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【チューニング記/RCF】2022.10.29 スパ西浦

主旨


この"チューニング記"は私が愛車・LEXUS RC Fを、"走りの性能"をより追求して磨き上げていくことをテーマにした雑記です。

官能性の高いV8エンジンを心臓に持ち「こんなクルマでサーキットを走ったら絶対に気持ち良い!」と思わせるRCFですが、実際にサーキットで走らせてみると意外と「市販車」としての制約や、より広いユーザーを満足させるために"敢えて尖らせなかった部分"もあるようだと感じます。

そこでRCFが持つ世界観を大切にしつつ、量産状態を"原石"と捉えて"走りに寄せた研ぎ込み"をしたらどこまで"走りの性能"が引き出せるのか?という興味と野望を持ってRCFにチューニングを施します。

その様子を、「面白そう」と思って頂ける方に少し覗き見して頂くという趣旨のコンテンツです。

走行動画


本シリーズ(不定期投稿ですが・・・)開始時点最新の走行動画を
Youtubeにアップしておりますので掲載します。

この動画の後半にはチューンドと量産状態の車の性能の差が分かるような
比較シーンも載せていますので”弄るとどのくらい違うの?”という興味の入り口にご覧ください。

私は何者?


ごあいさつのページにありますように、現役の自動車エンジニアです。
駆動やその周辺技術を知る専門の技術者が車を趣味で弄るときにどのようなことをするのか、という目線で眺めて頂いたら良いと思います。

私が手を入れるところには「純正状態で何が足らず、何をどういうレベルに変えたいのか」という理由が必ずあります。「何となくパーツを足していく」をせず、「変える背反」を常に睨みながら「素材の味付けを変えていく作業」です。
開発現場の中に居て、本当は日々お伝えしたいと思っている「純正がもともと持っている魅力」や、そこから何かを変えるときの「チューニングの本質」が"何となく"でも伝わると嬉しいです。

この日の走行でしたこと


  • 仕様変更の効果確認

  • チューニングショップへの結果フィードバック

仕様変更の効果確認

この日はそれまでの車両仕様を大きく変更しての走行でした。
狙い通りの効果が出たのかどうかを確認することが走行目的の主題です。
仕様変更は以下。

  • フロントタイヤ幅アップ

  • リヤスプリングレートアップ

  • アライメント変更

リヤのスプリングレートを21.3k→26kにアップ。
より正確にバネが動くように、HALスプリングのピロマウントも同時に投入しました。

こういった仕様変更をした時には、変えていないところのコンディションをなるべく仕様変更前と揃えることが大切です。

きちんとした開発の中では「Before/Afterで、投入アイテムの効果を単体・総合の両目線できちんと切り分ける」ということが大切で、当たり前のように行われます。
それが出来ていないと、対して効果のない仕様変更にコストをかけたり、アイテム同士が効果干渉してしまう事実や、相乗効果で効果が出るのだという事実を見落としてしまう可能性があるからです。

趣味の世界では予算や時間の事情もあって色々と同時に手を付けることはありますが、それでもなるべく変更の効果を正確に確認するに越したことはありません。本当の開発のように窮屈なまでにすべてを解き明かさなくても良いのですが、出来るだけきちんと向き合うことは趣味の味わいを良くするのです。

そんな頭で、今回変えなかったのは
・タイヤ空気圧
・燃料残量
・テストするサーキットと走行ライン※
など。

※冒頭の動画ではベストラップ同士を比較してしまっており走行ラインが違いますが、動画の外では同一ラインでの比較も実施しています。

効果確認はラップタイムでの比較が最も簡単ではありますが、
ラップタイムは外気温の影響がエンジンパワーに乗ってきて外乱となるため参考程度に考え、「同じコースを同じように走らせようとしたときに車の動きがどのように変わったか?」を確認します。

例えば、コーナー立ち上がりでアクセルを開けていけるポイントの変化や、コーナリング中にフロントタイヤがキチンと仕事をしてくれる限界の舵角、修正舵の頻度といったところを見て、その手応え通りにラップタイムも短縮していればきちんと効果が出ているということになります。

今回の変更はいずれもコーナリング時のアンダーステア軽減を狙ったもので、
「フロントタイヤの限界が向上」
「よりステアリング舵角を増して車を曲げることが出来る」
「その時にリヤの安定感(スタビリティ)が確保されている」
 ↓だから
「コーナー出口で早くアクセルを踏むことができて速くなる」
という結果が得られればチューニングは狙い通りになったと言えます。

効果確認の結果は狙い通りでした。
一方で、ここはもう少しこうしたいという課題も抽出しました。

チューニングショップへの結果フィードバック

チューニングをDIYでやるという人も居ますが、技術者の私は「餅は餅屋」というか、やはり専門外の人が自力で出来ることには限界があるということを日々身をもって感じています。

脚周り(操安)のチューニングは駆動設計の自分には完全に専門外ですから、チューニングショップのお知恵を借りての二人三脚です。

そういう場合は、一緒にやっている人に確実に結果を報告し、
トライ&エラーの結果をデータとして積み上げていくことが必要不可欠です。
走行後のタイヤの写真を共有して分析をお願いしたり、
発生した挙動を報告して要因を一緒に考えてもらったりします。

タイヤは走りを語る
「空気圧いくつで走っていたか」といった情報も大切です。

チューニングはパーツを投入したらそこで終わりではありません。
パーツの投入はむしろ入り口であり、車として&そのパーツとして持っている調整幅をどう調整やるのか?を詰めていく部分こそがチューニングなのです。
そこに伴走してくださるショップはかけがえのない「趣味のパートナー」であり、そういったパートナーショップの店長さんやメカニックさん、そのショップに出入りする人との縁もこの遊びの楽しいところです。

終わりに


今日のブログは色々と"前略"部分があり、
そもそも僕がこのRCFをどうしたいのか?の細かい話などが抜けていますから、また追々、そういった序盤の話から遡ってお見せしていこうと思っています。

細々と不定期にアップしていこうと思っていますので、今日の記事は「こういう活動(遊び)に興味を持つ方」に多少の認知を持って頂ければ良いかなという位置づけにしておきます。

長文お付き合いいただきまして、ありがとうございました。