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【ライブレポ】Vicious Rumors来日に行きました!

2023/11/29(水) @ SPACE ODD

USパワーメタルを代表するバンドで、個人的にも好きなバンド(特に2ndが好きです)であるVicious Rumorsが、なんと16年振りの来日ということで観に行ってきました!


・USパワーメタルとは

さて、バンドの紹介やライブレポに入る前に、そもそも「USパワーメタルとは?」という向きもいるかもしれないので、簡単に説明しましょう。

この「パワーメタル」という単語、恐らく日本においては「日本で所謂メロスピ/メロパワと呼ばれるサブジャンルの海外での呼称」というイメージが強いかと思われますが、「USパワーメタル」となると話が変わってきます。

海外では「USPM」と略すことが多いこのサブジャンルですが、本当に一言で言うなれば「80年代アメリカ産正統派メタル」です。

すなわち、イギリスにて興ったヘヴィメタルというジャンルが、NOWBHMを経てアメリカに渡り、影響を受けた当地のメタルヘッズ達が作り上げたシーンというわけです(Judas Priestの影響が強いバンドが多い印象)。

80年代のアメリカというと、隆盛を誇ったLAメタルや、Paul GilbertやMarty Friedmanらを輩出したShrapnel勢、BIG4やベイエリア勢を始めとするスラッシュメタル、地下シーンで勃興しつつあったデスメタルが語られることが多いと思いますが、USパワーメタルも忘れてはいけません。

USパワーメタルで有名なバンドとしては、コンセプトアルバムの金字塔「Operation Mindcrime」が代表作のQueensrÿche (USPMの文脈だと83年セルフタイトルEPと1stが語られる)や、日本で絶大な人気を誇るRiot、同じく知名度の高いSavatage、ドリムシ以前のプログレメタルとして名前の挙がるFates Warning辺りでしょうか(今回来日したVicious Rumorsもこれくらいの知名度な気がします)。

他にも、Crimson GloryLiege LordFifth AngelObsessionLethalJag PanzerHelstarM.A.R.S.、WarlordLeatherwolfSavage GraceTitan ForceLizzy BordenChastainなど、挙げるとキリが無いくらい魅力的なバンドがたくさんいて、当時のアメリカの層の厚さを窺い知れます。
筆者はこの辺のバンドのCDも集めているので(ちなみに上に挙げたバンドは全て1枚以上はアルバム持ってます)、そのうち特集記事を書きたいと思っています。

・Vicious Rumorsについて

さて、結局説明が長くなってしまった感がありますが、次はVicious Rumorsについてです。

結成は1979年と古く、まさにリアルタイム世代のバンドですが、これまでに一度も解散しておらず13枚のフルアルバムをリリースしている息の長いバンドです。

現在オリジナルメンバーはギターのGeoff Thorpeのみですが、メンバーの入れ替えは頻繁に行われており、1st「Soldiers Of The Night」にはVinnie Mooreが、2005年~2007年にかけてはBrad Gills (Night Ranger)やJames Rivera (Helstar, ex-Destiny's End) が参加していたりしていました。

中には「Vinnie Mooreがいたバンド」として覚えている方がもしかするといるかもしれませんが、彼が参加していたのは1stのみなので、この際「USパワーメタルを代表するバンド」と認識してもらった方が良いかもしれません。


ここでいきなり余談ですが、USPMってShrapnel Recordsとの繋がりが結構深くて、Vicious Rumorsの1stは同レーベルから出ているし(そしてVinnie Mooreも参加していた)、かのTony McAlpineが率いたM.A.R.S.もShrapnelだったし、ex-Jag PanzerのJoey TafollaもShrapnelに所属していたし(Out Of The SunはShrapnel系ギターインストの名盤です)、USPMの文脈で出てくるDavid T. Castain率いるChastainもShrapnelからアルバム出していたりしています。
まぁShrapnel勢も言ってしまえば正統派メタルの範疇なので、筆者的にはこの辺を線引きする必要は無いという認識です(USPMの文脈でRacer XやCacophonyが出てくるイメージは無いのですが、個人的には入れてしまって良いと思っています)。


