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ゾンビ映画は何故「難しい」のか?

ゾンビ映画に関心を持たれた初学者の方が
「ゾンビ映画は難しい」と良く仰られます。
では「何」が難しいのでしょうか。

先ず大前提として知っていただきたいのは
「「ゾンビ映画」の発祥」についてで
ジョージ・A・ロメロ監督が1978年に生んだ
「ゾンビ」(米題:DAWN OF THE DEAD)が余りにも面白く,
皆が皆「ゾンビ」を模倣するか,
或いは新機軸を目指したゾンビ映画がワッと作られました。
つまりロメロの「ゾンビ」が無ければ「ゾンビ映画」という
ジャンルは存在し得なかった事実を知っていただきたいのです。

コレは
「「機動戦士ガンダム」が無ければ「水星の魔女」は生まれなかった。」
とは意味合いが根本的に異なります。
「水星の魔女」は公式公認の作品でキチンと「認知」されてるのに対し
「モビルフォース・ガンガル」(知らんでしょう?)は公式非公認の
「認知」されてないバッタモンであり
「「機動戦士ガンダム」が無ければ「ガンガル」は生まれなかった。」
と同じ文脈で
「ロメロの「ゾンビ」が無ければ「ゾンビ映画」は生まれなかった。」
と僕は言っており「ゾンビ映画」の本質は「バッタモンの集合」なのです。

モビルフォース・ガンガル

畢竟の名著・「ゾンビ映画大事典」の著者・伊東美和氏は
前書で次の様に書かれてます。

「(ロメロの「ゾンビ」に衝撃を受けた僕は)第二の「ゾンビ」,
第二のロメロを求め,ビデオ化されたゾンビ映画を漁り始めた。
だが幾ら探しても第二のロメロは見つからなかった。
それもその筈,ゾンビ映画の大半は紛れもないゴミだったのだ。」

伊東さんは世界中のゾンビ映画を「全部観た」から事典が記せるのであって
その伊東さんが「ゾンビ映画の大半は紛れもないゴミ」と断じられてる。
その言葉には重みがあり決して軽んじる事は出来ない。

「ゴミ」とは粗製乱造されたバッタモンって事。
バッタモンの代表として僕は「メンコ」を例に挙げたい。
仮面ライダーやウルトラマンが人気を得ると,
メンコの絵柄に仮面ライダーやウルトラマンに
意図的に似せた紛らわしいものが増えた。
「紛らわしい」のがバッタモンの特徴なのだ。

上記の写真は「ゾンビ」のイタリアでのタイトルである。
昔のイタリアはバッタモンが横行していた。

上の写真は邦題を「サンゲリア」と言うゾンビ映画だが,
原題は「ZOMBIE」と言う。
勿論ロメロの「ゾンビ」と間違えて観て貰う為の題名だ。
「間違えて観て貰う」「間違えて買って貰う」
卑しい卑しい心根こそがバッタモンの真骨頂なのだ。

上の写真は「サンゲリア」の「ふたつめの原題」だ。
「なんで原題がふたつもあるの?」ですって?
そんなの僕が聞きたいよ!
ロメロの「ゾンビ」の続編でも何でもない癖に「続編」を僭称してるのだ。

さて。上の写真は邦題を「サンゲリア2」と言うのだが
勿論「サンゲリア」の続編ではない。
「サンゲリアの続編」を僭称してるのだ。
しかも図々しい事に原題はロメロの「ゾンビ」の続編の
そのまた続編を僭称してるのだ。
「面の皮が厚い」のがバッタモンの特徴なのだ。

そりゃあね。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」
で粗製乱造されたゾンビ映画の中にも
「観るべき価値のある作品」はある。
でもね。
「ゾンビ映画」が「心根の卑しさ」を発祥としてる事実は断じて覆らない。
「そこのところ」は決して見誤ってはならないと思う。

初学者の諸君の頭がパンクするのは多分ココだと思う。
ロメロの「ゾンビ」,フルチの「サンゲリア」,「サンゲリア2」の
違いを見抜くのだ。

さ~あドンドン行くよ!

次の初学者諸君の「躓きポイント」はココ。
「サンゲリア2」(原題:ZOMBI3)とは別に
邦題「ゾンビ3」なる映画が存在し,
勿論「ゾンビ3」はロメロの「ゾンビ」の続編でも何でもないんだ。
多分「ハァ!?」と叫ばれたと思う。

「ゾンビ映画」の本質は「バッタモン」でありバッタモンが馴れ馴れしく
本物の続編を僭称するのを第1の特徴としてるんだ。

次に邦題が意図的に紛らわしい例の代表として
「サンゲリア」と「ゾンゲリア」の例を挙げたい。

確かに邦題は紛らわしいが見分け方は実に簡単だ。

いいですか。
女の目玉に木片が刺さるのがサンゲリア,
男の目玉に注射針が刺さるのがゾンゲリアです。
簡単じゃろ?

初学者の諸君が躓き易いのが上記3点だと思う。

「名前が紛らわしい問題」はホラー映画全体の問題で
「サスペリア」「サンゲリア」「ゾンゲリア」「ゾンバイオ」
「サランドラ」「ザンゴリラ」「ゲロゾイド」「スクワーム」
「マーターズ」「アングスト」「シーバース」「マーティン」
「ヘルナイト」「ヘルハウス」「センチネル」「マッキラー」
「悪魔のいけにえ」「恐怖のいけにえ」「悪魔のはらわた」
「死霊のはらわた」「死霊のえじき」「死霊のしたたり」…。
等々ハッキリ言って訳が分からないだろうと思う。
題名の紛らわらしさを論拠に
「ホラー映画はいかがわしい」
と言われたら僕には到底抗弁出来ない。
コレはもうね…化学を履修する者が実験を通じて
紛らわしい化合物や化学式をひとつひとつ覚えて行く様に
ひとつひとつ映画を観て覚えて行くしかないと思う。

「ゾンビ映画」は星の数あれどその殆どが「観るのが苦行」のうえ,
その殆どが「他人」の癖に勝手に「親戚」と名乗ってる
図々しい連中の集まりと認識して
楽しいゾンビ映画ライフを愉しんで頂けたらと思う。

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