見出し画像

【書籍メモ】ダイアグラム思考 -次世代型リーダーは図解でチームを動かす- (髙野雄一)【前編】

長くなってしまったので💦「要約」ではなく「メモ」です。さらに前編/後編の2回に分けました。
前編:第1章~第4章
後編:第5章~第6章

ざっくりいうと(前編)

  • 図解はモノゴトを多視点から観察し、構造化して、可視化する、トレーニングで上達できるスキルである。

  • 図解はOutputだけでなく、情報を整理してInputするときにも使え、理解、気付き、抜け漏れやアイデア発見にも繋がる。

  • 文章や音声では長大になり、全体も要点も把握しにくいが、図解だと一瞬で理解できる・伝わる・記憶に残る。

※ 後編は、7つのカテゴリ(フレームワーク)が具体的に紹介されます。

私の印象(前編)

  • 「次世代リーダー」を強調しているが、管理職のような意味合いではなく、「あらゆるコミュニケーション(Input/Output)において、整理、発想や主導権を持つ」のに、図解は有用なスキルといえる。

  • 「可視化して完成」でなく、振り返りを含め、「そこから新たな議論や発想が生まれる」のが、図解の最大の効果だ。
    (「図解の振り返り」をSTEP4と定義してもよかったのでは?)

  • 一番大切なのは、いかに本質的な「用言止めのワンメッセージ」を抜き出すか…に掛かっている。

こんな人にオススメ!
・「話が長くて要点がわかりにくい」とよく言われる人
・「伝わる資料」を作りたい人
・書籍や資料、記事、他人の説明をよく理解して、次の発想につなげたい人

※ 全体が大変長いです ⇒ 個人的に大事と思う箇所は太字にした上で、最重要なブロックには見出しに「★」を付けました。
そこだけ読むと、本書の要点が…見えますように!
※ 基本的に書籍内の表現を踏襲していますが、私の感想や補足箇所は、文頭に[補]を付けました。
※ 図解の書籍紹介なのに…追々、図を挿入していきますね😅


第1章 なぜダイアグラム思考が必要なのか

図解が持つ3つの力

  1. モノゴトを多視点から観察する力

  2. モノゴトを構造化してシンプルにする力

  3. モノゴトを可視化して共有する力

★モノゴトを多視点から観察する力

・図解により、高い視座、広い視野、複数の視点を持てる。
・多様な視点を持つことで、バイアスを解消できる。
・「木を見て、森も見る」ことができる。

★モノゴトを構造化してシンプルにする力

・構造化は、モノゴトを要素に分けて、要素間の関係を整理する。
・事例:1960年代、南アジアのコレラ大流行時に効果があった民間療法⇒「脱水症状の人へ、塩分に炭水化物と糖を加えた水分を与えると急速に吸収される」事実を構造化することで、ゲータレードは生まれた。
・横展開は、一度抽象度を上げてから、具体的に落とすことで「違いの壁」を超える。

モノゴトを可視化して共有する力

・ナイチンゲールは自身が考え出した「鶏頭図」により、クリミア戦争におけるイギリス兵の死因の多くが、負傷後の衛生状態にようることを明らかにした。
・ユニリーバは、抽象度の高いパーパスを可視化することで、ユーザーや投資家の共感を得られた。

3つのスキルの関係性

・多視点→構造化:多視点から観察すると、構造がわかる。
・構造化→可視化:構造がわかると、可視化できる。
・可視化→多視点:可視化すると、多視点が見えてくる。
三位一体の相互関係で成り立っている。

第2章 図解を知る

図と図解の違い

・「図は(描かれた)対象物」⇔「図解は行動」
・可視化に特化せず「無駄がなく、シンプルで、構造を示す図」を目指す。
・完成され、きれいすぎる図は伸びしろがない([補] それ以上の議論や発想を促したい)。

図の種類

・ピクチャー:モノゴトを写実するのが主流だった(写真、絵、画像、イラスト)。
・ダイアグラム:1542年、レオンハルト・フックス「新植物誌」に挿入された「3種類のサクラの木」の図で、異なる3つの季節のサクラの木の状態を1枚の図に表現した(対象のモノゴトを抽象化させて、伝えたいメッセージを可視化した)。
・グラフ(ダイアグラムの一部):特に数字やデータを図示したもの。

なぜ図で考えることをやめてしまうのか

・ビジュアル言語の習熟度は、10歳ピークに年齢と共に下がってしまう。
・理由は3つの思い込みのため:

  1. 私には図を描く才能がない
    ⇒ 図解はトレーニングした分だけ鍛えられる(4種の図形の組み合わせだけでOK)

