【1~20】一番優しいスマートフォンSEOの教科書

1_スマホの普及によるユーザー行動の変化

スマホの普及に伴い、いつでもどこでも検索できるようになったことで、可能になったちょっとした隙間時間での検索を「マイクロモーメント検索」という。
そのため、あらゆるタイミングで検索が発生し、他社と共有して意思決定を行いつつ、アクションを起こす、ユーザー行動のマルチタスク化の傾向が強まった。

こういった背景から、すべてをモバイルファーストで考えることが重要になり、ユーザーとのタッチポイントを増やして、目的達成しやすいモバイル版サイトを作ることの重要性が増した。

2_スマホに対応するgoogleの変化

日本では検索エンジンシェアの大半がgoogleで、yahooもほぼ同じ検索エンジンを使っているため、日本でのSEO対策はgoogle対策がほとんど。

2016年後半にアナウンスされたモバイルファーストインデックス(MFI)以降、googleは積極的にモバイル版サイトを評価するようになった。
モバイル版とPC版ではUIが異なる

3_googleのインデックスの仕組み

検索エンジンは、クローラーと呼ばれる仕組みで世界のサイトを自動的に巡回する。この作業を「クロール」と呼ぶ。クロールしたのち、集めたページを解析してデータベース化する。この処理をインデックスという。

googleは質の高い検索結果を維持するために独自のアルゴリズムの適用して、ページの表示順位を決めている。このアルゴリズムは最低でも200以上あるといわれている。

モバイル向けの2つの大きなアップデートが過去行われている。1つ目は「モバイルフレンドリーアップデート」。これはスマホでの使いやすさや見易さが評価される変更。2つ目は、「モバイルファーストインデックス」。これは今までPC版のページを収集してインデックスしていたが、MFIに移行したサイトはモバイル版のページが収集の対象になる変更。

4_MFIの移行への確認

自分のサイトに来ているクローラーがPC用かSP用かはSearch Consoleで確認できる。
サチコのカバレッジレポートの「メインクローラー」を確認する。

5_スマホ時代に合わせたサイト制作の意識

モバイル版サイトには3つの制作方法がある。
1つ目はレスポンシブウェブデザイン。これはデバイスの種類に関係なく、1つのURL、同一のHTMLで構成され、画像サイズに応じてCSSだけ変わる。

2つ目は動的な配信。デバイスの種類に関係なく、1つのURLを使い、ユーザーのブラウザに応じてでz橋宇ごとに異なるHTMLを生成する。

3つ目は別々のURL。デバイスごとに異なるURLとHTMLで生成される。ユーザーのブラウザのユーザーエージェントから判別して、適切なページにリダイレクトする。

6_検索以外の流入の増加

スマホでは、特に他社との共有が容易にできるのでSNS利用者が増加。SNSで話題になることはSEOにも間接的に寄与する。

WEB上で話題になったり、言及されたりすることが、サイテーション(引用)として、被リンク同様に評価されていると考えられている。

また、google discoveryというSEOのように検索結果に出るのではなく、スマブラウザやアプリに自動的に表示されるスマホ特有のニュースフィードなどある。これは、ユーザーがgoogleサービスで行った操作や検索行動を参考に関心のあるコンテンツを表示している。

SEOは検索が発生しない、潜在的なニーズやブランド認知フェーズに対しては施策を行うことができないため、様々なチャネルと連動して施策を実施する必要がある。

7_SEOの普遍的な要素を取り込む

SEOの順位をお金で買うことはできない。SEOとは検索エンジン最適化というマーケティング手法であって広告ではない。SEOの本質は「ユーザーのニーズにこたえる良質なサイトを提供し続けること」

