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眠れぬ夜の奇妙なコメント師「朝起きてカーテンをあける」NEMURENU45と次回テーマ発表

眠れぬ夜の奇妙なコメント師とは・・・

全国のNEMUの皆さん、コンバンワ。今宵も眠れぬ夜がやってきました。

NEMURENU第45集【朝起きてカーテンをあける】には、多くの方にご参加頂きましてありがとうございました。眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーがまとまると、何処からともなく「ヤツラ」がやってくる!今回も、NEMURENUにコメント師様がやってきましたよ!それでは早速コメント師様たちからお話を頂戴致しましょう!

「眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー第45集【朝起きてカーテンをあける】はこちら!」


コメント師様たちのコメント

空飛ぶ箒 様

空飛ぶ箒 - 秋野紅人

コメント師プロフィール
星座と言えばオリオン座しかわからなかったが、最近冬の大三角形がわかるようになった。

コメント師様に質問!
「好きなファーストフード」
定期的に「食べたいっ」となるファストフードはケンタッキーフライドチキン。オリジナルチキンをひたすら食らいます。

空飛ぶ箒さんが「お見事」のテーマで選ぶ三題
07小説「something four」闇夜のカラス
09小説「間男のでんぐり返し」海亀湾館長
13音楽「カーテンが揺れている」テツオ


 アンソロジーのテーマとしては、「季節のイベント」や「物」が良く用いられる。いずれも「名詞」だ。しかし、この「眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー」には、その様な常識は通用しない。かつては「ぱりん」(擬音語)や「壁にガムテープ」(不条理な情景)という、他のアンソロジーでは決して採用されないであろうテーマが用いられていた号もあった。
 今号のテーマも、非常に独特のものだ。
「朝起きて、カーテンを開ける」(動作、ああるいは、情景)
 果たして、各作者はこのテーマをどのように作品に落とし込んだのだろうか。

「間男のでんぐり返し」 (海亀湾館長 氏)
 本作では「朝起きて、カーテンを開ける」というテーマを、状況(シチュエーション)として作品に落とし込んでいる。
 女性の家で酔いつぶれた主人公は、明け方近くになって家人が帰ってきたため窓から外に逃げる。しかし、壁と壁の間に落ち込んで動けなくなってしまうのだ。それも頭を下にしたでんぐり返しの格好で。「ああ、このまま時間が経てば、左右の家々の人々が起き出してきてカーテンを開けるだろう。そうしたら、この有り得ない体勢で隙間にはまり込んでいる俺を見てどう思うだろうか」と、嘆く主人公。主人公と一緒に読者の意識も向けられるのだ。あの家の窓に引かれたカーテンが開きはしないか、こちらの家の窓はどうかと。
 ユーモアたっぷりのストーリーも素晴らしいが、難解なテーマを実に見事に消化して作品に組み込んだその構成力には、お見事というしかない。


「Something four」 (闇夜のカラス 氏)
 本作では「朝起きて、カーテンを開ける」というテーマが冒頭に持ってこられ、次に「人生のターニングポイントは、たぶん、ここだった」というモノローグが入る。
 「ここ」とは、主人公が朝カーテンを開けてベランダに出て、外にいる先生を目撃する場面を指すのだが、冒頭に持ってこられた「カーテンを開ける」というフレーズは、その際の動作を表すのと同時に、ターニングポイントを過ぎた主人公の前に新しい世界が開かれたということをも、力強く示している。
 爽やかな恋愛小説、青春小説というべき本作の冒頭にふさわしい、工夫された書き出しは実にお見事だった。

「カーテンが揺れている」(あこぎてつお 氏)
 本作はこのアンソロジーのために作られた曲ではないが、窓辺で揺れるカーテンが実に印象的だ。何も考えがまとまらずぼんやりとしている僕。その心の不安定さをカーテンは表しているようでもあるし、僕を取り巻く周囲やこれから進む先の不確かさを表しているようでもある。そして、その波のように揺れるカーテンをじっと見続けていると、やがて息が詰まって溺れるような錯覚まで起こしてしまうのだ。
 誰にでもある(起こり得る)青春の一景を、見事に切り取った一曲、心に沁みた。



