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ゴミ箱の中 1

止めどなく溢れ出す、
熱く切ない感情を
俺はいったいどんな風に
君に伝えたらいいのだろうか。


この耐え切れない、
心を震わせる朱く熱い気持ち
言葉などにできやしない。
口から出せる
どんな言葉を駆使しても、
全てが嘘になってしまう。
これを言い露せる表現なんか
何処にも有りはしないんだ。


だけどもう、
なんとかして、
この気持ちを君に
吐き出さなければ、
俺の胸は今にもはち切れそうで
苦しくて、
息もできない。


青にしては
やけに白っぱけた眩しい空を見上げて、
今直ぐにやりたいと願う気持ちを
薄く儚い三日月が
薄水色の空に溶け込んで嘲笑う。


バカなんだよな俺。

その瞳、その仕草。
話す言葉の
まろやかな声の甘さ。

揺れる髪一本一本が輝いて
いたずらな風にフワリと遊ぶ。

薫り立つ素肌の白さに反射する
力無き陽光に肌目の艶を見せ付ける。


そんな君のこの傍で、
俺の何かが蠢き騒ぎ出す。



それを言葉にして、
それを文字にして、
それを色彩にして、
その気持ちを具現化できる術を
何も持っていないこの俺は、
君にどうやって
伝えれば良いのか。


ただただ強く抱き締めて、
君の体がめり込んで
俺の中に取り込めたら
この思いは、
伝わるのだろうか。


熱い思い
溢れ出て、滲み出す。
受け止めてよ、
今すぐに。


抱き合って、重なって、
組み敷いて、
君の中心にめがけて
我武者羅に打ち着けて、
無我夢中。


伝えたい、この辛さ
苦しくて、切なくて、
物凄く気持ち良い。


滑らかに溢れ出す
君の応えのその叫び。
受け取ってくれるのか。
震えて波打つ締め付けに
君のどよめきを感じ取る。


耐え切れず炸裂させた情熱の汁。
君の心の中心へと、
この思いの丈を注ぎ込む。
届いたのかな、俺の気持ち。




相変わらず青くない空が、
君の瞳の中に写ってる。
思いを注いだ肢体に重なって
空と君との間に俺がいる。


注ぎ込んだはずの君への思い。

受け止めてくれたはずの情熱。


君の心を司る饒舌な唇から
無造作にトロリと吐き出され、
俺の思いが拒まれてしまった様な
無機質な寂しさに覆われる。



味気のない風が
背中から掛け登り
無造作に俺の肩口を叩いて去った。




君を知っている俺は、
これだけでは
始まりにすらならない事を知っている。


言葉ではない俺の思いを
意図も簡単に飲み込んだ唇は
君の内に秘めた闇を
語ってはくれない。


瞳が物足りなさを訴え
その肢体が、
今、やっと目覚めた証として
うねり始める。


俺を知っている君は、
ここから
俺が朱く熱い気持ちで
君の魔性に相対する
覚悟を据える事を知っている。


俺の拙い表現力だけでは、
この朱く焼け焦げた情熱は
君に伝える事はできないんだ。


多分、同じように、
君が俺に求めているであろう
君の内に燻り始めた欲情は
俺がどんなに推し量ろうとも
その真髄に触れる事は
できないのだろう。


俺は、
それを知っていながら
それに近付き
それを掴もうとするのは、
止めどなく溢れ出す、
この熱く切ない感情が
いつかきっと
君に届けられるだろうと
信じているからこその愚行なんだ。




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