている」という現象が起きているのか。この答えの一つとして、ぼくは「初老害」という言葉を定義して仮説を立てています。

新しい企画や商品を提案するときに、「高齢者がついていけないんじゃないか」というシーン、想像つきますよね。あれ誰が言ってるのでしょう?
そう、50~60代の役職者が多いですよね。その人たちが「勝手な妄想で発展にブレーキをかけている」と思っています。

きっとこの人達も無意識でしょう。そして「高齢者はわからないから可哀想だ」というむしろ慈悲のような気持ちで言ってるでしょうから、余計にたちが悪いんです。

実際に高齢者は本当に使いこなせないのか?そういったデータも存在せずに勝手に高齢者を下に見て自分が優位な立場から無意識に発展の後退を促している。

なかなかの害ですよね。まさに「初老害」です。

なぜ「初老害」は反対するのか?

ではなぜこの「初老害」の人たちは高齢者のせいにして反対をするのでしょうか?答えは至極簡単です。

自分がついていけてないからです。

一定の役職に立つ者として、自分がついていけないものは高齢者だってついていけないに決まっていると思い込むのでしょう。そして「高齢者にはついていけない」という、でっちあげの介護目線で偉そうに反対することで、推進が遅れるんです。

ここまですごく棘のある言い方をしてきましたが、「初老害」の方に悪意はありません。深層心理で忌避しているものの、自分のせいにしたくないので、自分より格下の存在のせいにしようという潜在意識から出ているものですので、決して悪意があるわけではないですし、「推進したくないわけじゃない」みたいな論もきっと本音なのでしょう。

どうすれば解消できるのか?

現代のリーダークラスが「初老害」として、それが深層心理で忌避しているものをどうやって解消できるのか?なかなか難しいですが、まずは皆さんが「高齢者は別に苦手じゃなくね?」と論じるようにすべきだと思います。

「高齢者はIT苦手だ」=「そうですよね」
の公式が成立しちゃってるから悪いのであって、「初老害」の方の深層心理などはっきり言ってどうでもいいんです。
「高齢者はIT苦手だ」=「いやそんなことはない」
という公式にすれば発展を阻害する要因は大きく解消できるはずです。

むすびますが

そして「高齢者はきっと苦手だろう」という言葉を発したことがある方は、今一度「本当に?」と自分に問いかけてみてください。高齢者のせいにしてるけど、他に反対したい理由があるんじゃないですか?高齢者のせいにすれば抗弁力が強いから、その理由をでっちあげていませんか?

そして、大きな組織に属する方であれば、そんな根拠もないどうでもいい理由で反対するのではなく、「この組織はどうなりたいか」というビジョンがあるはずです。そのビジョンと照らし合わせて「実行すべきか否か」をジャッジするべきです。

そうしないと、社員は「この上司、毎回ブレブレなんだよな」と思ってしまいます。

残念ながら「老害」と定義されるような困った高齢者も一部いらっしゃることは事実だと思います。でもその比率ってどうなんでしょう?「困った若い子」や「困った中年」も一定いますよね。
それと比率的にはどうなんでしょう?大して変わらないのかも知れないし、実態は逆なのかも知れません。

なので「高齢者は」と主語大きく語ることは間違っていますし、社会のことを考えて長年培った社会経験をもとにプロとしての矜持で推進判断をしていただきたいと思います。


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