【AIR】物を大切に使い続ける文化を醸成する「リペアカフェ」で地域コミュニティも育む
皆さん、「リペアカフェ」ってご存知でしょうか?「リペアカフェ」の発祥と言われているのがオランダのようでして、壊れたモノを修理したい人、修理技術を学びたい人が集い、修理の技術を楽しみながら共有していこうという地域内のコミュニティです。
・REPAIR CAFE
https://www.repaircafe.org/
始まりのルーツは、オランダ在住で環境ジャーナリストをしている女性が、モノを作って、使って、捨てる、という大量生産・大量消費型の社会のあり方に対する代替案として、モノを廃棄せず循環させていく社会、今でいうサーキュラーエコノミーを作っていくためにアムステルダムでスタートしたそうです。
・オランダ発のリペアカフェに学ぶサーキュラーエコノミーの要、「修理」文化促進のヒント
https://cehub.jp/opinion/repair-cafe/
上記の記事によると「2009年にアムステルダムで世界で初めてのリペアカフェをオープンしてから、現在はオランダ国内では476軒、世界でみれば35の国と地域で2000以上のコミュニティにまで広がっている」みたいです。
開催場所は、地域のコミュニティセンターや図書館、学校等の公共施設だったり、教会、空き店舗等を活用して実施されます。
・英国・サセックスのリペアカフェ「Horsham Repair Cafe」
https://www.sussexgreenliving.org.uk/cafes-forums/horsham-repair-cafe/
リペアカフェで修理の対象となるのは、掃除機、トースター、ヘアドライヤー、DVDプレーヤーといった家庭用電化製品、家具、衣類、自転車、おもちゃ等さまざまな物が修理対象となります。修理を担当しているのは、ボランティアとして参加している地域住民です。特に高齢者のボランティアが多く、リタイアしたたものの現役時代に技術者として培ったスキルを提供したり、定年してから修理スキルを習得した方もいたりします。
簡単な修理は無料で実施しており、手間や技術が必要な修理は手間賃代わりに寄付をするのがマナーとなっているようです。
一昔前の日本だと、自宅の家電製品が壊れたらひとまずネジ外して、どんな構造になってるかチェックして自力で直せそうか調べてみたり、街の電気屋さんに持ち込むとその場で修理できそうなものはしてくれたりしたものですが、リペアカフェはその現代版に近いかもしれません。
リペアカフェは修理することでモノの寿命を伸ばし地域で循環させる場になっていますが、他にも修理をきっかけにして地域住民同士でコミュニケーションが生まれたり、地域に眠っている修理ノウハウをもった高齢者が社会と接点をもち活躍できる機会を創出できたり、という地域コミュニテイをエンパワーメントしていくというまちづくり的な役割も期待できそうです。
サーキュラーエコノミーの重要性が高まる昨今、廃棄物処理・資源有効利用分野でもリペアが市場に占める割合も高まっています。
環境省が令和4年6月に公表している「環境産業の市場規模・雇用規模等の 推計結果の概要について(2020年版)」によると、廃棄物処理・資源有効利用分野の2050年の国内市場規模は約52.3兆円となり、 2020~50年において「リフォーム、リペア」が34.8%と最も多くなっています。
・環境省 環境産業の市場規模・雇用規模等の 推計結果の概要について(2020年版)
https://www.env.go.jp/content/000046487.pdf
物価高の影響やSDGsをきっかけに生活者環境意識の高まりが追い風となり、リユース品市場も拡大をみせています。
・リユース2.6兆円市場 店舗網を拡大協業も
https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/feature/CO037451/20230830-OYTAT50025/
こうした市場や生活者の意識が循環型社会に向かって変化してきている背景もあり、地域内に物を大切に使い続ける文化を醸成する「リペアカフェ」は、地域コミュニティづくりを図っていく新たな街のコンテンツになり得るかもしれませんね。
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