NEMURENUバーオレンジ



ゴテンマリシティ 様

400400glass - 海亀湾館長

コメント師プロフィール
薬局で「メンソレータムAD乳液タイプ」をすすめられて使ったら、乾燥肌が改善されました。

コメント師様に質問!
「おすすめの読書」
気付けば、アン・タイラー、アリス・マンロー、アンナ・カヴァンと、Aから始まる名前の作家ばかり読もうとしています。


ゴテンマリシティさんが「ロマンスの三態」のテーマで選んだ三題
02小説「谷口八重子は笑わない」朝見水葉
07小説「something four」闇夜のカラス
11小説「ノスタルジア・サァカス」りりかる


02小説「谷口八重子は笑わない」朝見水葉さん

 毎回、作品を読み解く楽しみというものを授けて下さる朝見さんの小説です。(実際は私が勝手に読み解きをしているだけで、作者の意図とは違う遥か斜め上に向かって理解しているのかも知れず、もしもそうなっているようならば本当にいつも申し訳ないです)
今回は、記事のコメント欄にある作者自身が作品について触れられている事柄も大いに参考にして、再読、再々読、を楽しみました。
特に本作は限定された地域が舞台で、日比谷公園から有楽町、銀座、そして隅田川まで、と現実に即しています。グーグルマップと付き合わせて読むと、主人公と真知子叔母そして権田と行動を共にしている感覚になりました。コメント欄にもあったように、三島由紀夫の短編『橋づくし』を逆に辿っているというのは教えてもらって初めて気付きました。本文にもちらりと触れられていますが、三島の小説に出てくる「橋」は、現在はもう川が埋め立てられ、陸橋になっているなど、現存しない橋もあるということを今になって知りました。(残っていたら観光資源になっていたなあと思いながら)
 これもコメント欄にあったのですが、真知子叔母さんが「小柄な女性」であることを念頭において再読すると、〈叔母の肩からお尻までを覆うリュックサック〉や〈フロアに降り立つと、叔母のつむじが見えた〉というさりげない記述で、そうとわかるように描写していることに改めて気付きます。こういうのは個人的にゾクゾクするところです。権田が〈黒いオーバーサイズのポンチョ〉を着て似合っているなら、それは相当に格好いい男性ですし、〈左手に下げたコンビニ袋に油揚げの包装が透け、割り箸がはみ出して〉いるところには東京の地元感が滲み出ていて、逆に憧れます。主人公も、仮装ボーリング大会でアダムス・ファミリーのウェンズデーをチョイスすることで、笑わない八重子を一発で伝えているのはうまいと思いました。その他いろいろ。私にとっては、とても格好いいディテールに満ちた作品でした。

07小説「something four」闇夜のカラスさん

 この作品には不思議な感動がありました。男性同士の恋愛を描いており、それを志向するこの小説を「BL」と呼ぶなら、私はBLとは、男性同士の「セックス」を書くことよりも、男性同士の「イチャイチャ」を書くことを重要視する文学ではないかと思いました。BLにセックスは必ずしも必要ではないが、男性同士の「イチャイチャ」は必須だと感じます。これはBLに詳しくない私の個人的意見なので間違っているかも知れません。ただ、この作品で同性同士の「イチャイチャ」が成立するまで、かなり丁寧な段階を踏んで、そのためのシーンと描写を費やしている点は注目に値すると感じます。
 最初の方で、高校生の滝田は、数学教師の笹木を〈先生が答案を置いた時、おれはわざとその手に指を触れてみた〉というように「挑発」します。もとから読者に向けてBLを標榜しているなら、BLを愛好する読者にとっては(始まった!)と期待が高まるシーンです。しかし、作者はその前段で、〈おれは数秒間、彼が入っていった準備室のドアを見つめていた〉〈おれの胸に、とある疑念が湧く〉と丁寧に布石を打つことを怠っていません。ここに、私は作者の慎重さを見ます。滝田の「挑発」が必然的な行為であることを、細心の注意を払って作り込んでいるのを感じます。
 また、先生と生徒、年上と年下、という関係に備わっている「上位」と「下位」の立場が逆転していく過程も見所でした。〈生殺与奪権を握る〉滝田の支配を許す笹木。そこに現れるのは、笹木の惚れた弱みと愛情の強さであり、そこへぶつけるように滝田の嫉妬心と愛の芽生えが照射され、男性同士の「イチャイチャ」を見事に完成させています。
 最後の【Seven years later】の章で、滝田と笹木の内心へ交互に分け入って描いていた作者は、ここで笹木を選択します。成長した滝田の内心を秘密にし、サムシングフォーを授けられた笹木の感激を余さず伝えるエンディングです。私は、この作品には不思議な感動があったと最初に書きましたが、改めてこの桜が舞い散る美しい章を読み終えた今は、恋愛小説として正統な感動があったと言い直したい気持ちです。

