学生のときに勉強してこなかったからではない
『ライフシフト 2』を読んでいる。
誰かに「いまどのくらい健康ですか」と尋ねたとき、「20年前にマラソンを完走したことがあります」と言われれば、ピントのボケた返事だと思うだろう。ところが、教育について尋ねて、「20年前に大学で経済学を専攻しました」という返事が戻ってきても、たいていの人は納得してしまう。(第7章 教育機関の課題 p265)
学歴に重きを置く、とこうなる。
ところで、その修めたはずの経済学は役にたっているか?
たっている、という人は少ないだろう。
それは、たいていの大卒日本人ならば、
「20年前に大学で経済学を専攻しました」
のあとに、
「なんちゃって」
をつけるからではない。
「20年前に大学で経済学を専攻しました」
のあとに、
「いまでもそれをアップデートしています」
がないからだ。
学生のときに勉強していなかった、のではなく、
学生じゃなくなってから(も)勉強してこなかった、からだ。
学歴よりも最新学習歴(copyright by 本間正人さん)。
学び続けましょう、新しく学んだ体験の積み重ねを「学習歴」とするならば、
もっとも新しい学習歴をどんどん更新していきましょう。
それは、どこそこの大学を卒業しました、という「学歴」よりも大切ですよ、と。
コロナになって引きこもらざるを得なくなったとき、
50代の同世代と話をして驚いたのは、
「もう過去のドラマや流行りのドラマを見るのも飽きた」
といって笑い合う回数が多かったことだ。
そうだよなぁ、定年まではまだ少し時間は残っているけど、
予想されるよりも上位に昇進する可能性はほとんど残ってない。
だから、いまさらなにを学んでも、ね。
それより人生を楽しもう、と。
いやそれ、人生楽しんでいるんじゃなくて、
毎日を楽しんでいるだけで、
たぶんそのうち、人生を楽しめなくなる。
人生の長さは変えられないけど、
人生の幅は変えられる。
(copyright by 垣内俊哉さん)
『LIFE SHIFT2 100年時代の行動戦略』アンドリュー・スコット/リンダ・グラットン著 池村千秋訳 東洋経済新報社 2021年
(本文と写真はあまり関係ありません)