8_SEOの施策の種類

ベースとなるのは内部施策と外部施策。スマホの普及とともにローカル施策も出てきた。

内部施策は自サイトをユーザーに対して最適化するもの。検索ニーズ調査、画面の最適化、検索結果の最適化、技術要件の最適化の4種類がある。

外部施策は、関連のある外部サイトからリンクを張ってもらって紹介してもらうような施策。昔リンクの売買をするリンク施策があったが現在はペナルティの対象。最近では、SNSなどのでサイテーションも評価される傾向が強い。様々な人やブログで取り上げられ話題になることで、リンクがなくても信頼性という観点から評価されるようになっていると考えられる。

9_サイトの課題の把握

内側の分析では、サイトチェックが有効。サイトの作りを、「インデックス・URL」「検索結果」「検索ニーズ・コンテンツ」「画面」「リンク」「技術要件」をSEOの観点からチェックする。外側の分析では、GAやsearch consoleを使って分析。

サイトの状況を本当に理解しているのは、SEO会社ではなくサイト運営者。課題リストのような形で施策を管理すると便利。

10_DB型のEC/サービス系では内部施策が重要

総合Eコマースサイト、カタログ通販サイト、求人サイト、不動産サイト、ポータルサイトなどのデータベース型のサイトがこれに該当。下記の4つの内部施策が有効なケースが多い。

1つ目は検索ニーズ対策はカテゴリーの最適化で行うこと。例えば、ファッションサイトであれば、アイテム関連のキーワードを調べてカテゴリの名称をチューニングしたり、新しく素材別のカテゴリを新設するなど。一過性のトレンド商品や季節商品は特集やブログで対策してもよい

2つ目は画面最適化は使い勝手を徹底的にチェックすること。カテゴリと詳細ページ(商品・サービス)の画面最適化が重要。

3つ目は検索結果の最適化はリッチリザルトに注目すること。DB型のサイトでできる最適化には、モバイル版サイトの多様な検索結果である「リッチリザルト」に向けたものが多くある。求人サイトであれば求人情報、レシピサイトであればレシピ、カルーセルなど。構造データマークアップを活用し、検索結果で目を引くようにする。

4つ目は技術要件の最適化でやるべきことが多いことを理解すること。例えば動的URLがインデックスされるようになったとはいえ、パラメータがついた長いURLのインデックスはおすすめしない。他にページネーション、パフォーマンス、増えつつあるJS関連の処理など気になる点は開発部門に確認する

11_単品型のEC/サービス系ではコンテンツ施策を重視

ページ数も少なく、そこまで複雑な構造ではないため、画面まわりや技術において昨今進化しているgoogleの評価の妨げになることは少ない。

重要なことは、検索ニーズを徹底的に調べてコンテンツで対策すること。例えば、「マットレス」を販売して上位を獲得したくても、今の検索エンジンが評価するのは複数ブランドのマットレス商品を数多く扱っている総合サイト。ゆえに、アイテム関連の言葉よりも、その周辺でどのような悩みや情報検索ニーズがあるか調査することが大切。マットレスであれば、どのようなときに買い替えが起こるか、どのような悩みがあるか仮説を立て、該当する検索ニーズをコンテンツ施策にて対策する。

2つ目はユーザービリティを考慮した画面の最適化。ページ数が少ないため、チューニングできる箇所も多くない。大がかりなテストを行う必要はなく、関係者でモバイル版のサイトを実際に触って使いずらいところを洗い出すことも有効。

3つ目は検索結果はページごとに最適化すること。スマホではタイトルやサマリ文章を見てクリックするかどうか判断しているユーザーが多い。検索結果のスニペットに表示されるメタディスクリプションをページごとにしっかり作成して最適なものにするとよい。

12_モール型のECサイトでは穴場の施策を見つける

Amazonや楽天などモールに出店しているサイトについて、モールのSEO施策で課題となるのは「クラスタリング」の制限。クラスタリングとは、googleの検索結果において、同一のドメインは以下にある複数のURLをまとめて表示する、つまり1URLしか表示しないというもの。これにより個々のショップページをgoogleで表示することが非常に難しくなっている。

