読書メモ(チャレンジャー・セールス・モデル2/3)

◆感想

・想定される顧客の気づいていない仮説を立てることが大切でありそれは組織が旗を振って行うべきものということに驚いた。また、その際のインサイトの深さと意外さが商談の成功を分けるという話が非常に印象的だった。

◆作者と概要
・作者はマシュー・ディクソンとブレンド・アダムソン。アドバイザリー会社CEMのディレクター。世界中の営業は5タイプに分けることができ、このうち高いパフォーマンスを継続して出すことができるのはチャレンジャーだけであるという調査結果をもとに主張を述べている。

◆よかったインプットメモ

・調査によると、ブランド、製品、サービスが顧客ロイヤリティに影響を与えるのはわずか38%と想定よりも低い数字であった。一方顧客にヒアリングを進めて行くと営業体験では各社かなり大きな差があり勾配の決定要因になっていた。

・顧客が営業に求めているものは大きく①市場に関する独自の価値ある視点を提供してくれる②様々な選択肢を検討する助けになる③継続的なアドバイスを提供してくれる④地雷を避けるのに役立つ⑤新しい問題や結果について教えてくれる であった。つまり顧客が重視するのは課題発見能力よりも指導能力であったのである

・商談直結型の営業に必要なことは①自社ならではの強みにつながること②顧客の仮説を覆すこと③行動を施すこと④他の顧客への拡張性があること である。

・自社ならでの強みを語る上で重要なことは2つある。1つ目は実際に顧客をしっかりサポートできること。問題を見つけたが解決策は提示しないということでは意味がない。2つ目は独自の強みが何かをしっかり把握する必要があることである。顧客がなぜ他社ではなく自社から買うのかを明らかにすることが大切である

・顧客のインサイトを覆す上で重要なことは顧客から手放しの同意ではなく、思慮深い同意が得られることである。例えば今まで気づかなかった地雷や過小評価してきたトレンドの重要性に気づかせることであり「自社においてはどういう意味を持つのか」を考えさせることである

・他の顧客への拡張性があることを語る上で重要なことは訪問前にあらかたのニーズを理解していることである。顧客の現在の考え方に異議を挟み、顧客が単独では思いつけない新しい解決方法を示すことで彼らが本当に必要とするものを教える必要がある。訪問営業の目的が「顧客のニーズの発見」である企業は戦う前から負けている

・指導的会話は主に6つのステップで構成される。1つ目は地ならしである。他社でよく聞く課題を事例で話、悩んでいるのはあなただけではないということを伝える。あれこれ聞かれるソリューション疲れの顧客にとってこの仮説営業は非常にありがたいのである。顧客の課題を事前に知っていることは顧客の時間を尊重し「この人は話す価値がある」と思わせることができる

・2つ目は再構成である。顧客が認めた課題を踏まえて彼らが気づいていない大きな問題、または大きなチャンスに結びつけることである。ここでの目的はインサイトの発見ではなく、インサイトに対する興味喚起である。

・3つ目は裏付けである。再構成がなぜ必要なのかを数値やデータを使い説明することである。新しいしtんを示しそれが重要な理由を示すことが良い指導である。

・4つ目は心を揺さぶることである。多くの顧客がそうなのはわかりますがうちは違いますからと言わせないことである。この返答は「全く興味なし」を意味する言葉である。「御社が少々違うのはわかりますが、他の企業でも同じような事例がなんどもありました。ちょっとご紹介させていただけますか」ということである。「おっしゃる通りそれは日常茶飯事です」が帰って来ればOKである

・5つは新しい方法の提示である。この段階で我が社ならこんなふうに力になれるといいたいところだがここで前面に出るべきはソリューションであり自社のソリューションではない。「おっしゃる通りそうする必要がありますね」「うちもそのような会社になりたいものです」という答えが来ればOK

・6つ目はソリューションの提案である。自社が他の誰よりも上手く提供できることを訴求する。

・もっとも重要なことは②の再構成である。顧客がそのインサイトに昔から気づいていなかったのはなぜかを自問することが求められる。そしてそれは個人で行うものではなく組織的にサポートするものである。個人のカスタマイゼーション能力はあまり必要ではない。①自社独自のベネフィットを明確にする②顧客の考え方を覆すインサイトを生み出す③顧客を誘導するメッセージの中にインサイトを組み込む④販売員が顧客を挑発できるようにする ことが大切である(例;企業向け資材販売会社の予定外の出費が実は思っているよりコストであることの訴求。)


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