・・・と余談が過ぎてしまいましたが、ともかくVicious RumorsがUSパワーメタルの文脈で重要なバンドであるということは伝わったかなと思います。

今回の来日では、事前に1st〜4thを中心としたセトリになると発表されており、まさしく彼らの代表作ドンピシャの選曲となるため、非常に楽しみにしていました。

筆者はというと、Vicious Rumorsを知ったのはかなり前で、18, 19歳くらいの頃でした。
その時はUSPMという文脈については特に意識しておらず、アメリカの正統派を漁るか~くらいの気持ちだったと思います。

「USパワーメタル」というシーンを明確に意識するようになったのは3年前くらいからで(完全にPhil Tougasの影響です)、正統派メタルがメタル聴き始めた頃から好きなのもあって、かなりdigり甲斐を感じます。

筆者のVicious Rumorsコレクション(1st~4thだけですが)

そんな中で、冒頭でも書いた通り彼らの2nd「Digital Dictator」はUSPMの中でもお気に入りで、タイトル曲、Minute To Kill、Out Of The Shadowsと名曲目白押しのアルバムとなっています。

2nd~4thについてはやはり故Carl Albertの力強いハイトーン・ボーカルがかなりの魅力かなと思いますが、それのみならず楽器陣の演奏もタイトでカッチリしており、当時の一流のUSパワーメタルバンドの演奏を生で観れるということで、今回の来日が決まった時はかなり嬉しかったですね。

(偶然にも来日して欲しいとツイートした数日後に来日が発表された時の筆者のツイート)


さて、かなり長くなった前置きも程々に、ライブレポの方に入っていきましょう。

・ライブレポ

今回の会場だったSPACE ODDですが、行くのは昨年のDefleshed来日以来。

18:00オープンとのことでしたが、筆者が辿り着いたのは18:30過ぎでした。

ちなみに12/14(木)に筆者のバンドDesolate SphereがSPACE ODDで Cryptopsyのサポートをします

フロアのある地下2階まで降りると、既にかなり人が入っており、Vicious Rumorsの人気の高さが窺い知れました(ちなみにDefleshedの時と違い物販は地下1階でした)。

流石に年齢層は高めで、下手したら自分が一番若かったのではというレベルでしたが(筆者は今27歳)、東京正統派メタルバンドRisingfallのKonoさん達がいたので、開演まで話していました。

BGMではLeatherwolfやRacer XやAngel Witchが流れていましたが、途中なんとRisingfallが流れるという一場面があって最高でした。

あとこの日筆者はSavage GraceのTシャツを着ていたのですが、知らない方にも反応されて嬉しかったですね。

開演前のステージ

スタートは19:00だったのですが、この日は開場が遅れていたらしく、その影響かは分かりませんが開始が10分以上押しました。

とはいえ待っていると時間が経つのはあっという間で、2ndアルバムのイントロReplicantが流れてライブがスタートしました。

セットリスト:

写真を撮らせてくれた方ありがとうございます

ちなみに、事前に公式から告知されていたこととして、東京1日目と東京2日目でセットリストが半分以上変わるというのがありました。

個人的に私が行った1日目のセトリはHellraiserが無かった以外は不満が無かったのですが、Hellraiserは案の定2日目にやっていましたね。

(2日目のセトリはJEROさんのツイートを参照いただけると)


冒頭から1stの名曲Ride (Into The Sun)でブチ上がりなわけですが、その後も予告通り1st~4thの曲が満遍なく演奏されて魂のヘヴィメタルを感じまくり。
この日は気持ち2ndと3rdの曲が多かったのも個人的にポイントでした。

中盤やっていたMurderballのみ現ボーカル(と言っても出戻りですが)であるBrian Allenが参加していた2011年作「Razorback Killers」からの選曲でした(これに関しても告知通りで、2日目はLet The Garden Burnが演奏されたようです)。