解決策の1つが、穴場のキーワードの発見。自社ショップに関連するキーワードをgoogleで検索してみて、モールのドメインがヒットしない場合はねらい目。ショップのトップページやカテゴリ、商品ページなどを使用して対策するとよい。また、ハウツー系やコーデ系のキーワードはモールのドメインがあまり表示されていないよう。同窓会の服装、ダウンジャケットの洗い方などkowやdoの検索クエリでチャンスをうかがう。

13_記事専門サイトではニーズにこたえる記事を充実させよう

記事コンテンツ系は内部施策の中でも、特に検索ニーズ調査と検索結果の最適化を行うことが重要。

記事にはストックとフローという考え方があり、SEOで対策するのはストック。長期的に利用され蓄積できるテーマで検索ニーズを調べ作成することが大切。またサイト内を回遊できるように内部リンクを設計することが重要。他にも、例えばAMPという仕組みを使って高速表示を実現したり、強調スニペットやカルーセルの設定など検索結果の最適化でクリック率を上げることも可能。

技術要件では、無限スクロールに注意する必要がある。主に記事が並んでいる一覧ページでページネーションがなく、無限にスクロールし続けられる作りではgoogleから評価されにくい。

googleニュース対策には、記事の画像がニュースに表示されるため、画像のalt属性に記事タイトルを入れておくことでその画像が選択されやすくなる。

ペイウォールコンテンツとは、記事を読むために定期購入や会員登録を求めるような記事。本当は1000文字あるが、300文字しか掲載されない場合、googleにもその一部しか認識されないため、流入機会の損失になってしまう。サイトによっては検索エンジンに1000文字すべて認識させ実際には300文字だけ見せるというだし分けをしているケースもあるが、クローキングというgoogleガイドラインの違反になる。googleはFlecible Samplingというペイウォールコンテンツの配信方法、クローキングと誤解されないようにする構造化データを提供している。

14_コーポレートサイト/BtoB向けはサイトマップを作成し最適化

PC流入が多いとはいえ、スマホからの流入も年々増えているため、MFIを考えるとモバイル版の最適化も最低限必要。

このタイプの内部施策では、まずサイトマップを作って各ページの設定キーワードを確認。そして検索ニーズ調査を行って周辺ニーズを探ることが大切。ページ階層、タイトルと流入しているキーワードとそれぞれの流入数をエクセルにまとめ、狙えるキーワードがないかチェックする。

次に対策できていない、もしくは漏れている検索ニーズがないか調査する。コーポレートサイト・BtoBサイトでは、knowクエリの対策が十分でないケースが多い。ターゲットユーザーが調べるような課題、knowニーズのキーワード集客ができれば、自社製品を知ってもらういい機会になる。その他にも、サイトのモバイル対策、コンテンツ施策におけるコラム以外も用意する、マイビジネスなどのローカル施策の実施も有効なケースがある

15_店舗/施設系サイトはローカル施策を重視

美容院、ネイルサロン、エステ、整体、病院などが該当。

内部施策の中では、検索ニーズの調査と最低限の画面の最適化に注力。goクエリを拾うため、自分の施設がある場所や最寄り駅などの情報を正確に記載することが大切。悩みや症状別のページを設定してもよい。またコンシューマーがターゲットのため、モバイル最適化は重要。

とはいえ、ローカル施策が最重要。googleマイビジネスを使って自身の施設情報を正確に入れる。口コミへ返信したりなど、情報を充実させることが有効。

16_スマホ特有の検索クエリの特徴を理解する

スマホ検索では位置情報の概念が重要になる。そのユーザーの衣類力近い施設の情報が表示されていると、ユーザーニーズに一致するので高得点、つまり検索結果の品質が高いという評価になるのです。

スマホからの地域に関する特徴的な検索キーワードは「近くの●●」というワード。スマホの位置情報が検索結果に反映されるため、近くの●●と検索してもgoogleは自動的に近くの店や公園を表示する。その一方、検索クエリから「東京 カフェ」のようなエリアを含むクエリが減少している傾向もある。

