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テレビ番組「江戸川乱歩の美女シリーズ 氷柱の美女&浴室の美女」レビュー「「吸血鬼」の乱歩の猟奇性の再現度と血糊の量に感激!」

毎日放送(関東ではTBS)で,
1977年4月2日から10月1日迄(第1期),
1978年4月8日から10月28日迄(第2期),
の2期に渡って放送され好評を博した「横溝正史シリーズ」の成功をテレビ朝日は黙って放っては置かず,
そっちが横溝正史なら,こっちは江戸川乱歩だと言わんばかりに,
同局の「非情のライセンス」で会田刑事役を演じる天知茂に白羽の矢を立てた。
彼を明智小五郎役に据え,乱歩の猟奇とエロスで対抗したのだ。
放送は「土曜ワイド劇場」枠。
本商品には第1作 吸血鬼と第2作 魔術師が収録されている。

第1作 吸血鬼(1977年8月20日放送)
未亡人柳倭文子(三ツ矢歌子)の寵愛を奪い合い
2つのグラスに注がれたワインに仕込まれた毒を煽り合う,
奇妙な決闘をする2人の求婚者三谷(松橋登)と岡田(菅貫太郎)。
決闘は岡田が敗れた上,誤って硫酸を顔に浴び醜い面相となり,その場を去る。
その後,岡田の衣服を着た顔が判別できぬ水死体が上がる。
痴情の縺れが齎した奇妙な決闘は岡田の水死で決着したかに思われたが,
倭文子の亡夫の子が醜い面相の男に誘拐される。
岡田が吸血鬼と化して冥府から甦ったとでも言うのだろうか…。

血だら真っ赤な犯行動機の演出と
血だら真っ赤な結末の為に用意された血糊の量,
明智(天知茂)の「非情のライセンス」もビックリの非情さ,
乱歩の猟奇性の再現度,
どれを取っても素晴らしい出来で,第2作以降がヌルく感じる程だ。
現在では到底TV放送出来ないだろう。

第2作 魔術師(1978年1月7日放送)
保養地で玉村妙子(夏樹陽子)と懇意になった明智(天知茂)は,
彼女の叔父が奇怪な脅迫状を受け取っていると知り助力を約束するが,
彼は正体不明の賊に拉致監禁されてしまう。
賊の首魁(西村晃)は,
「俺の50年来の大使命の邪魔をするな」
と警告するが斯様な恫喝を素直に聴く明智ではない。
明智は彼の企みを阻止出来るのか…?

明智小五郎(天知茂)vsマモー(西村晃)の夢の対決が堪能出来る一篇。
西村晃の怪演が最大の見どころと言っていい。
原作では西村晃の娘として登場した文代が後の明智夫人となるのだが,
その件は改変され文代(五十嵐めぐみ)は
最初から明智の助手で結婚はしなさそうだ。
西村晃の娘は綾子(高橋洋子)と名乗り文代とも
エヴァの主題歌を歌う人とも別人で今回限りの出演の模様。
「吸血鬼」の猟奇性は大分軽減され気楽に観られるが,
乱歩作品が「気楽に観られ」ちゃあイカンのである。

2話終了の時点で「美女シリーズ」のテーマ曲は未完成。
あの曲がかかると意気が揚がるので早く聴きたいものだ。

特典は予告編のみ。
画質も廉価版なら許せる程度。

本商品の評価は第1作 吸血鬼が100点満点で120点。
第2作 魔術師が100点満点で80点。
平均を取って100点満点故に5つ星評価とする。

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