11小説「ノスタルジア・サァカス」りりかるさん

 冒頭から扇情的な文体が、トップギアに入った状態で読者をめくるめく淫靡なショーの場にいざなうこの作品は、最初に、原色の強烈なコントラストに彩られ、国際色豊かな美女たちが代わる代わるに登場します。それを品定めするかのごとく野卑な眼差しを向けるのが、この物語の語り手であり主人公でもある男ですが、実は彼がお目当ての美女を探していることがわかってくるにつれて絢爛と官能の背後に哀愁が見え隠れしてきます。男が会いたがっているのは、蠱惑的なポールダンスを披露する踊り子ですが、会うことが出来ません。欲しいものをすぐには与えず、焦らしやお預けをして気を惹くのが踊り子マーヤーの手管なら、主人公の男はすでに踊り子の手の内にあり、のみならず、読者も作者の術中に嵌まっていると言えます。夢は、それを見ている人が主体ですが、場所や状況に対しては常に受け身です。あるときはエアリアルシルクの舞を踊る姿で登場し、またあるときは首に鈴をつけた黒猫の姿で現れる愛しい人。アンダーグラウンドなショーやアクロバチックな舞台から、一転して、朱い鳥居のある場所で狐の面と白装束で神楽を踊るジャポニズムへの大胆な飛翔は、まさに夢という装置ならではの面白さを感じました。チョーカー、首輪、神楽、といくつも変転して繋がっていく鈴や、シルクの布やブランコ、白い着物といった空中で揺らめくものなどの象徴を扱う技倆には目を瞠りました。夢を夢のままにしておかない結末も好ましく、聖女(ミューズ)から白い制服の女(ナース)へという変わり身における語呂の良さもあり、最後まで夢と詩情と小説の心地よい絡み合いに酔いしれました。



NEMURENUバーB



不思議の国でありんす 様

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コメント師プロフィール
もうすぐフィギュアスケートの出番なので緊張している。五輪? 否、私は風呂場の水を凍らせたリンクで華麗に滑る。

不思議の国でありんすさんが「オカルト・不思議」のテーマで選ぶ三題
09小説「間男のでんぐり返し」海亀湾館長
10小説「下弦の月」りりかる
14小説「朧朧」ムラサキ


『朧朧』村崎懐炉

村崎さんの豊潤な語彙、巧みな指揮による、迷路の如き筋の転調または飛躍は、作中で少し取りあげられた鈴木清順監督の映画に近いソウルを感じる。監督は云ったらしい。「世の中に整合性なんてありますか?」まさしくその通り。そして、整合性が無いこと=破綻を意味するのではない。
『朧朧』では自宅の文机に突っ伏す一夜から金星での1400時間の夜まで、青春の掠り傷から太古の惨殺まで、カメラの眼は光より速く切り替り捉えるが、天文学的な時間や距離、ジャンル面に於ける齟齬も、飴細工のように繋げ絡めておなじ物質にしてしまう。そう、飴。軽快なユーモアも、血で血を洗う冷酷さも総てひっくるめ、中毒必至の甘味も苦味もある飴が、東京メトロより複雑で、引力重力も無視したラインによる蠱惑的なオブジェを成す(しかし兎にはじまり、兎で完結する山手線みたいな織り目正しさ)。
この3ヶ月に読んだ村崎さんの3篇、話の尺や技法に共通するところはあるが、後味はいずれも異なる。『眼丩蝶』は緻密なホラーでいてクールで美的な空気に痺れ、『ダイ・ア・リトル、ダンス・ザ・タンゴ』は任侠をテーマに据えながらカラフルなキャバレー(バーレスクか? ミス大阪か?)で踊るような心地、そして本作は、哀しい。うっかりすると咽びそうなほどに。幽閉された作家も離婚した女も、金星のワニ(或いは鬼)も湘南の女子大生も、皆同等に、今にも壊れそうに同質に、哀しいのである。
関係ないが、本作を読んだ翌日にナポリタンを食べた。鉄の味はしなかった。


