視察受入レポート_伊那市様
6月に長野県伊那市より地域おこし協力隊の方が2名、西粟倉村及びむらまる研に視察に来られました。滞在中はむらまる研が視察コーディネートをさせていただきました。本レポートではその様子についてお伝えしたいと思います。
なぜ西粟倉に?
伊那市は長野県南部にある人口約6.5万人(2024年6月時点)の、2つのアルプスに囲まれた自然豊かな市で、電気、精密、機械などの製造業、米や野菜などの農業も盛んです。
市域の約8割を占める森林に対し、50年の森林(もり)ビジョンを掲げ、森林資源を有効に活用し循環型社会を構築して地域発展を目指しているのも特徴の1つです。
今回視察に来られたお二人は、そんな伊那市で協力隊としてそれぞれ森林経営管理制度や地域材の活用、インキュベーション施設の運営に取り組まれています。
<視察に来られたお二人>
橋本圭太さん
伊那市地域おこし協力隊
50年の森林まるごとマッチングプロジェクト
塚田里菜さん
伊那市地域おこし協力隊
inadani seesの企画運営スタッフ
伊那市と類似する部分もある西粟倉での林業の取り組みやコミュニティ作りについて知りたいということで、視察を希望してくださいました。
視察1日目
長野県からはるばる西粟倉へようこそ!
むlaboで集合し、最初の視察先である西粟倉村役場産業観光課へ。
村の再生可能エネルギー事業について視察
産業観光課訪問では、百年の森構想をはじめとする近年の西粟倉村の歩みから、再生可能エネルギー事業*について伺いました。
*小水力発電、バイオマス発電、太陽光発電、地熱供給システム、小型ガス化発電設備が村にあり、それぞれについて紹介いただきました。
あわくら会館でお話を伺ったあとは、お隣のエネルギーセンターに行き、木質チップボイラーやチップ貯蔵庫などを見学しました。
株式会社百森様視察
村のエネルギー事業の取組について伺ったあとは、株式会社百森様を訪問しました。
株式会社百森様は、村の森林管理を担っている会社です。西粟倉村は村の約95%が森林で、そのうち約85%が戦後に植えられた人工林。そんな人工林には様々な所有者様がいます。西粟倉村は百年の森林事業の中で、村を中心として森を集約管理し、効率的な間伐を目指すことになりました。百森さんはその管理事業を担い、具体的には山主さんとの連絡交渉や、山林調査、作業同設計などを主な業務とされています。
オフィスで事業や森林の利活用の取組についてお話を伺った後、伐採された木が集まる土場と皆伐地の見学もさせていただきました。
学習フィロソフィーセンター "Pocket" 見学&地域食堂で夕飯
1日目の最後は3月末にオープンした、学習フィロソフィーセンター "Pocket"を見学しました。こちらは、村で教育事業を行う一般社団法人Nest様の運営する拠点です。
子どもたちの居場所でもあり、”やってみたい”という思いを追求できる素敵な拠点の見学後は火曜日と木曜日にオープンしている地域食堂にもお邪魔し、地域の大人や子どもと交流をしました。
視察2日目
株式会社エーゼログループ様 ビオ田んぼ視察
視察二日目は、株式会社エーゼログループ様を訪問しました。
今回お話を伺った生態系デザインチームは、地域共通の財産である自然から様々な価値を引き出し、その価値を増やしてより良い形で次世代につなぐことを目指しているチームです。
活動の一つである、ビオ田んぼプロジェクトについてもお話を伺い、田んぼの見学もさせていただきました。ビオ田んぼはビオトープを併設した田んぼで、そこでとれたお米をブランド米として販売し、農家の所得向上や担い手増加につなげることを目指して活動されています。
一般社団法人Nest様視察
1日目の夜に拠点見学をさせていただいた一般社団法人Nest様に、事業内容についても伺いました。学校教育と社会教育を繋げるNestのみなさんは、村内で教育に関わる事業を幅広く実践されています。
お話しの中で、村にある「15の春」という課題についても伺いました。西粟倉村は村内には高校がなく、多くの子供たちが15歳の春に村を出ます。これまで身を置いていた環境が大きく変わり(学習環境が10人前後のクラスから3,40人学級になる等)、アイデンティティの確立が難しくなったり、自信を持てなくなったりしてしまうそうです。
そういった課題に対して、自分のやりたいことを自分で叶えることで、主体性や自分らしく生きていく力をつける。Nest様はそれができる場を様々な活動を通して作っています。
地域を味わうランチ
1日目に引き続きたくさんの情報を吸収した後は、地域のお母さんたちが作ってくれた食事をむらまる研のメンバーと一緒にいただきました。
今回食事を作ってくださったのは、元ポラリスの会のみなさんです。
ポラリスの会は過去に村の給食を作ったり、地域食材を活用したお土産などを販売されてきました。この日は、親戚の集まりの時に食べられるごんだら煮、お家の柿の葉で包んだお寿司、黒豆ごはん、ヤマメの唐揚げ、和風コロッケ、山菜の天ぷら、ギボシの浅漬けなど、地域の味をおいしくいただきました。
むらまるごと研究所と元ポラリスの会のみなさんの活動についてはこちらのnote記事でも詳細をご確認いただけます!
