旋律、編曲、うねり
本当にほしいものは自分には分からない。
いつも出逢ってから初めて気づく。
人の心に届く言葉を手に入れることは難しい。
仮に幅広い知識、鋭い視点、深い思考を手に入れられたとしても、共感という的に当たる確率は求められない。
むしろ、共感を期待しない無垢な姿勢でなければ、共感を得ることはないのかもしれない。
まず、積み重ねた知識と経験に背を向け、あたりまえのように目の前にある事物を、何も知らない子供のような好奇心で見つめてみる。
次に、興味のあることについて、心のままにタイプしてみる。
語句や文法の間違いなどは気にしない。
ぎこちなく連なる言葉からメロディのように流れる言葉へとアレンジするために、息が続くギリギリまで言葉の海に潜ってみる。空と海の境界を何度も超える。
アレンジが終わり、最後にグルーヴを刻んだら出来上がりだ。
グルーヴがなけれは、言葉はツルツルと滑り、人の心まで届かないかもしれない。
グルーヴは複雑に配合されたスパイスによる隠し味に似ている。
残念だが、言葉のグルーヴにはレシピがない。
今日もグルーヴをめぐる果てのない旅が続く。
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