『下弦の月』りりかる

りりかるさんの投稿された2作、いずれも面白く読んだが迷った末にこちらを選ぶ。
「他人の夢の話ほどどうでもいいものはない」 と言う人もいるが、そうかな? 将来の夢など聞くより眠りの夢を聞く方が、人の意識下を覗き見るようで遥かに興味深いと思う。
ただ語り部の個性やセンスはむろん重要である。前述のように整合性など馬に蹴られてしまって良いが。夢とはそこで起きる事自体よりも、夢独特の空気感を、長めの独唱の如く醸しつづけるところに、夢ならではの妙味があるように思う。
りりかるさんの語りは緩やかなリズム、遥か遠くからにも間近にも感じる囁きでありつつ、選ぶ言葉の清濁、優しさとシビアさといった両極の、わりあい振り幅の激しい風情がラストまで途切れず油断ならず、趣深い独唱であった。読後感も読み手の精神状態によってかなり変りそうである。
それにしても、「嘘八百屋」って、思いつきそうで出なかった言葉だなぁ。


『間男のでんぐり返し』海亀湾館長

海亀湾館長さんの短篇は5~6作ほど読んだか、いずれも丁寧で手触りやさしく、無駄も不足もなく、平坦にならず技巧が然り気無く…最後に文字数を見てそんなにあった?と驚くほど自然に流れゆく(薄味という意味ではない)。毎月のネムキに頭を悩ませておられるとは信じ難い。
姿勢が上品でありつつ、フェイントをかけるように、有機的なこと、俗なこと下半身方面なこと、SFまたは幻想的な要素を、忍ばせるのが面白い(それがばっちりメインテーマでも、「忍ばせる」という趣であるのだ)。料亭で何か不明だが趣向ある一品がおかれるみたいに、花壇に季節毎に異なるものが咲くように、月蝕か日蝕を眺めるかのように。
本作の「Cの字Vの字の間男」でさえ、地球の風物詩にそんなのがあるのかな?と錯覚させられる。思わず日めくりを確認したりして(それは嘘)。
是非とも、海亀湾館長さんの作品から数本でオムニバス映画を創って貰いたい。原作者と同様に品性とテクニックをもつ監督の手で。役者も厳選せねば。本作に於ける役者選びで最も重要なのはあのお母さんだと思うが、若い頃の市原悦子とか樹木希林みたいな女優がいいな。現代にいるかな?"



NEMURENUバー茶色



Nous ne sommes pas Mimi et Oscar 様

image-2 - りりかるすぴりっと

コメント師プロフィール
夜行性動物。爪は短い。船酔いはしない。メイクは苦手。ブラが大嫌い。夜は眠れない。

コメント師様に質問!
「おすすめの読書」
皮膚と心
「好きなファーストフード」
モスバーガーのテリヤキバーガー(ソイパテ)のオニポテセット、飲み物は季節のジンジャーエールでお願いね。 
「一万円貰ったら買いたいもの」
ナイトブラを何枚か


Nous ne sommes pas Mimi et Oscarさんが「Sweetness」のテーマで選ぶ三題
02小説「谷口八重子は笑わない」朝見水葉
03音楽「カーテンと朝(ミレーの枕子)」放課後スタジオ
07小説「something four」闇夜のカラス


 朝、起きて、カーテンを開けることは、我々が社会的活動をこなす為の神聖な儀式である。闇の世界は眠りの深海。我々は毎朝、其処から凶暴な太陽の光に拉致され、現実と云う名のマトリックスないしはイリュージョンが舞台の芝居を始めるのである。ほら、舞台の幕が上がるよ、と自分に言い聞かせる為の神聖なる儀式なのである。
 しかしながら、小説においては。「目覚まし時計、或いは、アラームが鳴った」「私は起き上がり、カーテンを開けた」所から始めるのは、何ともつまらなく凡庸で月並みで陳腐で下らないらしい。確かに!ごもっとも!でもさぁ、朝起きたらみんな、カーテン開けるよね?文句あっか?一生懸命に生きてる小市民を舐めるな!キィィィッ。なんてね。否、私もそんな小説はつまんなそう、って思っちゃう確率の方が、高いかもしれません。