一般財団法人西粟倉むらまるごと研究所視察
地元の味ランチを楽しんだ後は、むらまるごと研究所の事業紹介、拠点見学とディスカッションをしました。
「村の課題をどう探しているか」、「課題となることが分かったとき、どのように企業・大学にアプローチしているか」などのご質問に基づいて、ディスカッションをしたり意見交換をさせていただきました。
視察3日目
ちぐさ研究室様 土壌生物観察体験
ちぐさ研究室様(通称ちぐさ研)は植物や森林などの自然に気軽に親しめる取り組みをしている有志団体です。今回は、活動紹介と土壌生物観察体験を実施いただきました。
土壌生物観察では、西粟倉の森の土やむlabo付近の土にいる生物を観察しました。観察では吸虫管という装置を使用しました。これは、ピンセットなどでつまむことのできない虫などを息を吸い込みながら捕獲する装置です。
視察に来られたお二人は、「虫を吸うなんて初めて」といって夢中で捕獲&観察されていました。
ちぐさ研究室様が普段行っている、”自然に親しめる活動”をここでは体験させていただきました。
有限会社小松組様視察
地域の頼れる土建屋さんの有限会社小松組様。
今回の視察では、コンテナハウス事業とキャンプ事業の2つについて伺いました。どちらの事業も土建屋さん視点で地域課題解決を目指されています。
プライベートキャンプ場である森喫は「ここでひとり、焚き火を見つめながら頭をからっぽにする時間が最高の贅沢だった」という小松組代表の実体験が基となり誕生したとのこと。1日4組限定かつ森と川が共存する美しいロケーションが、岡山県内のみならず関西圏キャンパーからも好評とのことです。
その後はコンテナハウスを活用した村内課題解決プロジェクト「安全第一」各施設を見学。構想から5年以上の歳月をかけ生まれたサービス「安全第一団地」と「安全第一客室」の2施設では、それぞれ村内の住宅需要と宿泊施設需要に応えています。
安全第一公園で昼食を
最後に3つ目の施設である「安全第一公園」を見学しました。 この施設は、厨房付レンタルスペースとなっており「老若男女問わず、村民の交流や挑戦を後押しする場所を作りたい」という代表の想いが込められた施設であるとのことです。
飲食店のポップアップ出店も可能な当施設。ランチタイムに伺ったところタイミング良く定食ランチの村民出店が営業しており、実際の営業風景を体験しながら、美味しいお昼ご飯をいただきました!
最後に
今回伊那市からお越しのお二人と一緒に、村内の8つの事業所&団体を視察訪問しました。つたないアテンドで恐縮ですが、一緒に案内をさせていただくことができ大変光栄でした。
今回のご縁をきっかけに、今後も一緒に活動したり近況報告などできると幸いです。たくさんある視察先から西粟倉村を、そしてコーディネーターにむらまるごと研究所を選んでいただきありがとうございました。
また、今回視察訪問させていただいた村内事業者さまにも重ねてお礼申し上げます。
(文章:榊原)
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