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現代詩「孤島」

「孤島」
村崎懐炉

孤島の岬に立って海を見つむる

そんな時間が必要だ

 

岬で好きな詩を諳んじる

そんな時間が必要だ

 

そこにいるのは

私であって

もはや私でないかもしれぬ

一匹の獣が人間のふりをして

読めもしないポエジーを

鳴いているだけやもしれぬ

 

そういった拙さを打ち消して

波は静かに満ちていく

孤島の岬は

そんなところだ

 

私の語る数々の

告白をしらんぷりして

聞き流す

 

もしか空飛ぶ海鳥が

其れを聞いているかもしれぬ

その海鳥が

海を渡って

子々孫々に

私の嗚咽を伝えるやもしれぬ

 

もしか子々孫々が

かくのごとき戯言を

聞きたくあれば

波の音を聞くが良い

 

静かな波は私の

静かな声をなぞらえる

荒ぶる波は私の

荒ぶる声をなぞらえる

日々の単調な繰り返しを

波は果てなくなぞらえる

 

今私はこうやって

うそぶきながら

耳を澄まし

波に溶けたちちははの

数々の声を聞いているのだ

 

言の葉は

波間に落ちて魚となって

海を泳いでいる

 

さかなたち

見てくれるな

私を