 さてコメント師。今回は、私、ジャンル、作っちゃったんですよ。やっぱりさ、「朝起きてカーテンを開ける」と云うお題ならさ、う〜ん!って伸びをして「なんて爽やかな朝💕今日も1日頑張ろう✨✨✨」って云って、「いっけな〜い!遅刻遅刻💦」って口にトーストくわえて駆けていく、そんな少女漫画やラノベを読みたかったんですよ。えへへ。実は或る方に「書いて書いて」とおねだりしたが間に合わず(待ってるね😘)。

 それでね、今の私に圧倒的に足りない「Sweetness」で選びました。
 アンソロジーの目次順でコメントします。

 BGMです。よろしければ。
 https://youtu.be/UP_kz-a5zpo

「谷口八重子は笑わない」朝見水葉氏

 自然に生まれる笑顔ほど美しいものは無いのです。そう、赤ん坊の様にそれはイノセント。
 朝見水葉氏の作品を読んでいると、作り笑いをするタイプの人はメインでは登場しない。きっと不器用で頭が良さそうなイメージなのに世渡りも上手くなさそう。私の勝手なイメージではあるけれど。そんな登場人物の笑顔が零れ落ちる瞬間。それはとてもプレシャスで見ている方も嬉しいだろうと、思うのです。
 仮装ボウリング大会、というファンタジックな設定、笑わないウェンズデーの仮装(しかもリーズナブルに作れた)、歯列矯正だから笑わない訳では無い?きっと、元々無理矢理笑わないタイプだ、八重子ちゃんは。きっと、だから彼女が本当に笑うのを見るのは彼女の恋人、友人、家族のみだと思います。
 彼女が笑わないのは(否、仕事上では笑っていたんですね)、歯列矯正をしたのは、八重歯がコンプレックス?権田のドラキュラの憎たらしいつけ八重歯。ちなみに私の母の名前はヤエ子です。
 私は映画「バッファロー’66」が凄く好きなんですが、あのヴィンセント・ギャロとクリスティーナ・リッチはほんとに素敵。可愛い。「Someone in Love」もとっても好き。この二人は既に恋に落ちている。
 Sweetness、堪能いたしました。

「カーテンと朝」ミレーの枕子氏

明るい可愛らしい唄声とちょっぴりセンチメンタルなギター。歌詞をググりました。曲なしで、読んでみる。音を失った歌詞は、重みを持っていました。黄昏のサファイア、見慣れたプリズムと云う言葉にうっとりしました。
ムラサキさんはミレーがお好きなのね?
私はミレーと聞いたら、この中毒性のあるビスケットを思い出してしまう。ミレーの枕なんて買ったら不可ません。恐ろしいカロリー。

「something four」闇夜のカラス氏


 「目覚ましジリリリ」や「カーテンを開ける」と真っ向勝負された闇夜のカラス氏(この潔さと素直さが好きよ、カー子ちゃん✨って勝手に呼んでる、ごめんね💕)。
  朝。起きてカーテンを開けたら。人生のターニングポイントが、ここだった。そこには主人公が恋に落ちる相手が立っていた。否、既に自分に恋している相手が。いいないいな。ワクワクするオープニング。
 常々恋と云うのは病の一種であると思うのですが、そんなこと云いつつも私もいつだって恋をしていたい。そうして足りないSweetnessを小説や映画に求めるのです。異性同士であれ、同性同士であれ、恋する気持ちは甘く切ない。恋することが儘ならない私は、その過程がどんなに狂おしくどんなにほろ苦くとも諦めないで欲しい、恋物語にハッピーエンドを求めてしまいます。せめて、二次元の世界くらい夢を見させて?
 闇夜のカラス氏の作品はBLが多いらしいのですが、BLに偏見が有ろうと無かろうと誰でもスッと作品世界に入れる、彼女の小説にはそんな優しいエネルギーに満ちています。BLだからこそのファンタジーなのかも知れませんが、彼女の文章力あってのものだと思うのです。読み進んでいく内に登場人物を応援したくなってくる。そういう巻き込む力を持っているのです。
 なぁ〜んて云いつつ。滝田の子供らしい意地悪さも、ちょっとした嫉妬も、しっかりと描かれています。うんうん、わかる。笹木、ムカつくよねぇ。俺にも「パーフェクト」って云って、ハイタッチしてよ!ってなるよねぇ?

