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くらしの哲学  家づくりってなに?

家づくりの仕事をしていると、お客様の多くがポジティブなエネルギーを持っている方が多いものです。それもそのはず、大きなお金と時間をかけて「家族の住処をつくる」というプロジェクトは、家族の仕事や人生が充実していたり、充実させたいという思いがなければその土台に上がらないからです。

家づくりって何だろう?

と考えたとき、
家のことを考えながら、家族は自分や家族の「幸せの形」を探っている。「幸せ」という言葉はとても抽象的だけれど、私達がかく図面や模型、一緒に決めていく素材などは、その抽象的な「幸せ」を「家」という具体的な形に落とし込むプロセスです。

人によって、その「幸せ」は居心地だったり、家族との距離感だったり、自然との調和だったり、人とのコミュニケーションだったり、子育てだったり、音楽だったり、読書だったり、料理だったり、お酒だったり、食べることだったり、サウナだったり、火のそばだったり、星空だったり、雨音だったり、花の香だったり。

それぞれが思う、それぞれの幸せの形。そのお手伝いをする仕事をしているのですから、幸せについて聴くことがとても大切です。


特に設計事務所が関わる家づくりにおいては、様々な視点でのヒアリングがあります。(ヒアリングから暮らしの雑談に発展することがよくあり、それもお互いの発見があって、面白い時間です。)
ご家族のプライベートなことや経済的な価値観、子どもへの教育なども話題に上がりますから、楽しいけれど、信頼を裏切らないよう心してヒアリングに臨んでいます。


また、「家をどんなふうに作るか」ということは、建築の知識に加えて、倫理観、道徳観、社会性という多面的な要素も含まれます。(むしろいい家づくりにはそちらの要素の方が大きいかも)


ですから、私たち設計者は建築だけでない広い視野も必要なのだとつくづく思います。また、逆に、家づくりのプロセスを通して、逆にお施主さんから知を啓いてもらうこともあります。素敵だなと思うお施主さんの何気ない言葉や考え方からは、なるほど!と思うこともしばしば。
お互いに新しい世界を啓きあうようなそんな楽しさが生まれます。



家づくりの知を啓く


そうそう。屋号の「ひらく」には「開く」「拓く」「啓く」「展く」など複数の漢字がありますが、「啓く」は、英語でいうなれば、「edify」という単語にあたるそうです。
「知識を高める」とか「啓発する」という意味あいですが、もとの原義は「家をつくる」なのですって。

「家をつくる→精神を構築する→教育する」という流れとのこと。

確かに。「どんな家をつくるか」ということは、「自分自身がどうありたいか」を問うプロセスそのもの。だから、楽しいし、悩むし、考えが尽きないのでしょう。

家づくりを通して、私達には、お施主さんに対しお客さんより少し多い経験や専門的な知識を駆使して、家づくりの知識を「啓く(ひらく)」役割もあるように思います。(おこがましいけれど)
だからこそ、日々是精進…。



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