実験イベント「TONES labo」を終えて

先日はgallery kissaにて「TONES labo」を開催いたしました。お客さまのギターを用いて1対1の特別ライブ&楽器メンテナンスのアドバイスを行う「ギター・メンテナンス・ワークショップ」と、演奏者の周りをぐるりと囲む客席で、約30曲の多彩なギター作品をご鑑賞いただく「実験ライブ」の2つの試みを行いました。

今回はご来場いただいたお客さまからのご感想を当日の写真と共にご紹介いたします。

実験ライブのご感想

ライブでは至近距離での生演奏、音色・響きを存分堪能できました。
ホールでの鑑賞も良いものですが、個人的にクラシックギター独奏はこうした空間での鑑賞が一番好きです。
折を見て是非また楽しませていただきます。
ありがとうございました。

奏者が中央で、360°どこからでもお客さんが聴ける配置。
このような配置は、クラッシックギターでは聞いたことがありません。
そして、私は真後ろで聞かせていただきました。
当初は、演奏者の耳はどういう音を聞いているのだろう?という興味からでした。しかし、そのようなことは途中から消え去って目を閉じた時に、信じられない体験をしました。
間接音の空気の振動と床から這ってくるような波動が同時に感じられまるで自分が演奏しているかのような錯覚に陥りました。
まさに奏者の疑似体験で、今も夢見心地でおります。
私の席(右真後ろ)でなければ体感できないと思います。
貴重な機会を作っていただき感謝申し上げます。

クラシックギターの特徴は指先の爪で直接弦を擦るところにあり、そこから紡がれる繊細な音色が最大の魅力だと思います。
お客様との距離が今回の実験ライブのように近ければ、細やかな音の操作が会場の響きに埋もれてしまうこともありません。ギャラリー公演ならではの鑑賞体験をお客さまにお届けできたことはとても嬉しく思います。

ギター・メンテナンス・ワークショップのご感想

お客さまにご持参いただいたギターで演奏を行いました

大好きな「虹」を奏一さん自ら、しかも私のギターで目の前で奏でていただき、これはもうとても思い出に残る充実した時間でした。いつも満足に鳴らしてもらえない私のギターもさぞかし嬉しかったことでしょう…。
メンテナンスのお話では弦幅調整(狭めた際)の「6弦のみを寄せる、指版を台形にしたことも!」が印象に残ったのと、ブリッジ穴のダブルホールやクリアトーンの効用と、全弦をそうしない(クリア化しない)理由に理解が深まりました。

お客様が普段お使いのギターで、リクエスト曲を演奏する、というのは僕にとっても初めての体験だったのですが、想像していた以上に参加者の皆様に喜んでいただけてとても嬉しく、またホッと一安心いたしました。

ご感想の中にあったブリッジ穴について補足すると、ブリッジの弦を留める穴を2穴化(ダブルホール化)する事で、あるいはクリアトーンという部品(スーパーチップとも)を導入する事で響きが硬質になるという話題が出たのですが、全ての弦に2穴化を導入すると響きの締め付けが強くなり過ぎるケースもあり、楽器によってどの弦を硬質化するか検討する必要があるという話をしました。

ギター製作家・松井啓泰さん
製作家の観点から楽器のメンテナンスについてお話くださいました
松井さんによる弦長の採寸や、ネックの反り・ヒビ割れのチェックも!

ギターメンテナンスワークショップでは普段弾いている自分のギターからこんなにも素敵な音が出ることに驚きました。
そしてネックの裏の「傷」に気づいて頂き感謝申し上げます。自分の手癖(左手親指を立てる)を認識できました。

弦幅は、意識したことがありませんでした。自宅に帰って妻のギター(弦幅41.0mm)を弾いたらなんと弾きやすかったことでしょう。
本当に勉強になりました。

僕にとっては、クラシックギターを自分の趣味として本気で向き合っている方々と交流を持てた事がこのワークショップ最大のリターンでした。
楽器の構造について語り合い演奏を通じてその響きを共に味わうひとときは、普段の演奏会では得られないワークショップならではのものでした。
またいつかこうしたイベントを開催できたら嬉しく思います。

参加者の皆様とそれぞれのギターで📸


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