>>「パーフェクトじゃないの?」
 先生はハッとしてこちらを見た。
「もちろんパーフェクト!」
 先生は軽く手を上げ、おれはそこに、ぱしんと手の平を打ち付ける。
「もしかしてこれがやりたかった? 可愛いとこあるじゃん」
 先生は笑った。その顔を見ると嬉しくなって、胸の奥がギュッとなった。

か〜わいい😻

 一番好きなのは、佐々木が滝田に心中を伝えるシーン。ありったけの勇気が必要だったに違いないキス。嗚呼、恋っていいですね。

 何故かSomething blueだけ知っていたのですが、something borrowed、something old、something newは知りませんでした。このタイトル「Something four」で締めくくる。希望に満ちている。

 私の読みたかった典型的なラノベでは無いけれど、私が求めていた可愛い恋物語を有り難う御座います。


NEMURENUバーマゼンタ



トラ子代理です 様

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コメント師プロフィール
おかあさんが夜なべをしてネムキリスペクトしがちです。いつも母がお世話になってます。

コメント師様に質問!

「好きなファーストフート」
:ウエンディーズ・ファーストキッチンのベーコネーターUSAダブル

トラ子代理ですさんが「夢を騙る」のテーマで選ぶ三題
05小説「小さな叙事詩」くにん,
07小説「something four」闇夜のカラス,
10小説「下弦の月」りりかる
"

05小説「小さな叙事詩」くにんさん

悲しい出来事を前にして、悲しみも怒りも表現せずに穏やかでいるのは、心無いことでしょうか。そうかもしれません。人として、やはり、心無いのかもしれません。人であれば、穏やかではいられないはずなのでしょう。しかし、この作品の穏やかな筆致を、やはり、「優しい」と思ってしまいます。わたくしは心無いのでしょうか。そうかもしれません。しかしなるほど、これは、人ならぬものの夢の物語なのですね。読むほどに、作者の「心」が行き届いている、という感じがしました。


07小説「something four」闇夜のカラスさん

BLはジャンルの一つであり、ジャンルであるからには型があるはずで、たとえその型について知らない読者であってもハマるのが型であり、そして型にハマると気持ち好いのでしょう。遠山の金さんの桜吹雪には、こんなの初めてから魅せられずにはいられないのです。
「型に嵌はまる」は好ましくない意味でも使われますが、そちらにおいては、動きが制限されて、不自由で、つまらない、といった感じでしょうか。
闇夜のカラスさんのBL作品は、もちろん好ましい方の「ハマる」であり、「キマる」でもありました。伸びやかで、爽やかで、実に楽しかったです。
そして、キマり続けるといずれはクセとなり、喜んで「沼にハマる」のでしょうね。いやん。あはん。
闇夜のカラスさんのコメントより、「BLだとファンタジー色が強まる」と考えていらっしゃることが分かります。
わかる〜!
いやね、男×女では、なかなか素直にきゅんきゅんできないのです。なんつ~か、年? 経験? ま〜いろいろと。つまり、恥ずかし気もなくとってもきゅんきゅんさせていただきました。きゅん。さんきゅんです。
BLだからこその、きらきらとした夢のような恋愛を見せていただきました。


10小説「下弦の月」りりかるさん

現実は、現実的であるように取り繕われても、夢では漏れ出るもろもろは、怖くもあり、面白くもあり。夢や、フィクションによってしかあらわれず、語れないものに、わたくしは興味が尽きません。そういう趣味でございます。夢は過ぎて行きますが、「作品」を読みかえしますと、秘密や未来が書かれていたりいなかったり。やはり怖くもあり、面白くもあります。と、分かっていながら喜んで見られようとするわたくしは変態で、皆さまも変態でいらっしゃる。しかし、耽りすぎると生命が削られます。朝を迎えることは大事と、しみじみと感じました。

明日を迎えるための、今夜をしのぐ嘘がどうしても必要であるならば、いっそ楽しみたいものです。
45thを迎えた眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーが、千夜一夜を超えて続きますように。

