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「最後に株主総会に携わった世代」として : シンプレクス再上場の報を目にして

タイトルは、ちょっと正確じゃない。

仕事の息抜きに Twitter を眺めていたら、驚いた。新卒で入社してから4年半勤めていたシンプレクスの再上場が承認されたのだ。

私が入社したときのシンプレクスは東証一部上場企業だった。 (正確には、自分が勤めていたのは, 上場していた持株会社の子会社のシンプレクス・コンサルティングだ)

当時、株主総会運営の手伝いをすることが、新卒2年目社員の恒例行事だった。2012年新卒入社の自分は、翌2013年の株主総会に立ち会うことになるわけだが、その数日前に会社は MBO を発表。その日の自分は長期休暇の最中で、旅行に出るわけでもなく、近所の大衆寿司店で昼食とも夕食ともつかない食事をしながら Twitter を眺めていた。当時の CFO のツイートを見て自分の会社の MBO を知ることになるとは思わなかった。同期に LINE して「社内はどんな雰囲気なの?」って聞いたりした。

そんな状況での株主総会は多少の波乱があるんだろうか?みたいな心づもりでホテルオークラに向かった6月の休日出勤。同期の大半が会場案内などに駆り出される中、もうひとりと共に議事録係にアサインされて質疑応答の文字起こしをしていた。 (当時からタイピングと文字起こしの能力の高さは評判だった)

当然手厳しいご質問もあったものだが、MBO を後押しして応援する心持ちを表明してくださる株主の方のコメントも同じようにあった。そんな中で印象に残っていることのひとつが、今後のシンプレクスについて問われた金子さんが口にした「私個人としては、再び上場してパブリックカンパニーにしたいと思っています」という力強い言葉だった。

MBO なので、買付を行う立場としての金子さんと、株主に説明を行う立場としての金子さんの人格をうまく分けなければならない難しい立場だったと思うし、セオリーで言えば MBO 後の考えについて言及したり回答することは得策ではなかったのかもしれない。それでも質疑応答のやり取りの中で出た言葉と力強い口調に、金子さんの意志が現れたように思う。

シンプレクスの行動規範である「5DNA」には "Commitment" という項目がある。どんな困難な状況でも折れずにやりきって、結果を残すこと。あの質疑応答から8年経って再上場の報を目にしたときに、金子さん自身が身を以て Commitment を示してくれているんだなぁと思うと、自分が悩んでいることなんて比べればちっぽけなんだからもっと頑張らなきゃ、と思ったりした仕事の合間の休憩時間だった。

来年以降のシンプレクスの株主総会がどう運営されるかは分からないが、もしかしたら僕たちの世代は「株主総会に携わった最後の世代」ではなくなるんだろうな、と思うと感慨深い。上場は企業活動の手段のひとつであってゴールではないが、ここまで頑張ってこられた関係者の皆様に「おめでとう!」と伝えられたらと思う。

IPO は、応募しても当たらないんだろうなァ…。

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