くらしの哲学 「いまを生ききる」哲学
前回の「ビジネスと家事の未来」に引き続き、辰巳渚さんと山口周さんの著書に思う、家事とビジネスの交差点から。
ビジネスによる経済成長というフェーズの終焉を受け入れられず、つぎのフェーズにシフトできずに過去を引きずっている状態。山口周さんの著書では、そんな世の中の状況がわかりやすい言葉で語られていて、ビジネスに疎い私も興奮して一気読みしてしまいました。
「過去」がそのまま続いているという幻想を見ていると、それはつまり「いまここ」をおざなりにすること。「今ここ」が未来をつくるのだという実感覚が伴わないと、その未来は絵に描いた餅にしかならないこと。
そんなことを、「生活者としての私」の先に視野を広げて納得することができます。
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さて、辰巳さんの著書に『人生十二相~おおらかに生きるための「捨てる!」哲学』という本があります。変化にとんだ人生のその時々を「生ききる」ことで、その次のフェーズをよりよく生きるための哲学を説いたもので、その手段として、今の自分に一番の眼差しを向け、今の自分に必要なモノ・コトを取捨選択し、また、日本文化の「節目の行事」を取り入れること。そんな生きる技術を紹介しています。
七五三や、冠婚葬祭などの日本の節目の行事は「人生を送る積極的な営みの生活文化」として継承されてきました。その時々を生ききり、生まれ直す気持ちでこれからの未来へと進んでいく軽やかな知恵。そんな「人生をどう生きるか」をテーマにした本でもあるのです。
「人生をどう生きるか」と家事とは、一見つながりのないように思えるかもしれません。しかし、どうしてどうして、家事の本質は「いまここを生きる具体的な作業」です。つまり、生きるコトそのもの。
そしてさらに。
ビジネスと家事とは、一見、相対する概念だと思われるかもしれません。
これまでのように家事を「手段的(インストルメンタル)」ととらえるならば。
しかし、どうしてどうして。ビジネスも家事も人の営みのひとつ。
山口さんの最後のページの文章はこうつづられています。
ビジネスの未来を変える、はじまりの一歩。
それを考えるのが、わたしにとって、あなたにとっての「人生十二相」にある「いまを生ききる哲学と技術」だと思います。
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こんなふうに「暮らし」「生活」へ眼差しを向け、その先の社会にも目を向ける。そんな学びが、辰巳渚さん(故人)が実施されていた家事セラピスト養成講座です。今年も5月開講です。
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