ロングテールキーワードを狙うことが大切。検索数が多い1語を「ビッグワード」検索数が中程度で2語の言葉を「ミディアムワード」、検索数が少なく、3語以上の言葉を「スモールワード」、ミディアムわーどからスモールワードにかけてのすそ野の部分を「ロングテール」と呼ぶ。ロングテールは対策もしやすく、積もり積もれば、ビッグワードよりも多くの流入が得られることもある。

17_SEOに必須の検索ニーズを理解する

従来のSEOでは、検索数の多いキーワードを選び出して対策することが重要だったが、今のSEOではキーワードだけにフォーカスしても難しい。なぜならキーワードの背景にはユーザーのさまざまなニーズがあり、検索するタイミングや状況によってもニーズが異なるから。

検索ニーズを知る方法は大きく2つある。1つ目は、googleの検索フィールドに出てくる検索候補ワード(旧googleサジェスト)。検索候補とは、その時探しているわーどやほかのユーザーがすでに検索したワードに関連して予測されるワードのこと。

2つ目はgoogle検索結果を見る方法。検索結果を見ることで、ユーザーのニーズをある程度予測することができる。例えば、英語で調べると、習うよりも自己学習のニーズが強いことがわかる

最後に、モバイル特有の検索ニーズを理解することも大切。これまで検索ニーズは、社名やサービス名など特定のサイトに行きたいというニーズの「ナビゲーショナル」、何かを知りたい、悩みを解決したいという「インフォメーショナル」、商品購入やダウンロードなど取引のニーズの「トランザクショナル」の3つがあった。
モバイルSEOを考えることで重要なのは、インフォメーショナルとトランザクショナル。

18_4つのモーメントと検索ニーズの理解

何かを知りたい「know」、ある場所に行きたいや近くの場所を探しているという「go」、何かをしたい作りたいという「do」、何かを買いたい評判を知りたいという「buy」の4つのモーメントに大別できる。

マイクロモーメントの刹那的な検索になるからこそ、googleがスマホ時代の検索で重要視しているのは、「いかに早くユーザーが目的を達成するか」

19_検索ニーズを探るツールを使う

キーワードの人気度を調べる「キーワードツール」は少し前まで、googleのキーワードプランナーを使うことが多かったが、広告目的のツールであるため、派生語が十分に表示されなくなってしまった。近年では、「Ubersuggest」と「keyword tool」を使うケースが多い。

20_knowとdoのニーズを調査する

goやbuyに比べて、わかりにくいため慎重な調査が必要なのがknowとdoのクエリ。

まずはターゲットユーザーと検索シーンから考える。具体的にターゲットユーザーがどのようなシーンでどのような検索行動をするか、いくつかの検索シーンを想定してグループを作ってみる。

次に検索シーンごとにどのような言葉で検索するか検索クエリの仮説を立てる。ポイントは含まない言葉と言い換えの言葉。例えば老眼に関する検索は、老眼や老眼鏡など老眼を含むキーワードはすぐに思いつく。「目がかすむ」「スマホが見えない」などの含まない言葉や「リーディンググラス」などの言い換えの言葉を洗い出す。

次にキーワードツールで検索ボリュームを調査する。この際、雑音を除去することと言葉の漏れを意識することが大切。雑音の除去について、例えば眼鏡のレンズをきれいにする「レンズクリーナー」を調べると検索数は多いが、派生語にカメラやDVDが見られる。言葉の漏れについて、キーワードツールで「レンズクリーナー眼鏡」を調べても出てこない。キーワードツールは部分一致ではないので、その言葉を含むすべての言葉が出てくるわけではないので、データをそのまま信じると重要な言葉が漏れているケースも多い。

最後に、コンテンツのテーマ案を作る。検索クエリの洗い出し、キーワードツールで調べて、エクセルにまとめるところまで終わったら、キーワードからコンテンツのテーマ案を作る。その際、検索ニーズが同じと思われるワードを探して、1つのテーマにまとめる。












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