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ラグビー#11|どんなシステム!?イングランド代表のキックオフレシーブに迫ってみた!

ラグビーの戦術で、重要項目のひとつであるセットプレー。
スクラムやラインアウトなどに加え、キックオフ(リスタート)も大事なセットプレーのひとつです。

スクラムからのアタックや、ラインアウトからのディフェンスがあるように、キックオフにもアタックとディフェンス(レシーブ)があります。

キックオフアタックであれば、相手の陣形を見てどこに穴があるのか、自分たちの強みを活かすにはどこに蹴れば良いのか。
キックオフレシーブであれば、ボールを確保した後にどのようにアタックを組み立てていくのか。
戦術としてプランを持っておく必要があると思います。

僕のNoteで毎回お馴染みのイングランド代表。
今回は、イングランド代表がキックオフレシーブからどのような戦術を取っているのかを書いていきたいと思います。

自陣からはもちろんキック!誰からキックする?

イングランド代表がキック主体でゲームを組み立てているということは、以前の記事で書きました。

【イングランドのキックに関する記事はコチラ】
ラグビー#10|ゲインを取らずに勝利!?イングランドのある『武器』に迫ってみた!

自陣からは、もちろんキックを使っていくことが考えれられます。
では、どのようなキックを使っているのか?

2020年シックスネイションズとオータムネイションズカップの計9試合
イングランドのキックオフレシーブ50回を調べてみると・・

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約70%は9番からのキックを使っていました。

イングランドはキックオフのボールをキャッチしてラックを形成した後、9番からボックスキック(コンテストキック)を使います。
これは以前の記事にも書いたように、イングランドは9番からのキックが一番多いという結果からも、だいたい予想がつきます。

では、なぜ9番からキックを蹴るのか?
今回は少し深掘りして、9からのボックスキックのメリットを考えてみます。

9番から使うキックのメリット
▪︎FWにブロックしてもらい、プレッシャーを減らしてキックができる
▪︎ゲインラインからパスでボールを後ろへ下げずにキックができる
▪︎コンテストキックを上げることで、ボール再獲得のチャンスがある

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メリットは、こんな感じかなと思います。(まだあるかもしれませんが。)
前提として、9番のキック精度が求められますが、イングランドの9番はみんな精度が高いです。

9番からのキックは、イングランドの戦術としてとても重要視しているのではないか・・
実は、過去の僕の経験から思うことがありました。

過去の経験というのが、イングランド代表の試合を何回か生観戦した時。
イングランド代表は、試合前のウォーミングアップで9番からキックした時のチェイスの確認を必ず行っていました。
さらに、ウォーミングアップでよくみられる光景の、最後のコンタクトバッグへのタックル。
そのタックル後も9番からキックを蹴り、キックチェイスまですることを一連の流れとして行っていました。

試合前にも念入りに確認するほどなので、イングランドにとってはとても大事なことなんだなと。
結果としても表れているので、イングランドの9番からのキック戦術には納得です。

キックオフレシーブの陣形からの戦術

イングランド代表の、キックオフレシーブの陣形はこんな感じです。

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試合によって7番と2番が入れ替わったり、コートニー・ロウズなど身長が高い選手が6番に入ると7番の位置に来たりと、完全な固定ではないですが、だいたいこのような配置になっています。

なんだか・・いい形してますよね。(さすがイングランド!)

キックオフレシーブの陣形には、チームの特徴が出ます。
前の位置に2人ポッドを4つ作ったり、後ろを重視して配置したり。

結構面白いので、ぜひいろんなチームの陣形を見てみてください。
自分ならここに蹴ろうかな?なんて分析してみるのも面白いかもしれません。
このイングランドの配置だと・・・どこに蹴ろうかな?笑
僕が考えた蹴りどころを、後ほど少し紹介します。

少し話がそれましたが、ここから9番のキックに備えてどのように動いていくか。
見ていると、イングランドの特徴を1つ見つけました。

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イングランド陣右奥で8番がキャッチし、キャリーした場合です。

『7番』がキーになる動きをしていました。
イングランドの7番、キックに備えてブラインドサイド(狭いサイド)に回ることが多いんです。
これは、左奥に蹴られた時も同じです。

チームで一番タックルが強く、ジャッカルが得意な選手をここに配置する・・。
何か意図を感じます。

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9番からのコンテストキックでイングランドが行いたいことは、もちろんボールの再獲得。
再獲得するために、このようなことを仕掛けます。
▪︎ハイボールを競りに行ってコンテスト
▪︎キャッチした相手にスマッシュタックル
▪︎ジャッカルでボールを取り返す

傾向としてボールを競りに行くよりも、プレッシャーをかけるタックルやジャッカルを重視しているように見えました。

そのために、この場所には7番が必要になるということでしょうか。
7番で出場するアンダーヒルやベン・アールは、インパクトあるタックルでのプレッシャータックル後のジャッカルを常に狙っているように感じました。

ターンオーバーできなくても、相手のボール出しを遅らせることができれば、イングランドのディフェンスラインがセッティング完了します。
ここまで整えられれば、ボールを取り返すまでイングランドが大好きなディフェンスの時間になりますね。

このパターンを崩すためには?

イングランドファンなので、あんまりここは書きたくなかったですが(笑)、イングランドのパターンに持ち込ませないためにはどうしたらいいかを考えてみました。

イングランドの、キックオフレシーブから9番キックまでの形をどう崩すか。
まず、キックの蹴りどころを見ていきましょう。

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僕は2ヶ所、蹴りどころを見つけました。
まず1つ目は、前に立つ2番の位置へのコンテストキック。(赤印左側)
イングランドは、真ん中の前キックをカバーするために、キッカーの前に2番・12番・7番が立っています。

まず、この3人がシングルリフト含めリフトされる可能性はありません。
1v1の競り合いを仕掛けることができます。
この3人の中で、一番コンテストで勝てそうなのは・・・2番かなと。
(ジェイミー・ジョージごめんなさい!)
背の高い選手を2番へのコンテストに当てれれば、ボール再獲得のチャンスがあると思います。

2つ目は、10番に直接取らせるキックを蹴ること。(赤印右側)
イングランドの試合を見ていると、キックオフから10番が直接キャッチした場合は、10番自らそのままエリアを取るキックを蹴ります。

タッチに出してきたら、そこからマイボールのラインアウトアタック。
ノータッチであれば、カウンターアタックを仕掛けることができます。

このように、イングランドのパターンに持ち込ませないために、キックの蹴りどころを考えるのもひとつの手であると思います。

また、激戦を繰り広げたオータムネイションズカップ決勝でのフランスは、最初のキックオフでこのような仕掛けをしてきました。
下の映像0:11からご覧ください。

キックオフのボールをキャッチした14番ワトソンを寝かせない・・いわゆるラックを作らせずタッチに押し出す戦法を取りました。

フランスの奇襲攻撃は成功し、敵陣からのマイボールアタック。
このような崩し方もあるんだなぁと、勉強させられました。

システムを遂行し続ける力

イングランドは、相手がどこであろうとキックオフレシーブはこの動きを徹底して行っていました。
相手が分析してきてわかっていても、9番からのキックを使います。

強い拘りにも感じますが、イングランドはこのシステムをどんな相手にも遂行し続ける力があると思っています。

自分たちの強みとしてブレない何かがあるチームは、やはり強いです。

2月からのシックスネイションズ。
どんなシステム、どんな拘りを見せてくれるかが、とても楽しみです。

以上、今回はイングランドのキックオフレシーブについてでした!
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!



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