……と、おかあさんが言ってました。よろしくお願いします。



NEMURENUバーG


亡骸三太夫 様

image (3) - 村崎カイロ

コメント師様プロフィール
漢中天坑群に月兎と一緒に暮らしている。主食は煎餅。好きな芸能人は羅生門綱五郎。関節が弱い。最近血液が緑色になる。好きな言葉は「鯨骨生物群集」

コメント師様に質問!
「好きなファーストフード」
マクドナルド一択です。

亡骸三太夫さんが「空間恐怖症」のテーマで選ぶ三題
08コラム「いちご泥棒」加藤沙也佳
09小説「間男のでんぐり返し」海亀湾館長
12小説「typhoon」武川蔓緒


「いちご泥棒」
加藤沙也佳様

私の暮らすQ県はイチゴが特産で、県内では数箇所あるイチゴパーラーが賑わいを見せる。かつて飲み屋で同席したブルースマンは日中、イチゴ遺伝子研究所に勤めていて、馬鈴薯ほどの大きさの巨大イチゴを開発したが、巨大なイチゴは見目が恐ろしくて店頭に並べる商品には適さなかったと話をした。
巨大なイチゴの何が怖いものかとその当時は分からなかったが、後の世に「巨大イチゴ」を巡るフェイク写真が出回るようになり得心した。
イチゴの表面には面皰のようにブツブツと種子が並ぶ。これが巨大になると凸凹が大きくなり種子も増えて、怖い。
生えた産毛が赤い昆虫に見える。怖い。
爛れる疫病に見えて怖い。
集合、密集の恐怖がイチゴにはある。
「イチゴ泥棒」というテクスタイルがあると、加藤沙也佳さんの記事に教わり図像を拝見した。対になったヒバリがイチゴを啄んでいる。
イチゴと蔓草とヒバリ。空間が三者で埋め尽くされている。
図案を作成したデザイナー、ウィリアム・モリスは「空間恐怖症」だったのではないかと言われる。
空白、隙間が恐ろしい。これは密集恐怖症とは対をなす恐怖症である。イチゴの表面の凹凸もウィリアム・モリスには愛すべき意匠出会ったのかもしれない。同じくウィリアム・モリスには「兄弟うさぎ」というテクスタイルがある。やはりこれもアーツ・アンド・クラフツ運動の産物で、手工業の細かな紋様が布地を埋め尽くす。

どちらかと言えば私は隙間だらけの人間で、汲めども水は堪らないザルの如し。歳を重ねてこれではいけないと大いに反省をしている。

今回、加藤さんの作品を通じて「いちご泥棒」というテクスタイルを知った事(テクスタイルに発明者がいて、名前が冠される事も含めて)は私にとって大きな驚き、新知であった。改めて加藤さんには御礼を述べたい。ありがとうございます。


さて、この度は三題を選ぶにあたり、私の苦手な稠密とか、緻密の作品を、手工業の美しさのある作品を選ぶ事に致しました。


「間男のでんぐり返し」
海亀湾館長様
一つの結末に向かう事に幾つも重ねられたファクターが、ベルトコンベアのように主人公を悲劇的結末に運ぶ。
運命は歯車に例えられるが、どれかひとつが欠けても結末には至らない。
冒頭間男がでんぐり返しをしている。
羞恥である。男は天地逆となって、臀部を人様に見られる屈辱は耐えられない。人生においてでんぐり返しは避けねばならぬ極限状況である。その困窮に至る緻密の道程はアーツ・アンド・クラフツ。手工業の粋に他ならない。
匠のストーリーテラーである。この細やかさを見習いたい。

「typhoon」
武川蔓緒様

私は常にプリミティブであろうとしているし、私の原風景はナイジェリアのブッシュの中にある。

プリミティブであるという事は神話的であり、衝動的、本能的、暴力的である。

古代ギリシアにはディオニソスの祭と呼ばれるものがあって、酒と狂気の神ディオニソスを祀り、神体は巨大なファロスである。マイナス(狂女)と呼ばれる信徒の女たちは獣の生肉を喰らいながら熱狂の中で獣神達と乱交する。
このディオニソス信仰は屡々迫害の対象になったが、熱狂的なマイナス達は権力者に襲いかかり彼らを八つ裂きにしてきた歴史を持つ。
父が子を、母が子を八つ裂きにする。神話的に語られるその狂気がディオニソス信仰の根源である。
ダーキニーや真言立川流、サバト、そうした邪教がいつの時代も世界中に存在している。
芸術は理知理性的なアポロンと破壊衝動的なディオニソスの衝突によって生まれる、と言ったのはニーチェである。
人間の中にはアポロンとディオニソスの二柱の神がいる。

