読書メモ(湖上の花火)

■作者と概要

・作者は湊かなえ。短編集「物語のおわり」の1つ。貧しい家で育った主人公は母親の内職の手伝いをする中で自分で稼くことや自己投資にそれを使うことが幸せという価値観を醸成した。そんな中シナリオライターを志す修と出会い好きあう中で、最初は夢を持ちそれに愚直に頑張る姿に心惹かれていたが、自分自身が仕事でうまく行きだし給料が増えていく一方で変わらぬ状態の修を好きではなくなっていく。「結局お金なんだな」と言われ別れることになった主人公は北海道の高級ホテルに休日を過ごしにいくことに。そこであった旅人に「空の彼方へ」を渡され自分の人生を振り返ることとなる

■感想

・自己投資のために頑張り、満足感を得ていた主人公が自己投資先で夢や誰かのために頑張る姿を見て後悔をするというなんとも言えない悲しさが描かれていた。一方で最後の「私に似合う大きな鏡を買っていこう」にもあるようにこれからもずっとこれが私の幸せだという意地もあり、ほしいと思っていた幸せと自分が守ってきた幸せとの戦いが垣間見え面白かった。自分の人生をどう過ごすかは今決めても将来変わるものなのだろう。そして将来になるにつれて自分のためだけでなく誰かのために自分の時間を使うことに美しさを見出す、そんな気がしたとともに自分のなんのために頑張るのか考えないとなと思った。とは言え本にもあったが経済的、精神的に余裕がない状態では誰かの幸せを応援できないと思うのでまずは目の前のことに愚直に取り組むのみだと強く感じた


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