気になる演奏のほうですが、唯一のオリジナルメンバーであるGeoff Thorpe (Gt.)をはじめ、一時脱退していた期間があるものの1985年からバンドの屋台骨を支えているLarry Howe (Dr.)や、Brian Allenといった古参のメンバーは当然ながら年季の入ったクオリティの高いパフォーマンスで、非常にエネルギッシュでした。

一方で、バンド内では比較的若く昨年加入したばかりの唯一のスウェーデン人であるRobin Utbult (Ba.)や、なんと18歳の時に加入した現在24歳の(筆者より若い!)Gunnar DüGrey (Gt.)は若いだけあってベテラン組とはまた違うエネルギッシュさがありました(とはいえRobinは落ち着いた感じでしたが)。

特にGunnarについては若いながらも抜擢されているだけあってギターソロも上手く、非常に貢献しているなという印象があり、親子ほどの年齢差のあるGeoffとのツインギターもしっかりとフィットしていて、流石だなと思いました。

ボーカルのBrianについては、ハイトーンもしっかりと出ていて、まだまだ現役感たっぷりでした(と言ってもまだ51歳なのでGeoffとLarryより10歳ほど若い)。
故Carlがex-QueensrÿcheのGeoff Tate系のボーカルだったのに対して、BrianはRob Halfordに近い声質だと思いますが、過去の曲も全然違和感が無く、出戻りしてきたのも納得といった感じでした。

リズム隊もしっかりと屋台骨を支えており、終演後にお孫さんがいると言ってるのが聞こえてきたLarryもステージだとパワフルなドラマーだったし、ベースのRobinもどことなくシャイな印象はありつつ魅せるところではしっかりとギター2人と共に魅せていました(そして左腕のScreaming For Vengeanceのタトゥーがトゥルー過ぎでした)。

最後にただ一人のオリジナルメンバーであるGeoffですが、リーダーとしての存在感抜群で、ヘヴィメタル魂のこもったMCもアツく、まさしくUSパワーメタルの生き証人でした。

ライブの途中に彼のシグネチャーモデルであろうDean Razorbackの弦が切れてしまううトラブルがありましたが、控えのIbanezで切り抜け、Abandonedで再びRazorbackに復帰していました(この時BrianがMCした後も調整していたのはご愛敬)。

Ibanezを弾くGeoff

選曲については上でも書いた通り満足のいくものでしたが、特に今回個人的に演奏されるか不安だった2nd収録のOut Of The Shadowsはなんとアンコール前で披露されたのは、めちゃくちゃアガりましたね。

他にもShip Of Fools、Digital Dictator、Minute To Kill、Towns Of Fireと名曲が目白押しで、アンコール2曲のSoldiers Of The NightやDon't Wait For Meも最高でした。

演奏時間は90分ほどで、名曲ばかりだったため体感あっという間でしたね…。


終演後は地下1階の物販ブースの前にメンバー達がファンサービスで集まっており、筆者も物販を受け取った後に(今回は予約制だったんですがこのシステム良いなと思いました)、なんとGeoffと写真を撮ることができ、更にサインまで貰いました。

Geoffと筆者(この時マーカーを貸してくださった方ありがとうございました)
今回買ったライブTシャツ。どことなくDark Soulsぽくてカッコいい(1stのタイトル由来だと思います)。


16年振りの来日となったVicious Rumorsですが、今回初めて観て思ったのは、また近いうちに来日して欲しいなという気持ちと、やはりもっとUSパワーメタル(正統派メタル)のバンドに来日して欲しいなという願いでした。

US出身に限らなくても良いですし、ベテランでも若手でも良いのですが、特にベテランについてはなかなか観れなくなってくるというのはあると思うので(正統派メタルに限った話ではないですが)、これを皮切りにもっと来て欲しいなと…(それはそうと来年のRiot Cityが楽しみです)。

MCでGeoffも言ってましたがやはりStay Healthyって大事だなと(筆者はまだ27歳ですが)思いますし、そして何よりStay Metalの精神も決して忘れてはならないというのを(日頃から似たようなことは言っていますが)強く感じましたね。

ヘヴィメタルという素晴らしいジャンルに出会えたことに(もう無数にしてますが)感謝する、そんな一夜でした。

Heavy Metal Forever!!

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