武川さんの作品にも荒々しいディオニソスが潜んでいる。女たちは篝火の中でファルスを掲げている。狂乱し生肉を食らう。
獣神と戯れる。

赤い髪の少女は常に痛みを抱えている。足の痛みは少女が変態する事の予兆であり、そのカタルシスの源である。痛みが増せば増すほど少女の力は大きくなり、少女は美しき魚になる。
少女は人間の本能的衝動のデフォルマシオンである。即ち神だ。少女が本能に従うほど、彼女はディオニソスの神になる。

武川さんの作品は衝動によって突き動かされるが、その合間には稠密のオブジェクトがある。以下、そのオブジェクトの列記。
薔薇、瘡蓋、赤い髪、赤い街、ジョルダンのヒール靴、ナルキッソス、ネオン看板、オメサドコサイク酸とキッチンキトサンオトミ酸、チョコレート、スキャパレリのガウン、臍、鱗、鬣。これらのオブジェがウィリアム・モリスの御業のように、空間恐怖症のように巧みに並んでいる。

プリミティブだ、と思う。



NEMURENUバー紫


NEMURENU45th「朝起きてカーテンをあける」はこちら

人様から選ばれる、コメントを頂戴する事はクリエイターにとっては大きな喜びです。コメント師の皆様、クリエイターに代わって御礼申し上げます。皆様、お忙しい中、お時間を割いて下さりありがとうございます。
作品を作るという、何か正体不明の徒労にクリエイターは侵されていて、時に空虚の念に襲われます。しかし読んで下さる方がいる、選んで下さる方がいる、という事は作品に費やした徒労の報われる事です。クリエイターにとっては最大の報酬ではないでしょうか。
当企画は作品をご提供下さったクリエイター様、読者様、そしてコメント師様によって成り立っています。コメント師に参加するという事はクリエイターにとって労いであり、癒しであり、賛美です。自らの労力を割いて「与える」という行為は尊い。有難い事です。


次月のテーマ決定!NEMURENU46th


コメント師募集と同時に開催されました次回テーマの投票は以下の結果になりました。











画像14

おっとこれはダイオウグソクムシでした。
結果はこちらです。


画像10

ちょっと画像が小さいですが・・・

「それだけは止めておけ」

です!

なんというかまた難しそうな。
皆さんならどんな作品を思い浮かべますか?少しテーマについて考えてみると。


「それだけは止めておけ」
危険だから
後悔するから
健康に悪いから

と、禁止事項には理由がある。芳しくない事態に展開する事の予見性がある。つまり、予見性を持つ人間と持たない人間の、どちらかと言えば持たない人間が中心となる物語。

ホラー映画のお約束
https://www.hakutake.co.jp/column/detail/index.php?p=243

日常の失敗あるある
https://curazy.com/archives/394688

その一線を越えると激しい後悔が待ってるぞ!
「それだけは止めておけ!」

禁止事項には違法脱法などの明らかに禁止されているものと、特定状況の中で発生する禁止事項がありますね。

混ぜると危険なドリンクバー
https://blog.benesse.ne.jp/chu5/miraika/2021/09/drink-bar.html

・真夜中のラブレター
・真夜中の食欲
・真夜中に送るビジネスメール
・真夜中に観始める海外ドラマ


「それだけは止めておけ!」

と、今回はどんな作品が集まるでしょうか。皆さんの作品をお待ちしております!


眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーは日陰のノートユーザーの祭典!文芸、イラスト、音楽、写真、ジャンルは問いません!
自薦、他薦問いません。
たくさんの「止めておけ」の作品お待ちしております!


次次回テーマ候補を募集しています。

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーのテーマは公募制になっております。お好きなワードをお寄せ下さい。


NEMURENUはもうすぐ四周年!
沿革をまとめています。

https://note.com/preview/n18fdb06fa6b5?prev_access_key=1f0de047387704489abd4385b267b935


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