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前後 /詩とエッセイ《 no.5 》

前後


仕切りを立てると違って見えてくる物事
前はこうだったね
あれ以来こうなったね

奴らは互いに干渉しない
前には前の世界があるし
後には後の生活がある

時として
奴らは互いに踏み入りすぎる
後があるから前になり
前とするから後になる

夕飯と睡眠の隙間
行ってきますとおはようの隙間
こんにちはといただきますの隙間
ごめんなさいとありがとうの隙間

生活は続く どうしたって続く 
ただそこにときどき 誰かが名前をつける




《 エッセイ no.6 》 前後


昨晩(3/16深夜)、地震のあった地域にお住まいの方々はご無事でしたか。わたしは福島県にいるので貴方と同じようにビクッとして、怖がって、眠れませんでした。

今日17日、昼食を食べながらふと思いました。

昨日の夕飯は何だったっけ、と。

地震が無ければ、恐怖に頭が占領されることもありませんでしたし、いつものように寝て起きていたはずです。変わりも無く名前も無い、ただ過ぎる時間があったはずです。昨日の夕飯について、わざわざ時間をかけて考えようとしなくてよかったと思うのです。

「ゆうべはよく眠れなかったな」

そう思うことも時々はあると思います。大地の振動の記憶がついてくることを除いては。


地球という、はかり知れない巨大な居場所の一画を間借りして、人間の命はあります。

人間の鼓動のように、地球もただ活動していると思います。それにいつも名前をつける生命は、勤勉で健気でなんとなく不思議だなあと思いました。

そうしてとりとめのない生活に名前がついていつの間にか区切られて、心が動くのだなあと思いました。


良いとか悪いとか、賢いとかばかだとか、区別をしたくはありません。わたし自身が、"そう"だから。なんて、護身です。

ときどき嫌だなと思ったり、名前をつけてよく探究せねばと思ったり、繰り返しているだけです。




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