  2. 資料は文字だけで作らなければならない
    ⇒ 図も併記した方が記憶されやすい

  3. 図を描くことは恥ずかしい
    ⇒ 写実性の高い図よりも、単純な図の方が理解を改善する

図解は筋トレのように、描けば描くほどスキルが上達し、図解のプロセスから新しい発見や、わかりやすくモノゴトを伝えることが上手になる。

第3章 ダイアグラム思考とは

★モード1とモード2

ダイアグラム思考は、目的に応じて2つのモードを使い分ける:
・モード1:情報の図解により、自分の頭にインプットするための思考法
⇒「自分の理解」「プロセス重視」「気付き・抜け漏れ・アイデア発見」
・モード2:頭の中の情報を図解により、アウトプットするための思考法
⇒「他社への共有」「成果物重視」「わかりやすく・正確に・素早く伝える」

★モード1:インプットするための図解

ダイアグラム思考は、情報を知識へと「醸成」できる。
⇒ モード1では「図の完成形」でなく「図を描くプロセス」を重視する。
・モード1の目的は「自分の理解を促進するため」
⇒ 自分オリジナルの「気づき」(抜け漏れや論理矛盾、新しい発見)が得られる
図解はモノゴトを考え直すきっかけになる(上司への相談時に「手書きの図を1枚持参する」ルールにより、相談件数が約40%減った ← アウトプットのつもりの図解で自分の理解が進み、自己解決が増えた!)

モード1の利用シーン

・言語情報をインプットする
・資格情報をインプットする
・聴覚情報をインプットする

★モード1のメリット

  1. 抜け漏れに気付ける

  2. 問題の本質に近づける

  3. 抽象度をコントロールできる

  4. 情報を並列処理できる

  5. アイデアを発想できる

マインドセットとしてのモード1

・あらゆるインプット情報が自動的に頭の中で図解されるようになるくらい、日常生活に取り込もう
・インプットとアウトプットの間で、思考を「醸成」させよう

モード2:アウトプットするための図解

・図は一瞬で情報をわかりやすく伝えられ、さらに情報を記憶しやすい

モード2の利用シーン

・1 to 1(図には相手の質問を引き出す特性がある)
・1 to N(興味や性格が異なる複数の相手に、メッセージを短時間かつ正確に伝える)
・N to N(人対人の言い合いになりがちな議論を、図に注目させることで同じ方向に向かわせる)

モード2のメリット

  1. 認識のズレを防げる

  2. 相手が情報を記憶しやすい

  3. 瞬間的に情報を検索できる

  4. 議論を効率化できる

  5. 相手が勝手に情報を補完してくれる(誤りや追加の情報が得られる)

マインドセットとしてのモード2

・「図解コミュニケーション」を習慣化させよう
・メッセージを図で発信しよう

第4章 ダイアグラム思考のプロセス

★STEP1 モードを選ぶ

  1. モード1(インプット)か、モード2(アウトプット)かを決める

  2. メッセージをワンライン化する ⇒ 情報をクリスタライズする

    1. 体言止めしないで用言で終わらせる
      NG:COVID‐19新規感染者とワクチン接種者数との関係
      OK:COVID‐19新規感染者はワクチン接種者が多ければ少なくなる傾向にある

    2. 意味の曖昧な言葉は使わない(ビッグワードを避ける)
      NG:A社は新製品の営業戦略を検討している
      OK:A社は新製品の販路拡大のためのパートナーを売り上げ規模の視点から選定している

    3. メッセージを1つに絞る(複数あったら分割する!)
      NG:X社は生産力を3倍に伸ばし2022年に中期経営計画を立案したが、弱みは営業力である
      OK:①強みは3倍に増強した生産力である②弱みは営業力である③2022年に中期経営計画を立案した

★図解が上手くできないのは、テクニックや習熟度が原因ではなく、ほとんどは「メッセージを1つのワンラインに絞り込めていない」から!

STEP2 カテゴライズする

7つのビジュアルカテゴリ

・メッセージと図解が一致するようにする(メッセージによって選ぶビジュアルカテゴリは異なる)

★STEP3 ビジュアライズする

・カテゴリごとに決められた3つのアクションに従って、ビジュアライズしていく
・描いた図には必ずタイトルをつける
(メッセージには主張が含まれるが、図解タイトルは簡潔かつ客観的に俯瞰した言葉にする)
例:メッセージ:A製品の中工程がボトルネックになっている
  図タイトル:A製品の生産工程
・とにかくシンプルにする(余計な装飾は船を沈める、迷ったら何度も描き直す)
★図解の本質は振り返り
 矛盾は図解できない
 抜け漏れがないか気付く
 空白に着目すると発見がある(図解で「ないもの」も可視化される)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?