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ぼくも騙されるのが好き

※おことわり(とても重要)

ぼくは星野リゾート好きです。素晴らしいサービスを提供しているし、価格も適正だとおもってます。みんなもいこうね。

星野リゾート公式サイト

てーま

ひさしぶりにnote書こうかと思ったら2020年の下書きが出てきたので原型をとどめずに加筆修正して供養したいと思います。

今日のテーマは「意図的に騙されたい」です。まずはサムネの話から。

星野リゾート

星野リゾート、いいですよね。ぼくもBEB5含めて3回くらい滞在したことがあります。旅館業界の中で業歴対比のブランド力なら圧倒的にナンバーワンなんじゃないですか?

全国各地にあって、主要なリゾート地に選択肢がある。悩むくらいなら星野リゾート。そうすれば期待はずれなことにはならないはずです。実際そうでした。

ちなみにサムネは2020年に訪れたときの写真です。これチェックイン待ちの時に渡された香り付きのおしぼりです。ちゃんとホスピタリティ出てますね。

ふと立ち止まってみましょう

ただ、ただですよ。星野リゾートの強みっていったい何なんでしょう?

建物。ほとんどリノベですよね。昔の旅館を再生して仕立て直してます。リノベされてるんで見た目は綺麗ですが年季は入ってます。

食事。別にご当地の料理に特化もしていないですし、こだわりも特筆すべきところもないです。

スタッフ。割と若い従業員が多いですよね。この道一筋、みたいな女将さんはあまり存じ上げません。

価格。ぼくが滞在したときは一泊3万円くらいでした。高くはないですが、格安という感じもしないですよね。

はて。

もうちょっといきましょう。

「体験」

星野リゾートでは「自然体験」を押し出す"店舗"が多めです。
ぼくが滞在した「界 川治」では紙漉き体験でした。ぼくも作ってみました。が、これって川治温泉や日光の文化でしたっけ? この体験って烏山和紙独特の工程を取り入れてましたっけ?

界 川治 公式サイトより。ぼくもここに座った。

そう、周辺の文化を取り入れているわけではなく、近所の「それっぽい文化」を拾ってきてるわけです。

烏山藩はどちらかというと栃木県東部ですね。

今年由布院に界がオープンした時もちょっと話題になりましたね。

敷地に棚田を取り込んだ隈研吾氏設計のホテル、星野リゾート「界 由布院」への賛否

なんと敷地内に棚田を作ったとか。部屋から見えるのすごくないですか? そんな旅館聞いたことないです。しかも敷地内にわざわざ整備したからにはさぞかし綺麗でしょう。


いい景色

ただ、ただですよ。それってほんとに「棚田」なんですか?

稲作をするために作るのが田んぼであって、景観のために作ったのであればそれはアートですよね。「棚アート」。響きはおしゃれ。

そう。ブランド力は高い。全国展開もしてる。でも取り立てて素晴らしい何かをぼくは見つけられませんでした。

彼らの提供する価値

ただ、ここからが大事なんですが、星野リゾートは良質な「体験」を提供していることは間違いないと考えてます。

(見た目が)綺麗な建物。整備されたアメニティ。訓練された従業員。清潔な部屋と温泉。人工的に整備された景観。どれも期待値を外してこないわけです。

そう安い買い物ではない旅行という娯楽において、これは極めて高い価値を持ちます。旅館に全く詳しくなくても、星野リゾートを選んでおけば、(多少割高でも)相応の体験ができるわけです。

手間がなくお金で安心感が買えるならそれで良くて、少々嘘っぽくても構わないんですよ。

https://qr.ae/prGUBd

こんなことを言っている人がいましたが、まさにその通りだと思います。

「体験」とは真にその地域の文化を体験することではありません。少なくとも客は求めてません。(だれがど田舎でよそ者扱いされて「村八分」されたいです?)

よくわかんないけど温泉に入って。よく知らないけど地域の文化らしいさむしんぐを体験して。どこで採れたかしらない食事を摂り。清潔な布団で眠る。素晴らしいことじゃないですか。不快な期待外れの体験をしない。それが大事です。

本題

そう。ぼくらは騙されているわけです。

自然を体験している感覚に陥りながら、実際に滞在しているのは清潔な旅館。決して棚田を体験するために泥まみれになる必要はなく、空調の完備された部屋から鑑賞すればいい。

文化を体験している感覚に陥りながら、実際に体験しているのはどこか別の地域の真似事にも満たない何か。現地の文化体現者に邪険な扱いを受ける必要はなく、インストラクターは訓練された従業員。

旅館に泊まっている気分になりながら、本物の旅館に泊まってマナー違反をとがめられたり、愛想の悪い女将にストレスをためることもない。

リスクを負って真の「体験」をするのと、嘘だけど快適な「体験」をするのと、どっちがいいですか?

ぼくは圧倒的に後者ですね。本当に体験をする必要なんてどこにもなくて、「体験した気分」になれればそれでよいわけです。

実際には騙されているわけですが、それをわかってたとしても、わざと騙されたいじゃないですか。真実を知ってろくなことはないです。

これからも気持ちよく騙してくれる娯楽を探し続けていきたいものです。


ほんとは別ブランドも紹介したかったのですが、もう2,000字を超えてしまったのでこのへんにしておきます。それでは。

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